910101 天上編 第9章 降臨せし観測者 第1話 希望の頂 バトル開始前の会話
【デュリン】 !! すごい装飾…なんて荘厳なっ…
【リベリオン】 世の中には…食い物さえ ロクに手に入らないヤツが、 山ほどいるってのにな
【ティルフィング】 !! 待って…あそこにっ
【デュリン】 ア、アナタが… 教皇様…?
【教皇】 いかにも… そなたらは、洗礼前の部隊と聞く 長き旅路、ご苦労であったな
【ディーン】 う、うぁっ… い、いや…その…滅相もないです!!
【教皇】 構わぬ…楽にするがいい …よくぞ、ここまで辿り着いた 礼を言うぞ
【リベリオン】 …礼?
【教皇】 久しく、 外へ出ていなかったものでな…
【教皇】 こんなにも清々しい空気に 包まれたのは、久方ぶりのことだ
【デュリン】 !! まさか… 監禁されておられたのですか!?
【教皇】 どうやら、幹部の者達を 信頼し過ぎていたようだ 気付けば、自由を奪われていた
【デュリン】 …クーデター!?
【ティルフィング】 !! まさか…黒奏官達がっ…
【教皇】 …そなたらも、あの男の存在を 知っているのか?
【ディーン】 お、おい…ちょっと待てよ! じゃあ、教皇様はなんも 知らねぇってことか…!?
【リベリオン】 …………
【教皇】 …そちらが、 リベリオン様でおられるか…?
【リベリオン】 …ああ
【教皇】 まさか…ラグナロク教会の始祖に、 こうして出会えようとは…
【教皇】 …現在のこの状況は、 すべて私の不徳の致すところ… 申し開きのしようもございません
【リベリオン】 俺のことを知っているようだな ひとつ、聞きたい…
【リベリオン】 フレンネルを襲撃させたのは、 お前か…?
【教皇】 …結果としては、 そうなりましょう
【教皇】 まさか、あのような事態に 発展しようとは… 悔やんでも悔やみきれません
【リベリオン】 結果としては…?
【教皇】 「フレンネル大公に 伝えねばならぬことがある」 と黒奏官が…
【教皇】 訝しくも思いましたが… それが“あの方々”の願いとあらば 無視するわけにも…
【教皇】 ですが…まさか、あのようなことに なろうとは…
【デュリン】 あの方々…?
【教皇】 リベリオン様… アナタ様なら、理解して 頂けましょう
【教皇】 あの方々とは… 天の神々の御言葉を導く 大天使様のことです
【ディーン】 だ、大天使…!?
【デュリン】 な、なによ、それ…!?
【リベリオン】 …神々に仕え、あのカミノツカイを 統べる者達のことだ
【リベリオン】 つまり… お前は、なにも知らぬということか?
【リベリオン】 神々が為す人口調整に加担する者も 教会組織に入り込んでいると 聞いている
【リベリオン】 …それも、知らないと?
【教皇】 …すべてお見通しなのですね
【教皇】 何者かが組織内に 入り込んでいることは感じて おりましたが、まさかここまでとは…
【教皇】 …このような事態に陥り、 初めてその深刻さに気付いた 有り様で…
【教皇】 申し訳のしようも ございません
【リベリオン】 それで、この状況… どう収拾をつけるつもりだ?
【リベリオン】 ここまで腐敗が進んでしまっては、 もはや収拾は不能
【リベリオン】 …違うか?
【教皇】 …返す言葉もございません
【教皇】 無論…信頼できる有志を集め、 造反者を洗い出すつもりでは おりますが…
【教皇】 組織を万全の態勢に立て直すには、 相応の時間がかかるかと…
【リベリオン】 …組織の立て直しなど、 どうでもいい
【リベリオン】 要は…キラープリンセスを育成し、 “地上世界”に戻すことが できるかどうかだ
【教皇】 そこにも、大きな障害が…
【教皇】 長きに渡り、研究・調査を 続けてきましたが…
【教皇】 暴走の経緯など、 キラープリンセスには いまだ計り知れぬ要素が多く…
【教皇】 彼女達の、すべてを把握することは 困難ではないかと…
【リベリオン】 つまり… 地上世界に送り出す目途が 立っていないと?
【リベリオン】 …この計画事態、 無理があるってことなのか?
【教皇】 そのように認めたくはありませんが… この年月をかけて、 出た結果を考えますと…
【リベリオン】 ここまで来て、 計画自体が破綻してることを 知らされたってことかよ…
【リベリオン】 ったく…地上のヤツらに、 なんて説明すりゃいいんだ?
【教皇】 なんと申してよいのか… 力が及ばず、 申し訳ありません
【リベリオン】 ったく… すべてが白紙に返ったってことかよ…
【リベリオン】 …なんて、言うと思うか?
【教皇】 え…?
【教皇】 ヒィッ…!! な、なにを…!?
【デュリン】 リベリオン! なにをする気よ!?
【リベリオン】 悪いな…
【リベリオン】 はい、そうですかと 鵜呑みにするほど 俺は人ができちゃいないんだ
【ティルフィング】 リベリオンさん…!?
【教皇】 ど…どういうことでしょう…!?
【リベリオン】 計画自体が不可能だと思わせ、 この世界から 手を引かせようって魂胆だろ?
【リベリオン】 悪いな… そんな安っぽい手に引っ掛かる、 俺じゃない
【リベリオン】 なんせ… 何百年も前から、 この世界を見てきてるんだからな
【ディーン】 ちょ、ちょっと待てよ! 本当に教皇様が、 なんも知らない可能性だって…
【リベリオン】 いいや…
【リベリオン】 俺は権威ある者の言葉より、 命を賭してまで遺された言葉のほうを 信じる
【ティルフィング】 !!
【ティルフィング】 “人々の希望の頂は、 既に神々の手に侵されている” …レンのお父さんの言葉!
【リベリオン】 言え… そのくだらねぇ企みを仕向けたのは、 やはり神々か?
【リベリオン】 …よく考えて、答えろ 命を失ったら、 すべてが終わりなんだぜ?
【教皇】 う…うぐっ… わ、私は、なにも!!
【リベリオン】 …チッ
【リベリオン】 できれば避けたかったが… 結局、直接話をつけるしか 手はなさそうだな
【ティルフィング】 え…?
【リベリオン】 …コイツの怯えようを見れば、 黒幕が誰かは一目瞭然だ
【リベリオン】 こんな三下、 斬り捨てるまでもない… 行くぞ
【デュリン】 行くって、 どこへ…?
【リベリオン】 神々と繋がっている、 王政府へだよ
【リベリオン】 クソッ… とんだ無駄足だったな
【ディーン】 は…? なに言ってんだよ、 教会を正しに来たんだろ?
【ディーン】 このまま、 放り出して行く気かよ?
【リベリオン】 だから、 教会を正すために 王政府へ行くんだ
【リベリオン】 こいつらは所詮、操り人形… ここでいくら話していても、 時間の無駄だ
【ティルフィング】 話をつけるって… いったい、誰とですか?
【リベリオン】 決まってるだろ… 神々とだよ
【ティルフィング】 え…!? ま、待ってくださいっ…
【デュリン】 あ…えっと…その… 失礼します!
【教皇】 グ… ク、クソッ…!
【???】 ひとまず… 難を逃れたというところで しょうか?
【教皇】 !?
【教皇】 !! 貴様、黒奏官のっ…
【教皇】 なぜに、傍観していたのだ!?
【???】 リベリオンから、 殺気を感じ取れませんでしたので
【???】 …結果、足止めは かないませんでしたね
【教皇】 …仕方あるまい 私にできるのは、あれが限界だ
【???】 そうですか
【???】 では…
【教皇】 ガッ!!!
【教皇】 う、うぐっ… な、なにを…!?
【???】 事が済み次第、 処するよう 申し付けられておりますゆえ
【教皇】 う、うぬっ… こ、黒奏官…め!!! …ガハッ!!!
【ノーブル】 レンくん… エドガーくんは?
【レン】 まだ戻ってない…
【レン】 黒奏官のキラープリンセス相手に、 苦戦しているのかも…
【トト】 ねぇ… やっぱり、様子を見てきたほうが いいんじゃないかな?
【ノーブル】 …我々が行ったところで、 足手まといになるだけだ。 君もわかっているだろう?
【トト】 それは、そうだけど…
【ノーブル】 我々には、 我々のためすべきことがある
【ノーブル】 彼らもその成功を望み、 身体を張ってくれているのだ
【ノーブル】 彼らに報いるためにも… 我々は、なんとしても 人々に真実を伝えねばならん
【トト】 …うん
【???】 …すばらしい使命感ですな 賞賛に値すると言ってもいい…
【ノーブル】 む…?
【黒奏官】 だが、それは… 人々に戯れ言を吹き込み、 世を騒乱へと導く所業…
【黒奏官】 内乱罪に等しい行為ですぞ
【トト】 こ、黒奏官っ!!
【黒奏官】 さぁ… バカな真似はおやめください、 ノーブル教授
【黒奏官】 現時点では、まだ未遂… 素直に投降されれば、 極刑も免れましょう
【ノーブル】 …フン …この命を奪おうとした男が、 なにを言っている
【黒奏官】 …思い止まるなら、 目をつむってやってもいいと 申しているのだ
【黒奏官】 死にたいのなら、 すぐさま処しても 構わんのだぞ?
【ノーブル】 や、やはり… それが、お前の本性かっ!
【黒奏官】 未だ、自身の立場を 理解していないと見える…
【黒奏官】 アナタに問うているのは、 ただ一点…
【黒奏官】 生きたいのか、死にたいのか… それだけだ
【ノーブル】 …っ!!
【レン】 そうやって、 殺したの…?
【黒奏官】 …?
【レン】 アンタなんでしょ… 父さんを殺したのは?
【黒奏官】 …クク …そのハンチング帽、 よく似合っているではないか
【レン】 え…? な、なによ、急に…!?
【黒奏官】 …お前の父親が、 その帽子が入った袋を 大事に抱えていたことを思い出す…
【黒奏官】 …息を引き取る、 その最期の瞬間までな
【レン】 !!!
【トト】 や、やっぱり、お前が…!!
【黒奏官】 暦の作成を終えた ルステンシュタイン3世は、 今やただの研究者…
【黒奏官】 放っておいても、 さして問題はない
【黒奏官】 世を脅かす危険分子として 残っているのは、ノーブル教授… もはや、アナタただ一人
【黒奏官】 抵抗せず、 おとなしく投降するのが 得策というものだ
【ノーブル】 クッ…ふざけるな!!
【ノーブル】 人々を危険な目に遭わせているのは、 貴様ら王政府のほうではないか!!
【ノーブル】 なにがあろうと… 私は、王政府の裏の顔を 明らかにしてみせる!!
【黒奏官】 その考えが、 多くの犠牲を生んでいることに なぜ気付かんのだ?
【黒奏官】 その娘の父親も…
【黒奏官】 お前やフレンネルと関わりさえ しなければ、今もすぐそばで娘の 成長を見守っていたはずなのだぞ?
【ノーブル】 っ! …うぐ…
【レン】 父さんが、 柄にもなくいいことを しようとすると…
【レン】 いつも、 なにか悪いことが 起きるのよ…
【トト】 え…?
【レン】 …あの日もそう
【レン】 父さんが働くサフラン日報に就職が 決まったと知ったら、柄にもなく 食事に行こうだなんて言いだして…
【レン】 ふだんは、アタシのことなんて 気にも留めないくせに…
【レン】 取材にかまけ、 ろくに家にも 寄り付かなかったくせに…
【トト】 レン…
【レン】 “このハンチングを かぶった瞬間から 父さんは無敵になるんだ”
【レン】 …いつもそう、笑って話してた
【レン】 この帽子をかぶった瞬間から、 強い心を持った記者になるんだ、と…
【レン】 どんな権威にも屈しない、 強い勇気が芽生えるんだ、と…
【レン】 …このハンチング帽は、 父さんからのメッセージに 他ならない…!
【レン】 真実を追い続ける、 強い心を持つ記者になれって…!
【レン】 私は… その父さんの遺志を 継いでみせる!!
【レン】 黒奏官… アンタに、どんなに脅されようと 揺らぎはしないわ!
【レン】 私は… 父さんの遺志を継いだ、 真実を追う記者なんだもの!!
【ノーブル】 レンくん…!
【黒奏官】 …泣かせる話ではないか だが、その情熱も… 命あってのこと…
【トト・ノーブル・レン】 !!
【黒奏官】 君の決意を尊重し、 一太刀で 逝かせてやろうではないか
【トト】 うぐっ… さ、下がって、レン!
【黒奏官】 安心しろ… お前もともに処してやる
【黒奏官】 娘… 胸を張り、 亡き父の元へ逝くがいい
【レン】 う、うぁっ…
【???】 …ハァァァッ!!!
【黒奏官】 !?
【黒奏官】 クッ…
【ティルフィング】 みんな! 大丈夫!?
【トト】 ティルフィング!! 帰ってきてくれたんだ!!
【デュリン】 レンと教授を守ろうとしたのね… 立派よ、トト
【トト】 そ、それより、大変だよ! 向こうでも、 黒いマサムネとエドガー達がっ…
【ティルフィング】 大丈夫… ディーンくんの隊が、 そっちには向かったから
【黒奏官】 クッ!
【リベリオン】 おっと… 逃がしはしないぜ
【リベリオン】 さぁ、連れて行ってもらおうか… お前を操る、大天使の元へ
【黒奏官】 大天使…? フン… なんの話だ?
【リベリオン】 今さら白を切ったところで、 調べはついてるんだよ
【黒奏官】 なにを申しているのか わからんが…
【黒奏官】 ともあれ、 世を脅かす反乱分子を 捨て置くことはできん
【ティルフィング】 …!? …みんな、伏せて!!!
【リベリオン】 クッ…!?
【???】 …遅くなり、 申し訳ありません ただいま、戻りました
【ティルフィング】 く、黒い…私…!?
【グリード】 私は、対キル姫用制圧特殊部隊 コードネーム“グリード”…
【グリード】 “強欲”の罪を 背負いしキラープリンセス…
【グリード】 …アナタ達がこの世で出会う、 最後のキラープリンセスです
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