100302011 ロストラグナロク編(失われた千年王国編) 第3章 デモンズルール 第２話 不可思議な戦場 STAGE1 戦闘前
【ゲバルト伯爵】 オオッティモオオオ！ 飽くなき真理の探究者は運命の歯車を 回し、異界への鍵をもたらす
【ゲバルト伯爵】 誰も踏み入ること能わぬ清浄なる 湖畔に咲く一輪の白百合 それを摘み取る禁忌の悦楽
【ゲバルト伯爵】 パラケルスス！ よくぞナディア姫を連れ帰ってくれた 君の機転と行動力に幸あれ！
【パラケルスス】
今、戻ったよ伯爵様
ご所望のものはご覧の通りだ
【雑賀】
気を失ってますね
お得意の薬で眠らせたんですか？
【雑賀】
大切なお客人だというのに、あまり
手荒な真似はしないで欲しいっすね
【パラケルスス】
仕方ないだろ
このお姫様は思っていたより強情でね
【パラケルスス】
わたくしがせっかくトレイセーマの
闇を見せてあげたのに、大人しく
ついてきてくれなかったんだ
【雑賀】
トレイセーマの闇というと、
例の思想矯正施設のことですね
あれを見ても平気だったんすか？
【パラケルスス】
ナディアはあの光景を見て、
ここから逃げようと誘ったわたくしに
こう言ったんだ
【パラケルスス】
「こんな非人道的な行いを放っては
おけません」とね…
【パラケルスス】
自分が十三議会に抗議して、
施設を閉鎖させると息巻くものだから
わたくしもやむなく薬を使った
【パラケルスス】
もっと穏便にことを進めたかったと
いうのに…
【パラケルスス】
お陰で侵入した痕跡を残してしまった
かもしれない
【雑賀】
パラケルスス、
こっちの段取りもあるんすから、
あんま無茶しないで下さい
【パラケルスス】
そんなものわたくしは知らないよ
伯爵様にナディアを届ける
それが一番だろ？
【雑賀】
だからといって、あの得体の知れない
双子から情報を得るなんて…
あんま感心しないっすね
【ゲバルト伯爵】 雑賀！血で血を洗う戦場に喜びの花を 咲かせる悪夢の戦術家よ！ 君の危惧はもっともだ
【ゲバルト伯爵】 しかし！しかし、今は理想郷への 鍵を手に入れた幸福とパラケルススの 活躍を素直に味わおうではないか！
【ゲバルト伯爵】 幾多の困難を乗り越え、絶望の荒波 から帰還した小舟には世界を統べる 財宝が積まれていた
【ゲバルト伯爵】 薄気味悪い双子のことなど、 それに比べれば些末に過ぎぬ
【雑賀】
…伯爵様がそれでいいなら、
うちも文句はないっす
【雑賀】
今後のことについて、少し考え直す
必要は出てきますけどね
【ゲバルト伯爵】 大海原を越える羅針盤となって 私を導く血に飢えし大軍師よ 君の忠誠に乾杯しよう！
【ゲバルト伯爵】 これで私は皇帝をも上回る切り札を 手に入れた！ 理想郷への船出は近い！
【パラケルスス】
ねえ、伯爵様
ナディアが目を覚ますまで、
わたくしの部屋で預からせて欲しい
【パラケルスス】
彼女は…まだ謎が多いよ
もっと、じっくり、丹念に
調べてみないと
【雑賀】
それは反対っす
パラケルススの悪い癖が出ては
伯爵様の計画に支障をきたします
【パラケルスス】
随分な言いようだな
わたくしはただ、全てを解明したい
だけだ
【ゲバルト伯爵】 パラケルスス、雑賀、 春先の雄猫のように いがみあってはいけない
【ゲバルト伯爵】 天上より導かれし穢れ無き至宝は ありのままでこそ美しい
【ゲバルト伯爵】 今は真珠の輝きをその身に込めた 水鳥の羽毛布団でくるみ、 天使の囁きで瞼が開くのを待とう
【雑賀】
…だそうですよ、パラケルスス
【パラケルスス】
分かったよ…
【パラケルスス】
今は我慢するとしよう
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