101202040 ロストラグナロク編(失われた千年王国編) 第12章 リバースワールド 第2話 神器、昇天 STAGE4
【魔獣】 ギイイイイイイ!
【少年】 た…助けてぇっ…! 誰かーっ…!
【魔獣】 ギャアアアア…
【サルヴァトーレ】 こんなところを彷徨いてると 死ぬぞ、小僧
【少年】 あ…ありがとうございます… うっ…
【サルヴァトーレ】 何だ? 俺が怖いのか?
【少年】 う…ううん…
【サルヴァトーレ】 隠さなくてもいい そういう視線にはなれている
【サルヴァトーレ】 それより、こんなところで何してる この辺りは廃墟で、俺以外、人間は 誰も住んでないぞ
【少年】 食べ物を…探してたんだ… もう何日も何も食べてなくて…
【サルヴァトーレ】 そうか ほら、このパン持ってとっとと 失せろ
【少年】 えっ? あ、ありがとうお兄ちゃん!
【少年】 あ!そうだ! 神様、日々の糧をお与え下さり ありがとうございます
【サルヴァトーレ】 何の真似だ、小僧
【少年】 司祭様が言ってたんだ 何ごとにも神に感謝を捧げなさいって そうすれば救われるんだって
【サルヴァトーレ】 神に祈れば救われる? ハッ!ハハハハハ! おめでたいことだな
【サルヴァトーレ】 いいことを教えておいてやろう この世に神などいない 祈りはどこにも届かない
【サルヴァトーレ】 俺は俺の力と、俺自身が考えて 見出した正義しか信じない
【サルヴァトーレ】 小僧、お前も他人の言葉を盲信するな 生き残りたければ自分で考え、 行動しろ
【少年】 お兄ちゃん…?
【サルヴァトーレ】 分かったら、さっさと失せろ 目障りだ
【サルヴァトーレ】 ここに残されていた本も あらかた読み切ったな… そろそろ他の町に移るか
【サルヴァトーレ】 もっと凶悪な魔獣の棲む地に… そこでなら、俺は…
【サルヴァトーレ】 廃墟に住みついた俺は、かつての 住人達が残していった本を読み、 体を鍛え続けた
【サルヴァトーレ】 そして時折現れる魔獣を殺し続けた 英雄を気取っていたつもりはない きっと探し求めていたんだ
【サルヴァトーレ】 俺の、俺だけの神を
【サルヴァトーレ】 他者に与えられ、他者に奪われる そんな不確かな神ではなく
【サルヴァトーレ】 俺自身を支える確固たる存在を 俺は無自覚に求め続けていた
【サルヴァトーレ】 教会から離れ、聖職者に失望しながら 情けないことに俺は、神の不在に 耐えられなかったんだ
【サルヴァトーレ】 そして、あの日が訪れた
【魔獣】 ギイイイイイイイイイイ!
【サルヴァトーレ】 チッ… さすがに無茶過ぎたか… この数はどうにもならねえ
【サルヴァトーレ】 いいぜ 俺も散々お前らの同類を 殺しまくってきたんだ
【サルヴァトーレ】 俺を八つ裂きにする権利が お前らにはある
【サルヴァトーレ】 その代わり、俺を楽に殺せるとは 思わないことだなあ!!
【ラグナロク職員1】 …ですか!? 大丈夫ですか!?
【サルヴァトーレ】 う…ああっ…? 俺は…何だ生き残っちまったのか… ああ、クソッ…痛ぇなあ…
【ラグナロク職員2】 まさか、これだけの数の魔獣を ただの人間がたった一人で…?
【ラグナロク職員3】 信じられないっ 奇跡としか言いようがない
【ラグナロク職員1】 おおい! 意識が戻ったようだ 急いで本部に運ぶぞっ
【サルヴァトーレ】 死にかけていた俺は、 ラグナロクとかいう組織に拾われた
【サルヴァトーレ】 連中は本気で地上から悪魔と その手下共を一掃しようと 活動している頭のおかしな奴らだった
【サルヴァトーレ】 俺と同じように
【サルヴァトーレ】 だから、真っ先に手を挙げたんだ 成功確率が著しく低い最悪の計画 キラーメイル実験の被検体に
【サルヴァトーレ】 そして俺は、ロンギヌスになった
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