10149214 ティルフィング キルザメモリー
あれから数日後――
【ティルフィング】 お願いです、先生
【ティルフィング】 あの人に… 追試を受けさせて あげて下さい!
ティルフィングが 熱心に学校側に事情を話し、 説得したおかげで
マスターは追試を 受けられることになった
【ティルフィング】 え?私も…ですか?
マスターもまた、優等生の 彼女を巻き込んだのは自分だから… と学校側を説得していたのだった
【ティルフィング】 まったく、あの人は……
【ティルフィング】 どこまで行っても誰かのため… なんですね
放課後―――
夕暮れ時の教室で、 一緒に勉強している ティルフィングとマスター
ごめんね、僕のせいで君まで… と、謝るマスター
【ティルフィング】 ふふふ
【ティルフィング】 初めてです
【ティルフィング】 授業もサボったことない私が、 テストをすっぽかしたのは
本当にごめん!とマスター
【ティルフィング】 いいえ
【ティルフィング】 実は… 少しワクワクしてたんです
【ティルフィング】 学校のルールを破ってまで 誰かを助けようとする アナタについていったこと
【ティルフィング】 それに…
【ティルフィング】 また、こうして アナタと一緒に 勉強できたんですから
微笑む彼女
【ティルフィング】 今までの私は…
【ティルフィング】 どこか人に 遠慮がちだったのかも しれません
【ティルフィング】 でも、アナタは真逆だった
【ティルフィング】 そんなアナタを見習って、 私も少しだけ真似してみたら…
【ティルフィング】 友達との絆が強くなった 気がします
【ティルフィング】 また… アナタに教えられましたね
優等生の君に教えられることなんて なにもないよ、と笑うマスター
しかしティルフィングは言う
【ティルフィング】 勉強やスポーツ、 そういった魅力ではなく、 なんというか…
【ティルフィング】 アナタには不思議な安心感がある 一緒にいると……
【ティルフィング】 ホッとできるんです
【ティルフィング】 それって… すごい魅力だと思いますよ
少し頬を赤く染める彼女
【ティルフィング】 あっ、ごめんなさい… お喋りばかりじゃ いけませんね
【ティルフィング】 勉強の続きをしましょう
【ティルフィング】 ふふっ…懐かしいですね 最初は困っているあなたを助けたい それだけだったかもしれません
【ティルフィング】 でも今はそうしてよかったと思えます あなたのことを深く 知ることができたから…
そう言うティルフィングの口調は 最初のころよりも自然で 温かさに溢れている
本来、苦痛でさえある、 勉強をしているはずなのに 何故かこの時間を幸せに感じる
マスターにとっても、 彼女との時間はホッとできる 癒しの時間になったのだった
Next: 10151301