10251101 ムラマサストーリー 姉を超えるために…
【ムラマサ】 …ふぅぅぅぅ
厨房で一人、目を閉じ 精神を統一している姫、 ムラマサ
その様子を見かけたマスターが、 彼女に声を掛ける
【ムラマサ】 …あっ!マス…あ、いや! 主君!
今、「マスター」って 言いかけてなかった? と、マスターが尋ねる
【ムラマサ】 め、滅相もない! 私…あ、いや!拙者!
【ムラマサ】 拙者はいつも、主君とお呼びして おりまするでございまする!
そんなに無理しなくても、 自分らしくでいいんじゃない? とマスター
【ムラマサ】 い、いえ…!拙者には夢が ございます…姉のマサムネを 超えるという夢が…!
【ムラマサ】 同じサムライとして… 姉に後れを取るわけには いきませぬゆえ!
そう、彼女は、 あのマサムネの妹なのだ
【ムラマサ】 …で、どうされたのですか? 主君
ここでなにを? とマスターが尋ねる
【ムラマサ】 姉・マサムネは料理の中で、 奥義の極意を掴んだと聞きます ならば拙者も、料理の中に活路を…!
え? でも、ムラマサって…
【ムラマサ】 きゃ~っ!いった~い! やだ~、もう!
【ムラマサ】 …あ! も、もとい!いやじゃないし、 痛くも…ないっ!
包丁でほんの少し切ってしまった 指先を、涙目で押さえるムラマサ
さっきも言ったけど…
【ムラマサ】 拙者は…姉には及ばないと… そう仰るのですか…?
【ムラマサ】 そうじゃなくて… 姉は姉…拙者は…拙者…
【ムラマサ】 し、しかし…
【ムラマサ】 拙者は…幼き頃より、なにをやっても 姉様には勝てませんでした… そんな拙者が…拙者らしくやっても…
痛みで滲んでいた涙は、 いつしか悔し涙に変わっていた
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