10253204 黒ロンギヌス 『二の太刀 -恩返-』
ムラマサとマサムネの 果し合いが終わり――
翌日から見回りに励む いつもの日々が戻ってきた
手際よく日課を済ませた マスターは、さっさと帰ろうと 玄関にやってきた
【ムラマサ】 …ふぅ
ムラマサがいた
先日はなにかを探すように ウロウロしていたムラマサだが…
今日は、間違いなく… マスターの下駄箱の前に 立っている…!!
【ムラマサ】 …でもやはりこれは 武士道に反するのでは…
【ムラマサ】 …いいえ!!でも… これは乙女道であって 武士道とはまた別の話!
【ムラマサ】 書物でも確認しました… やはり王道は、下駄箱だと…
ぶつぶつとなにかを つぶやきながら 右往左往するムラマサ…
…見ていても帰れないので マスターはそっと声をかける…
【ムラマサ】 ふぁぁぁ!?
【ムラマサ】 しゅ…しゅ、くん…
選択肢:
- もしかして待っててくれた…? → select_label_01へ
- この前もここにいたよね…? → select_label_02へ
- 僕の靴でも気になった…? → select_label_03へ
しゅ…しゅ、くん…
select_label_01:
【ムラマサ】 し、主君!あ、いえ!その!
select_label_02:
【ムラマサ】 ぐぐ、偶然ですね主君!!
select_label_03:
【ムラマサ】 そうなのです!あ、いえ…そうでは…
select_label_end:
【ムラマサ】 あ、う… こ、これは、あの… うぅぅ…あぅ…
【ムラマサ】 は!そうでした! 姉上と買い物へ行く 約束をしていたのでした!
【ムラマサ】 拙者!これにて失礼いたします!!
苦しすぎる言い訳を残して 走り去ろうとするムラマサだが…
よほど慌てていたのか マスターと肩がぶつかってしまった
【ムラマサ】 あっ!!
ムラマサの手から なにかが落ちて床に転がる
とっさにマスターは手を伸ばした
【ムラマサ】 あああ! それはダメです…!!
ムラマサも急いで拾い上げようとする すると…二人の手が触れそうになり…
思わす二人とも手を引っ込めていた
そこには、綺麗な和紙で包装された 小さな包みが転がっていた
【ムラマサ】 あ…ぅ…
【ムラマサ】 き…気づかれましたよね…?
はい… いや、多分? マスターは苦笑いする
ムラマサは涙目で落ち込む… しかし次の瞬間、包みを拾い上げ しゃんとした姿でその場に正座した
【ムラマサ】 主君…このたびは… 見届け、立会… ありがとうございました
【ムラマサ】 この未熟な拙者に愛想をつかさず 最後まで根気よく お付き合いいただいた恩…
【ムラマサ】 決して忘れません…!
【ムラマサ】 いただいた恩は必ず返す それが拙者の信条です
【ムラマサ】 『二の太刀 -恩返-』 主君が我が名を呼んだならば どこにでも馳せ参じましょう…!
それはまさしく 彼女が新たなスキルに 目覚めた瞬間だった
【ムラマサ】 どうか…受け取って下さい!
マスターはありがたく ムラマサのチョコを受け取る
【ムラマサ】 えっと… この…チョコは…
ムラマサの顔が 沸騰しそうに赤くなる…
【ムラマサ】 あ、姉上を待たせているので! 抹茶を買いに行く約束が…
立ち上がろうとする ムラマサだったが…
【ムラマサ】 あ…わわっ!
正座をしていたせいで… 足がしびれてしまったのだろうか
ムラマサはバランスを崩して…
マスターに寄りかかってしまった
【ムラマサ】 !!!!!!!!!
【ムラマサ】 しゅ、しゅ…しゅくん!!!!
しびれているであろう足で 無理やり立ち上がったムラマサは…
よろよろと走り去っていった…
残されたマスターは ムラマサのくれた包みを見て
早く見回りを終わらせようと 思うのだった
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