10391213 セツナ 羨刀・金翅鳥王剣
セツナがマスターの隊へ 参加してしばらく経ったある日
いつものように任務を終え 休息時間となったマスターと 姫達を遠目に眺めているセツナ
【セツナ】 …………
セツナ、どうしたの? 彼女の様子が気になり 声をかけにきたマスター
【セツナ】 …君か
【セツナ】 …考えたの どうしたらいいか
【セツナ】 それで…結論を出した
【セツナ】 …私、隊を抜けるわ
え!? 衝撃を受けるマスター
な、なんで? 何かあったの? と慌てるマスター
事情を教えて欲しい、 とマスターが頼むと、 セツナはゆっくりと口を開く
【セツナ】 君の隊に入って、 君のやり方を見ていて…
【セツナ】 私や姫達を道具とは思わない、 という君の言葉は 嘘ではないようだとわかってきた
【セツナ】 でも、だからこそ…
【セツナ】 私はここを 離れた方がいいと感じるの
【セツナ】 君と姫達を見ていると… かつての自分を思い出す
かつての…セツナ? と首を傾けるマスター
【セツナ】 そう…まだ召喚者たる主と 良好な関係を築いていて…
【セツナ】 純粋な気持ちで 主に従い、 戦っていたあの頃の自分…
【セツナ】 絶望を抱き、悲しみに染まり 黒き衝動を抱え 破壊者となる前の私
【セツナ】 でも…
【セツナ】 …………壊したくなる
え? と戸惑うマスター
【セツナ】 君達を見ていると… この胸に宿る黒き想いが うごめくのを感じる
【セツナ】 私はいつか… 君達を破壊する この黒き衝動のままに
【セツナ】 それじゃあ君達は困るでしょう?
だから…脱退するって 言い出したの? マスターに問いに頷くセツナ
【セツナ】 それが正しい選択よ
本当に? というマスターのその言葉に セツナは戸惑った表情をした
【セツナ】 え…?
セツナ自身もそう 望んでいない限り 正しい選択とは言えないよ
セツナ本人の望みは? 本当に去りたいと思ってる? マスターの問いかけに口ごもるセツナ
【セツナ】 それは…
【セツナ】 …………別に、 望んでいるわけじゃない
【セツナ】 君の言葉は 嘘ではないと判断できた 居心地も悪くない
【セツナ】 …でも私はきっと破壊する 黒き衝動が求めるままに
【セツナ】 …それが、 『この私』の本質なのだから
じゃあ、それをどうにかしよう と、マスター
【セツナ】 え…? どうにかって…
その衝動の所為で、セツナは 自分は去った方がいいって 思ってるんでしょう?
ならその衝動をどうにかしたら、 セツナはいなくならなくて済む! マスターは胸を張って言う
【セツナ】 衝動を…どうにかする? できるわけがない どうやったって…
否定的なセツナに やってみなきゃ分からないよ とマスターは返す
抑えるのか、発散するのか… 具体的なやり方は分からないけど
誰も傷つかない方法を探そう みんなで協力するから! と、マスター
積極的なマスターに セツナは戸惑いの表情を浮かべる
【セツナ】 どうして、そこまでして…
だって、セツナに いなくなって欲しくないから マスターはそう、はっきり口にする
【セツナ】 …っ!
【セツナ】 …呆れた まさかそんな言葉を、 それほど躊躇いなく口にするなんて
しかし、そう言って笑うセツナには 『羨刀・金翅鳥王剣』 が絆の証として宿っていた
【セツナ】 …後悔しても知らないよ 今の言葉、私を引き留めたこと
【セツナ】 私のこの想いは いつ暴発したって おかしくないのだから…
【セツナ】 …それでもいいのなら
大丈夫、そのときは 僕達が止めるから とマスターは笑顔で頷く
【セツナ】 …嫌になりそうなほど、 真っすぐだね、君は
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