10431211 ズィーヴァ 本物になるために
【ズィーヴァ】 斬って
【ズィーヴァ】 斬って 斬って
【ズィーヴァ】 斬って 斬って 斬って
【ズィーヴァ】 目の前の敵を斬って、 ただそれだけ どこの世界でも同じ
【ズィーヴァ】 異なる世界に喚ばれたとはいえ、 やることは変わらない この双剣を、絢爛に振るうだけ
【ズィーヴァ】 変わることといえば、そう
【ズィーヴァ】 あいつが、いない
【ズィーヴァ】 あいつを超えるために この双剣を振るってきたのに
【ズィーヴァ】 “本物”になるために この双剣を振るい続けて生きたのに
【ズィーヴァ】 私はその機会を失ってしまったのだ ――そう、永遠に
【ズィーヴァ】 世界が変わっても 私の世界は、モノクロだ
彼女の中に、憂いがある マスターはそう感じていた
しかし、いくら問いかけても 彼女――ズィーヴァは答えてくれない
【ズィーヴァ】 何もないって言ってるでしょ
いつもの問いに、 いつもの答えが返ってくるのみ
【ズィーヴァ】 これで何度目? アンタも飽きないわねえ
心配なんだ 心からの言葉をかけるマスター
【ズィーヴァ】 心配なんか必要ないわよ 私にはもう…機会がないんだから
彼女は“機会”と口にした
その内容を知りたい そう口にする前に さらに異族がやってくる
【ズィーヴァ】 下がっていなさい
さっきの戦いの疲れもあるのに 大丈夫なの? とマスターは口にする
【ズィーヴァ】 心配は必要ないって言ったでしょ?
【ズィーヴァ】 白黒つけるのは、得意なの
そう言って双剣を構えるズィーヴァ その姿が、その笑みが――
――やけに、美しい そう思うマスターだった
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