110140430 ロストラグナロク編(失われた千年王国編) 第14章 ミッシング・ゴッド 第４話 千年王国の孤独-3
【マキナ】 …ここが理想郷ラグナロク？ 誰もいないのに…
【ゼロ】
お前には誰もいないように
見えているだけだ
本当は大勢、暮らしている
【マキナ】 あなたの姿が透けているのも、 そのせいなの…？
【ゼロ】
何？
ああ、これは単なる調整ミスだな
【ゼロ】
ほら、これでどうだ
他人に自分を見せるなんて
久し振り過ぎて変な気分だが
【マキナ】 うん…ちゃんと見える… でも、あなたは生命なの？
【ゼロ】
チッ
そこからかよ…
長くなりそうだな…
【マキナ】 そう…今は皆、 肉体を必要としていないのね…
【マキナ】 それどころか、 他人と関わりを持つことすら ないだなんて…
【ゼロ】
俺達は「個」として完成されている
完全な生命体に他者との共鳴は
必要ないんだよ
【マキナ】 だったら、私はもう…
【ゼロ】
…ああ、ようやくお前の名前が
検索にひっかかったぜ
なるほど、そういうことか…
【マキナ】 私について、何か知っているの？
【ゼロ】
誰でも閲覧できるデータベースから
お前の情報を見つけたよ
【ゼロ】
マキナ…お前は随分と昔、
斬ル姫達によって
封印された存在だったんだな
【マキナ】 そう…そんな記憶があるわ… ずっと昔、私はたくさんの人々に 望まれて、この世に生を受けた…
【マキナ】 それなのにユグドラシルの根元から 何人もの斬ル姫が現れて… 瞬く間に世界を支配してしまったの
【マキナ】 そのとき私は捕らえられ、 地底深くに閉じ込められた…
【マキナ】 地底監獄ビフレスト 確か、あそこはそう呼ばれていたわ
【ゼロ】
検索できたぜ
なるほど…囚人が一人もいない
監獄と言われていたが…
【ゼロ】
どうやら、お前一人を封じるために
作られた施設だったようだな
【マキナ】 あれから…どれだけの年月が経って 地上はどうなってしまったの…？
【マキナ】 私はどうして、今頃になって 地上に出てこれたの…？
【ゼロ】
そうだな…
マキナ、少し昔話につきあってくれ
お前の疑問も解けるかもしれない
【マキナ】 昔話…？
【ゼロ】
お前が囚われていた間の話を
してやるよ
【マキナ】 うん…
【ゼロ】
そうだな…
始まりは、お前が人類の手で
生み出された少し後くらいの頃だ
【ゼロ】
お前の存在を疎んじた「神」が
この世界を再構築しようと地底から
手を伸ばしたんだよ
【ゼロ】
そして、ユグドラシルの根元で
眠っていた斬ル姫達を手中に収めた
【マキナ】 斬ル姫達のことは知ってる… ユグドラシルの根元で眠る彼女達を 守る斬ル姫がいたはずよ
【ゼロ】
ティルフィングのことだな
ああ、彼女は「神」に抗った
たった一人で懸命にな
【ゼロ】
だが、一人で勝てるわけがない
やがて力尽き、全ての斬ル姫は
「神」の手に落ちたんだ
【マキナ】 ユグドラシルを… 斬ったりしなかったの？
【ゼロ】
何を言ってるんだ？
そんな大それたこと、
するわけないだろう
【ゼロ】
ほら、見ろ
ユグドラシルなら
今もあそこに聳え立っているぞ
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