202210610 初心者クエスト 異聞不可分フォーハング 異聞不可分フォーハング 異聞不可分フォーハング 第1部 2 - 異聞不可分フォーハング-1 異聞不可分フォーハング 第1部-1 異聞不可分フォーハング 第1部-1
声がする、声がする、声がする
喜び、怒り、哀しみ、楽しみ 様々な感情の声がする
思い、想い、願い 妬み、僻み、痛み 感情は複雑な声となる
そして、そのどの声や感情も 善悪だけで語れるモノじゃない
ヒトはそんな感情を抱え そして支配される生物
声がする、声がする、声がする
【???】 私達キル姫はヒト以上に あらゆる感情に縛られている 誰もこの感情から解放してはくれない
【???】 もう私には この感情をどうすることもできない
ああしておけば、そうであれば こうじゃなかったならば
その可能性に触れてしまったら キル姫は感情を抑えきれない
【???】 今の私はどうして今の私なの? 何故、違う私にはなれなかったの?
【???】 そう思うと、そう想うと――
【???】 壊れて、壊してしまいそう
揺れる、揺れる キル姫たちの心が揺れる
声がする、集っていく、大きくなる
【ティルフィング】 「裏側」のマナに動きが…
「裏側」の観測をも可能とした ティルフィングは「揺らぎ」の 兆しとも言えるマナの動きを発見した
【ティルフィング】 「揺らぎ」の兆しが見えても 私だけで対処はできません…
【ティルフィング】 「揺らぎ」の兆しを対処できるのは …いえ、しなければならないのは――
【ヒョウハ】 なぁなぁ、あたしに用がある って聞いたけどほかにもいるのは… なんかヤバいことでもあったのか?
【イチイバル】 そんなことも知らず ここまで来たのかい?
【ミュルグレス】 えー、ミュルも知らないんだけど アンタは知ってるってズルじゃない?
【ティファレト】 …………
【イチイバル】 まぁ、このメンツを見ると 本当にそうなのかは疑わしくなるけどね
【ティファレト】 「裏側」そして「揺らぎ」の件 …ですね、ティルフィング
【イチイバル】 勿体ぶってたら 先に言われてしまったようだ
【ティルフィング】 「揺らぎ」の兆しを回避すること それを為せるのはここに集まった 皆さんだとそう判断したのです
【ティファレト】 様々な選ばれなかった可能性が そこにあるという「裏側」…
【ティファレト】 今の自分がこうでなかったのならば どうだったのであろうとは 感情のあるモノは考えてしまうもの
【ティファレト】 それが「揺らぎ」の原因…
【イチイバル】 その感情を強く持つキル姫に対して マナはより強く惹きつけられるって 言うけれど…キミでもそうなのかい?
【ティファレト】 そうですね… ティルフィングから 「裏側」という存在を聞いてから
【ティファレト】 選ばなかった自分がどうだったか 考えてしまうことはありますよ
【ヒョウハ】 わっかんないなぁ… 違う自分がどうとか言われても 自分は自分でこうなったって話だろ
【ミュルグレス】 そう言ってるのに限って 実は裏でうじうじしてるのよねー?
【ヒョウハ】 何だってーっ!?
【イチイバル】 まぁまぁ、 犬っころもにゃんころも ころころしてないで落ち着いて
【ヒョウハ&ミュルグレス】 だ・か・ら! そのあだ名を言うなー!
【ティファレト】 それはさておき、「揺らぎ」の 発生を抑えられるのが私達だけ と言うのであればやるしかありません
【イチイバル】 ま、それはそうだねぇ
【ティルフィング】 皆さんにはそれぞれ「裏側」で マナを引き寄せているモノを断つ 方法を探していただく必要があります
【ヒョウハ】 「裏側」から出てくる魔獣を やっつけるとかじゃだめなのか?
【ミュルグレス】 だめだめ、それじゃ 「揺らぎ」が治まらないじゃない
【ヒョウハ】 んー、そっかぁ そしたらどうしたらいいんだ?
【ティルフィング】 それは…「裏側」に行ってみないと わからないというのが 正直なところです
【ティルフィング】 ですが、「裏側」に向かえば、 自ずと答えは見つかると思います
【ティファレト】 それでも、やりましょう その為に来たのですから
【イチイバル】 実はあまり乗り気じゃないけど 「裏側」に行けるのは なかなか興味深いからねぇ
【ヒョウハ】 行ってみたらわかる! ってのは、わかりやすいな! よっしゃあ!やってやるぜっ!
【ミュルグレス】 この流れ、行くしかないじゃん… 完全に巻き込まれ案件なんですけど
【ティルフィング】 それでは、お願いします 皆さんの可能性に祈りを
【マナナン】 さぁさぁ、始まるよ 喜劇的な物語が始まるよ
【マクリル】 さぁさぁ、終わらせよう 悲劇的な物語を終わらせよう
【マナナン】 卑しい癒しに満ちた舞台の幕開け どんな絶望が待ってるんだろうね
【マクリル】 私達は失わない与えない ただ幕を開けるだけの舞台装置 どんな希望も通り過ぎて行くだけ
【ティファレト】 「裏側」への穴を 開いてくださるのですね
【マナナン】 アハハ! それが役目だからね
【マクリル】 舞台を作るのは 役者だけじゃないから
【マクリル】 でも、演じられる舞台は一つだけ 通れる道は一つだけ
【ティファレト】 なるほど それで、ここには 私しかいないというわけなのですね
【マナナン&マクリル】 今日の私達はお見送り 道はきっとあなたが知っているからね
【マナナン】 あなたが求めたものはきっとない
【マクリル】 あなたが与えたものはきっとない
【ティファレト】 それは――
【ティファレト】 向き合わねばならない世界が あるというわけですね?
【ティファレト】 この目で、視ないといけない何かが この先にあるというわけですか…
【マナナン&マクリル】 願いが叶わないのは寂しいけれど 舞台の幕を開こうね
【マナナン&マクリル】 それじゃあ開くよ 今から開くよ
【マナナン&マクリル】 行きはよいよい帰りは怖い 無謀に進んで震えて退いて
【マナナン&マクリル】 「裏側」へご案内♪
【ティファレト】 あれは…私?
【ティファレト?】 私は、聖女なんかではありません
けれど 与えると、与えてもらえた
【ティファレト?】 神は…私の目を救いはしない 人は、私を助けてくれるのです
与えると失う そうすると、補ってもらえた
【ティファレト?】 人は、愛してくれるのです 目となってくれるのです
だから 愛そうと思った 救おうとも思った
【ティファレト】 盲目で、愛の前に盲目な、あの私… 彼女は愛されていたのでしょうか?
【ティファレト】 今の私は彼女と違って 独りで立ち、世を視ることができます
【ティファレト】 そして、愛を与えることができます
【ティファレト?】 翼も生えていないし ラッパも持っていないし
【ティファレト?】 裸でもないし…
【ティファレト】 そう、あの私のように… そして、共にいた者達への 愛を抱いていた…
天使の力は愛を与えることに 対する代償を不要にしてくれた
だから愛した、救った 何もかもを与えて与えて、与えた
【ティファレト?】 「力なき者を守る力」 それを得られたならば、私は…
【ティファレト?】 どのような状況であれ、 力なき者達を決して見捨てません 必ず救済の手を差し伸べます
【ティファレト】 ああ、この私も その選択をしたのですね…
【ティファレト】 自身を犠牲にする必要すらない 完結した無償の愛を捧げる…
与えて与えて与えて与えて与えて 与えて与えて与えて与えて与えて 与えて与えて与えて与えて与えて
与えるだけ与えて 何が残るの?
【ティファレト】 すべてがあるのに 失うモノもないのに…
【ティファレト】 どうして私の中には こんな思いがあるのでしょうか…
ティファレトの心に 澱のように溜まっていく、不安
【ティファレト】 ああ…そうでした 思い出しました あの私達はすべて前世の私
【ティファレト】 私が忘れて この世界では選ばれなかった かつての私の記憶…
【ティファレト】 盲目だった私 教皇だった私 誓約した私
【ティファレト】 あの頃の覚悟も何も 今の私にはないけれど 内に宿るミカエルの力が囁くわ
【ティファレト】 欲に飲まれてはだめだと 与えて、捧げて、救うようにと それが私の宿命なのだと
ティファレトは悟る 「裏側」が許容するそうでなかった そうであったモノ達の重み
そして、今も抱えてしまっている 自身の根底にある欲深さ
【ティファレト】 これはたしかに… 戦って勝ち負けが決まるのなら どれほど簡単なことであったでしょう
【???】 エゴイストだって言うんだ?
「裏側」のティファレトへ 誰かが声を掛ける
【ティファレト】 その時の私は、与えることに 代償が必要であったからこそ…
【ティファレト】 見返りに愛を求める 卑しいエゴイストだと 自覚できたのでしょう
【ティファレト】 今の私は違います
【ティファレト】 それなのに、それなのにどうして…
欠けてもいない自分には もうその言葉は届かない
それでも与えて与えた先に 「私は愛されているのだろうか」 と問うノイズが付きまとう
【ティファレト】 うぅ、うぅぅぅぅ…
あの自分は 愛されているのかもしれない
絶望的な状況で手を差し伸べて 人々の救いとなれたのだから
それを目の当たりにした ティファレトはただもがく
それを求めてはいけないと 自分の中の強い思いがそれを罰する
【???】 なら、初めから 他者に何も望まなければ 楽だったっていうのにねぇ
【ティファレト】 その声は!?
【イチイバル】 やぁ、悩める聖女様の前に現れた 天才美少女イチイバルさんだよ
【イチイバル】 ドヤッ☆
【ティファレト】 これも「裏側」が見せる幻…?
【イチイバル】 失礼だなー このイチイバルさんは 紛れもない本物のイチイバルさんだよ
【イチイバル】 まぁ、ボクも「裏側」で キミに会うことになるなんて 驚きで物も言えないくらいだよ
【ティファレト】 そ、そうですか?
【イチイバル】 それにしても どうしてボクらが出会ったんだろうね
【イチイバル】 ボク達はそれぞれ別に あのふたりの力で「裏側」に 来たっていうのにね…
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