202212143 限定クエスト 雪下の騎士流離譚 雪下の騎士流離譚 ストーリークエスト 雪下の騎士流離譚 ストーリークエスト前編 5 - 雪下の騎士流離譚-4 雪下の騎士流離譚 前編-4 雪下の騎士流離譚 前編-4 戦闘後
【アロンダイト】 足跡を見つけて 追ってみたはいいものの やはりこの森に入ったのですね
【アロンダイト】 村の人ならここの危険性が わかっているはずなのにどうして…
【アロンダイト】 うっ…
胸の奥、内側からいくつもの 剣で突き刺されたかのような感覚
【アロンダイト】 はぁ、はぁ… どうして、こんな時に…
【アロンダイト】 ダメですね、こんな状態の私では 二次被害を起こしてシタ達に また迷惑をかけてしまいます
強くなった雪は 目印にしていた若者の足跡も 消し去ってしまっていた
【アロンダイト】 私が無理をするより 戻ってシタを呼んで――
【シタ】 アロンダイトさん!
【アロンダイト】 シタ! 来てくれたんですね!
【シタ】 村の人が呼びに来てくださって… あとは任せてください!
【アロンダイト】 はい、私では力不足ですので あとはシタにお願いできれば…
【シタ】 力不足なんかじゃないですよ! あの子のことを想ってここまで 追って来てくれたんですから!
【シタ】 それに、そのおかげでわたしも 後を追いやすかったんですから
【アロンダイト】 後を追いやすかった? この雪では足跡なんて…
【シタ】 アロンダイトさんの通った後を 追うのは二度目でしたから わたしにはばっちりわかりましたよ
【アロンダイト】 …あなたには敵いませんね では、後は任せました
【シタ】 はい! アロンダイトさんも気をつけて 戻ってくださいね
【アロンダイト】 シタの言葉は いつも頼もしいですね
それから数刻が経ち――
【アロンダイト】 …シタ!
【シタ】 ただいま戻りましたぁ
【若者】 …………
無事、シタは若者を連れ 下山してきたのだった
【若者】 …………
【父親】 これだけの人に迷惑をかけて 何か言ったらどうなんだ
【若者】 …はっ、何を偉そうに
【父親】 なんだと!?
【シタ】 まぁまぁ おふたりとも落ち着いて…
【若者】 俺なんかいなくなればよかったんだろ
【父親】 なっ
【若者】 そもそも探されなくても 俺は山を越えて向こうの街に 着くはずだったんだ、余計なことを…
【アロンダイト】 …………
【若者】 な、なんだよ
【アロンダイト】 …失礼しました 前職の癖で、つい
【シタ】 ここで暮らすあなたは 冬の山…それにあの森の恐ろしさは よく知っていたはずです
【シタ】 なのに、どうして 山や森のことを軽く見たり お父さんにそんな口ぶりなんですか?
【若者】 はっ、このオヤジは 俺がどうなろうと知ったこっちゃない
【若者】 たとえ山を越えられず 死んだと知っても手を叩いて 喜んだだろうよ!
【アロンダイト】 …………
【若者】 あんた達に 迷惑は掛けたかもしれないけど それはただの無駄骨だったんだよ
【アロンダイト】 …言いたいことはそれだけですか?
【アロンダイト】 そんなに死にたいのであれば 今ここで私が殺して差し上げましょう
【若者】 …………っ!
【シタ】 アロンダイトさん!
【アロンダイト】 もちろん、シタが救った命です 本当にあなたを今ここで 斬り捨てることはありません
【アロンダイト】 一時の感情であれ 家族の、親子の絆を自分勝手で 壊そうとした罪は重いですよ
【若者】 …………
【アロンダイト】 生きていれば迷惑をかけることは 多々あることです、些末なことです
【アロンダイト】 しかし、自身が働いた不義は その魂に突き刺さって一生抜けない 呪いとなるのです
【アロンダイト】 そんなことを言ってしまった自分は あの森で死んだことにして…
【アロンダイト】 心を入れ替えて 償い、生きるといいでしょう と忠告しておきます
【アロンダイト】 それでは、私はこれで
【シタ】 あ、アロンダイトさん! 待ってください!
【シタ】 待ってください! どこまで行っちゃうんですか
【アロンダイト】 …………
【アロンダイト】 …ごめんなさい、シタ 私はもうここから去らないと
【シタ】 …っ!
【シタ】 暴走の予兆、ですか…?
【アロンダイト】 ええ、先ほどの 若者への怒りは本当に 剣を振りかぶってしまいそうでした
【アロンダイト】 諫めるのではなく 諭すのではなく
【アロンダイト】 終わらせてしまうのが最善だと 選択してしまいそうな自分は もう、ここにはいられないのです
【シタ】 そんな、アロンダイトさんの怒りは 優しさ、思いやりが故のものです!
【シタ】 そんなに、自分を責めないで…
【アロンダイト】 ふふ、本当の優しさとは あなたのような者を指すのです、シタ
【アロンダイト】 こんな私によくしてくださって 本当にありがとうございます 深い感謝をあなたに
【シタ】 アロンダイトさん…
【アロンダイト】 あなたは悪くないんです そんな顔をしないでください
【アロンダイト】 私の中にある怒りはただの害悪
【アロンダイト】 あなたのような人のそばに いてはいけないのです
【アロンダイト】 私は、孤独でいるべきなんです
【シタ】 わたしとアロンダイトさんの 出会いは…無意味でしたか?
【アロンダイト】 すべてなかったことにしてしまえば そんなことも考えずに済みます
【シタ】 どうしても、行くのですか?
【アロンダイト】 元々、そうあるべきだったんです
【シタ】 …そうですか
【シタ】 わかりました
【アロンダイト】 では、さようなら
【シタ】 …………
【シタ】 アロンダイトさん… あなたは――
それが偶然出会った ふたりに訪れた必然の別れだった…
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