202302051 初心者クエスト 不可欠彩度レルム 不可欠彩度レルム 第2部 不可欠彩度レルム 第2部 2 - 不可欠彩度レルム-1 不可欠彩度レルム 第2部-1 不可欠彩度レルム 第2部-1 戦闘前
突如発生した地盤沈下により 街のシンボルだった カコルフェタワーは地に沈んだ
しかし、堅牢な作りであった タワー自体は崩壊を免れ、 内部は空間を保っていたのだった
【女１】 助けはいつ来るの… 私達はいつまでこうしていたらいいの
【男１】 魔獣を見たって話もある… さっきは助かったけど、先に死ぬか 後で死ぬかって違いしかないかもな…
逃げ延びた人々は身を寄せ合い 外部へ連絡が取れないまま ただ助けが来ることを待っていた
【？？？】 ――でも大丈夫！ 愛があれば乗り切れるはず！
そんな状況の中、 彼女のようなキル姫が人々を励まし 時折、襲い来る魔獣を退治していた
【？？？】 自分の胸に抱いた愛を信じれば どんなことがあったって大丈夫！
絶望的な状況においても 明るく、懸命に人々を励ますキル姫 彼女の名はダモクレス
【ダモクレス】
こんなピンチだからこそ
愛の力を、自分を信じるんだよ！
【男１】 あ、ああ…
【ダモクレス】
みんな不安なんだ…
だからこそ愛が必要なんだけど、
恐がってたら気付けないよね…
以前、ダモクレスはとある屋敷に 侍女として仕えていた頃、 愛について考える機会があった
そこで気づきを得た彼女は 多くの者へ愛を広める必要があると 考え、愛の伝道師として旅をしていた
【ダモクレス】
あの時はお嬢様が積極的だったから
トライアンドエラーって感じで
なんだかんだ上手くいったけど…
【人々】 …………
【ダモクレス】
やっぱり…ううん！
クレスまで弱気になったらだめだめ！
【ダモクレス】
クレスがいっぱい
みんなを励まして、癒してあげないと
【女２】 …そもそも、あなたが 「早く降りよう」なんて言うから こんなところで閉じ込められたのよ！
【男２】 なっ、それを言うなら ディナーの予約に間に合っていれば ここで巻き込まれることもなかった！
【ダモクレス】
ま、待って！
ケンカしてもいいことないって！
ね、今は仲良くしよ！
【女２】 …………
【男２】 …………そうだな
【ダモクレス】
あのふたり…
展望室で見かけた時は
とっても愛にあふれてたのに…
だが、あと少し降りるのが遅ければ 女の言う通り閉じ込められず 展望室から外へ出られたかもしれない
だが、あと少し早く出ていたら 男の言う通り外から沈みゆく タワーを眺めていたかもしれない
そんな、『かもしれない』が 自分を、他者を、傷つける
ここは沈んだカコルフェタワーの 恐らく最下層――
もっとも救助から遠く 絶望で満ちた空間
【ダモクレス】
…………
ダモクレスの愛の理は この暗闇の中で輝きを見せることが できるのだろうか…
【パンドラ】
やっぱり、
『裏側』の気配はこの下から？
【マクリル】
うん、たぶん…すごく、する
【パンドラ】
たぶんなのにすごくするのね
【グリダヴォル】
で、ふたりなら
なんとかできるんだよね！
パンドラとマクリルの会話に 割って入ったのはキル姫グリダヴォル
彼女は今回の事態において 真っ先に救助活動を始めたひとりで 救助を行う警備隊の手伝いをしていた
【パンドラ】
――そうね、なんとかなるわ
【マクリル】
なんとかなるかなぁ…
救助なんて私にはできないけれど
【パンドラ】
これ以上の被害を出さないように
することができるかもしれないわ
それはきっと間違いない
【グリダヴォル】
かもしれないなのに間違いないんだ…
【マクリル】
でも、『裏側』がきっかけなら
原因はわかる…と思う
【パンドラ】
そしてその原因がわかれば
魔獣の発生は抑えられるはずよ
【グリダヴォル】
うーん、不確定要素が多いのが
心配を通り越して不安だけど…
【グリダヴォル】
それでも、今は猫の手も借りないと
いけないくらいの状況だし～…
【マクリル】
…にゃーん
【パンドラ】
…………え？
【マクリル】
猫の手も借りたいと言っていたから
【グリダヴォル】
…えぇと、それじゃあ
今のタワーの状態を
簡単に説明するね
【グリダヴォル】
原因不明…たぶん『裏側』の
影響によるものだって話の地盤沈下
でタワー自体が埋まっちゃった
【グリダヴォル】
崩れるではなく埋まってる、のは
この街の象徴カコルフェタワーの
造りが異様なくらい頑丈だったから
【グリダヴォル】
でも、それもいつまで
保っていられるかはわからない…
【グリダヴォル】
救助の最中で崩れたりしたら
二次被害も考えられる…
という訳で救助が難航してるの
【グリダヴォル】
私達キル姫なら通れるくらいの
ルートならいくつかあるんだけどね
【パンドラ】
それは崩れる可能性があるから
キル姫にしか通れない、ということね
【グリダヴォル】
…そう、それも本当なら
タワーに詳しいキル姫ならって話なの
【マクリル】
でも…私達が行くしか、ない
【グリダヴォル】
うん
原因を調べるのは猫じゃなくて
君達にしかできないことだから
【パンドラ】
…………
【マクリル】
…………
マクリルとパンドラは その重責に思わず顔を見合わせる
【グリダヴォル】
本っ当は私が救助も込み込みで
行きたいところなんだけど、
それも止められてて…
【グリダヴォル】
無茶して逆に被害が広がりそうだー
とかなんとか言われて…酷いよね！？
【マクリル】
酷いの…？
【グリダヴォル】
あはは…
そんなこと聞かされても困るか
【パンドラ】
それにしても…本当にいいの？
【グリダヴォル】
うん？
あ、心配しなくていいよ
【グリダヴォル】
ふたりに託すのは警備隊でも
話し合って決めたことだから
【グリダヴォル】
それに、君達がすでに街のために
動いてくれてるっていうのは
話題になってたからね
【マクリル】
…………
【パンドラ】
マクリル、大丈夫
どうにかなるわ
【マクリル】
…うん、私頑張る
【グリダヴォル】
…よし！
じゃあ、案内するね！
Next: 202302053