202305061 初心者クエスト 不可思議仕儀ツークンフト 不可思議仕儀ツークンフト 第2部 不可思議仕儀ツークンフト 第2部 2 - 不可思議仕儀ツークンフト-1 不可思議仕儀ツークンフト 第2部-1 不可思議仕儀ツークンフト 第2部-1 戦闘前
【カシウス】 …………
旅をするキル姫、カシウス
かつてカシウスの旅には宛てはなく 世界を見るという行為自体が 目的だと言えるものであった
【カシウス】 わたしは絶対的な観測者ではなく あくまで世界を構成する一因だった
今まで世界のすべてを あるがままに受け入れてきたカシウス
だが、彼女は自身もまた 世界の未来を見据え 手を差し伸べられると知ったのだ
【カシウス】 故に、今のわたしには これまで持ち得なかった目的、目標 至るべき理想が…この胸に存在する
その目的とは知の集積地であり 継承の場たる学園の創造
【カシウス】 目的というものは いざ掲げるとなると 困難ばかりが立ちふさがるもの
要は候補地が見つからないのだった
【???】 あっれぇ~?
【カシウス】 あれは…
カシウスは 何やら困っている様子の キル姫に遭遇する
【カシウス】 そう、今のわたしは 目の前の問題を看過しない それがキル姫であったとしても
カシウスはそのキル姫に声を掛ける…
一方その頃――
そこは地の底 死者の国との境界線
その境界の番を役目とする キル姫、イージスが膝を抱え 何やらぶつぶつと言っていた
【イージス】 私だって別に… でも、そんなこと言われたって…
イージスがいじけているのは ある来訪者との会話が原因だった――
【ティルフィング】 ――ですから、イージスにも この世界で思うままに自由に 過ごしてもらえたらいいなと…
【イージス】 私は私の役割を理解し 実際にそれを果たしているのだ そこに不自由はない
【ティルフィング】 死者が地上に向かわぬよう 番人として境界を守る…
【イージス】 ああ、それを理解しているなら 何故そのようなことを言う?
【ティルフィング】 かつての世界であれば それはとても大事な役目でした…
【ティルフィング】 ですが、今の世界で アナタはコマンドキラーズとしての 使命に縛られる必要はありません
【ティルフィング】 私も異常を察知できますし なにかあればカオスリーパー達が 十分にその役目を果たすでしょう
カオスリーパー
イージスがかつて神令した 死者の国の女王…女神ヘルの力を使い 生み出した巨大な異形である
多少恐ろしい死霊の姿をしているが、 イージスの頼れる仲間として ともに死者の国との境界を守ってきた
【イージス】 …まぁ、カオちゃん達は優秀だ しかし、それとこれとは話が別だ
【イージス】 私に自由を説くのなら 私は私の役割を全うするという 自由を行使させてもらうだけだ
【ティルフィング】 そう、ですか 無理強いをするつもりはありません けれど、私は…
【イージス】 …貴様の気遣いには感謝する だが、私には無用だったというだけだ
【ティルフィング】 …はい あの、また遊びに来ますね
【イージス】 …………ああ
踵を返し 地上へ向かうティルフィングを イージスはただ無言で見つめていた…
【イージス】 別に! 私だって! 外に行きたくない訳じゃないし!
【イージス】 たまの用事で地上に出て ついでにみんなに会うと なんか、すっごい嬉しいし…
【イージス】 でも、でも…
【イージス】 …ずっとここに居た私が 今さら地上の世界で暮らすなんて まっっっっっったく想像できない!
【イージス】 去年読んだ本に載ってた海とか おととし読んだ雑誌のお店とか 行ってみたいところはメモしてるし…
【イージス】 でも、それは行ってみたいだけで そこで暮らす自分はやっぱり 想像できないっていうか…
【イージス】 ここに居ても悪いことないよね そもそも、自由って…なんなのよ
【イージス】 どうしたらいいの… こんな時の為の本なんて 読んだことないわよ…
【イージス】 うう… ティルフィングにも 酷いこと言ってしまったし…
頭を抱え悩むイージスを カオスリーパーが見つめていた…
【カシウス】 何をしているの?
カシウスは人気のない山の麓で ひとりなのにも関わらず大きな声で 感情表現しているキル姫に声を掛ける
【???】 うぉああっ!? び、びっくりした…
【カシウス】 相手の困ったことを聞き出すには 話しかける必要があると思ったけど 何か間違いがあったみたい
【???】 や、それ自体は間違ってないけど 急に声掛けられたら驚くって!
【カシウス】 わたしはカシウス たまたま通りがかって 唸っているあなたを見つけたの
【トライデント】 えっと、私トライデント もう会話が次のターン行ってる?
【カシウス】 あなたは何か困っている それを手助けしようと声を掛けた 今、思考すべきは問題の解消
【トライデント】 ま、助けてもらえるなら なんでもいっか!
【トライデント】 そう、トライデントはこの通り 困っているんだよね~
【カシウス】 その割には緊迫感がないわ
【トライデント】 ん~、この辺りにあるはずなんだけど 見つからなくてさぁ…
【カシウス】 失くし物探し わかった、手伝うわ
【トライデント】 落とし物とかじゃないよ? あ、でも村の人からしたら 無くなって困るものか
【カシウス】 …………
【トライデント】 ごめんごめん! ちゃんと話すから無言やめて! なんか圧すごいから!
【トライデント】 近くの村が水不足で困っててさ トライデントならなんとかできる って思って水源探し中なんだよね
【カシウス】 水源探し…簡単に言うけれど そうそう見つかるものではないのでは
【トライデント】 見つけるの得意なんだ! で、たぶんこの辺りなんだけど ちょっと変な感じでさ…
【カシウス】 …変な感じ?
【トライデント】 それで掘ろうか悩んでたんだけど ま、掘ってみればわかるよね! ここ掘れわんわん!
【カシウス】 ちょっと待って…
と、カシウスが声を掛けた時 トライデントは 地面へ向けて槍を突き立てていた
【トライデント】 たぁぁぁぁぁ!
それも、全力で
【トライデント】 お、行けそう?
トライデントの強烈な一撃は 地面を貫き、地響きを引き起こし――
【カシウス】 …………
ふたりは地割れに飲み込まれ――
ドボン、と地底湖に落ちた
【トライデント】 てへ、やりすぎちゃった☆
【カシウス】 …………
【トライデント】 のああああ! だからその無言怖いからやめてー!
【トライデント】 けどさ、ほら! 水源は見つかった訳だし!
【カシウス】 まだ、収まってない…
【トライデント】 そんなに怒ってたの!? もうしわけぇ~!
【カシウス】 違うわ、 この崩落はまだ収まってない…
【トライデント】 えっ
一度は収まった地響きが再び起きる
【トライデント】 水位、下がってるね?
【カシウス】 さらに下層があるようね
【トライデント】 ぎゃああああああ~!
【イージス】 何!?
イージスは突然の地響きに驚き 慌てて音のする方へ駆けつけた
【イージス】 カオちゃんも慌ててる… やっぱりまだ境界が不安定に なることもあるってこと…って上!?
カオスリーパー達の視線は天井 イージスが見るとひび割れと そこから水が流れ出していた
【イージス】 これが雨漏りってやつね…っ! 万が一地上で暮らす時の為に 対処法は調べてあるのよ!
【イージス】 えーと、 「バケツで水滴を受け止めます」
【イージス】 …これ、バケツで足りるかしら?
【カオスリーパー】 ?
イージスが対策を練っている間も ヒビは大きくなっていき…決壊した
【イージス】 わあああああああっ!
【トライデント】 わあああああああっ!
【イージス】 わあああああああっ!?
【カシウス】 …………
【イージス】 ええええっ!?
【イージス】 け、怪我はないようだな
イージスは落ちてきたふたりを 盾を巧みに使い受け止めた
【トライデント】 ありがとぉ~ 一時はどうなることかと思ったよ~
【イージス】 けど、水が…水が止まらない! えっと、これは雨漏りじゃなくて…
【イージス】 これだ! 眠れない時には羊を数えて…すやぁ
【イージス】 じゃなくて!
【カシウス】 …………
慌てるイージスに それを見るカシウス そして横にいたトライデントが…
【トライデント】 よっ!
と、水の流れを変え あっという間に地底に流れ込む 大量の水を止めてしまった
【イージス】 え、そんな簡単に…
【イージス】 な、中々やるわね… いや、中々やるじゃないか
【トライデント】 今の言い直す意味あった…?
【トライデント】 って、そうじゃなくて! 誰か住んでるなんて知らないで 大穴開けちゃってごめんなさい…
【トライデント】 実は、かくかくしかじかで…
【トライデント】 という訳でお騒がせしました…
【イージス】 こんなにも間抜けな賊はいない と思って助けたが…
【イージス】 事情あってのことならば なおさら責めることなどせん
【トライデント】 ありがとぉイージスぅ! …ってちょっぴりディスられた?
【イージス】 こちらは地底と死者の世界の 境界に問題がなく、地上への 影響もないのであればこの件は不問だ
【カシウス】 …………
【イージス】 カシウスか 久し振りだな 貴様のことも…って、どこを見ている
【カシウス】 あなたの話を聞く限り 地上への影響は問題ということね
【イージス】 ああ、この地の番人として 地上の世界を守ることも 私の役目だからな…っ!
【イージス】 …決まった!
【カシウス】 ということは… あれが地上に出るのは望ましくない?
【イージス】 あれ?
と、イージスが カシウスが見ていた方を見る すると…
【イージス】 カオちゃん!?
カオスリーパー達が 天井に空いた穴から次々と 出て行く姿があった
【カシウス】 その反応… やはり不測の事態ね
【イージス】 ど、どうしよ カオちゃんが外に出て行くなんて…
【トライデント】 と、とりあえず 後追ったほうがいいんじゃない!?
【カシウス】 そうね、行きましょう
【イージス】 あ、ああ!
三人もカオスリーパーの後を追い 地上へ向かうのだった…
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