202309023 初心者クエスト 不可思議仕儀ツークンフト 不可思議仕儀ツークンフト 第3部 不可思議仕儀ツークンフト 第3部 2 - 不可思議仕儀ツークンフト-1 不可思議仕儀ツークンフト 第3部-1 不可思議仕儀ツークンフト 第3部-1 戦闘後
【フォルカス】 はっ!
【アスカロン】 ふぅ、これでひとまずは 問題なさそうですね
【フォルカス】 ええ…
街の人々を守る為、 魔獣と戦うフォルカスとアスカロン
彼女達の活躍に住民達は感謝をし、 彼女達もまたその思いに応える
各地を転々とするフォルカスは 行く先々で 街の警護を担当してきたらしい
【フォルカス】 また何かありましたら お呼びくださいね
【老人】 おお、ありがとう 本当にあなた達には 足を向けて眠れませんな
【フォルカス】 そんな…大げさですよ それでは、また
【アスカロン】 …………
何気ない 当たり前の会話
【アスカロン】 なんか、違うんだよなぁ…
【老人】 おや、どうしましたかな?
【アスカロン】 あ、いえ! なんでもないです!
アスカロンは去って行く フォルカスの背中をただ見つめる…
【カシウス】 運命が導く街… やがて辿り着くは如何なる地か
【イージス】 ここで間違いないはずだ ヘルの気配が強いからな
【イージス】 しかし、これでは…
イージスが見渡す街中は 人通りも多くキル姫も多数いるようだ
【イージス】 うずうず
【カシウス】 繋がりがあっても正確な位置が わかるという訳ではないのね
【イージス】 有事であればできることもあるが… 気がかり程度で事を大きくする 必要もないだろう
【イージス】 うずうず
【カシウス】 …活気があって見慣れない物も多い 世界を見るにはいい場所ね
【イージス】 そ、そうだな! フォルカスを探すにも 情報収集しないと!
【カシウス】 街を見て回りましょう
【イージス】 ああ!
【カシウス】 …………
【カシウス】 …イージスの気持ちも理解できる 規模はこちらの方が大きいのに 自然もあるこの街はとてもいい
【カシウス】 アルマスも如意金箍棒も 同じ考えに行き当たるはずよ
【イージス】 何をしている! しっかり私の後をついてこい!
【カシウス】 …歩行は思考を巡らせるのに 適度な刺激として有用
【イージス】 よい街だな!
【カシウス】 食べ歩きに最適なことは イージスが証明したわね
【イージス】 し、仕方ないじゃない 初めて見るものばかりなんだし…
【カシウス】 責めてはいないわ 流通を見るにも食は大事な要素
【アスカロン】 あれ、見慣れないキル姫さんですね
【イージス】 わぁ!?
【アスカロン】 ご、ごめんなさい! 急に話しかけちゃって…
【イージス】 い、いえ、いいのよ… じゃなくて、いや、いいんだ
【アスカロン】 言い直した…?
【イージス】 私はイージス よろしくな
【アスカロン】 あ、私はアスカロン この街にちょっと長くいまして…
【アスカロン】 おふたりは旅行か何かですか?
【カシウス】 そんなところ 今は街の情報収集中
【アスカロン】 そうなんですね! なら、図書館に行くといいですよ!
【イージス】 図書館…本がいっぱいある?
【アスカロン】 はい! 利用者は少ないのですがこの街が 作られた頃からある図書館らしく…
【アスカロン】 何かを調べるには最適です あ、よかったら私が案内しますよ!
【カシウス】 いいの? そこまでしてもらって
【アスカロン】 もちろん、お任せください!
【イージス】 なら、その言葉に甘えるとしよう
【イージス】 うずうず
【アスカロン】 冷静を装えてない…っ!
【イージス】 ……………………
【アスカロン】 ど、どうしました?
【カシウス】 心配は無用 ちょっと物珍しさに固まっているだけ
【カシウス】 付き合いは短いけれど そのくらいはわかるようになったわ
【イージス】 こ、これって…全部読んでいいの!?
【アスカロン】 え、ええ…図書館ですから?
【イージス】 うおおおおおおおおお!
【カシウス】 雄叫びをあげて本を読み漁るのは 初めて見る姿だけれど…
【カシウス】 それにしてもすごいわね、ここ これだけの蔵書を集めて管理するの とてつもない労力を感じるわ
【アスカロン】 この図書館の維持のために 街があるようなものらしいですよ
【カシウス】 …なのに、利用者が少ないの?
【アスカロン】 とある商人が商売の記録を残し 世に出回る書物も置くようになった
【アスカロン】 いつしかその蔵書を求める 人達が集まり街になった
【アスカロン】 その功績を讃える為 この図書館が建てられたのですが 形骸化してしまったようなんです
【カシウス】 知の集積だけで 継承が成されなかった…
【カシウス】 要素はすべて揃える必要があるのね
【アスカロン】 要素、ですか?
【カシウス】 それはこちらの都合の話
【アスカロン】 そう、ですか…
【アスカロン】 それにしても、図書館のことも ご存知なかったようですし
【アスカロン】 情報収集と言ってもこの街自体が 目的だった訳ではないのですか?
【カシウス】 今、あそこで本から得られる 情報の波に溺れているイージスは この街に目的があると言っていたわ
【カシウス】 わたしはそのついで だけれど、成果は得られそう
【イージス】 …とあるキル姫に用があってな
【カシウス】 本はもういいの?
【イージス】 明日も明後日も来ると決めた 焦る必要はないのだ
【カシウス】 …答えが出たなら 思考は次に進めるべきね
【カシウス】 イージス、落ち着いたのなら アスカロンと話をするといいわ
【イージス】 ああ、そうだな… で、カシウスは?
【カシウス】 要素を揃えるわ
【イージス】 いまひとつ言葉が足りないんだよな…
【アスカロン】 あはは…
【アスカロン】 ところで、そのキル姫って どなたなんでしょうか? 私が知っているといいんですけど
【イージス】 そのキル姫というのは――
【フォルカス】 っ!
【イージス】 フォルカス!
【アスカロン】 どうしました? 図書館に来るなんて珍しいですね
【フォルカス】 え、ええ、ちょっと… それより、イージスがどうして?
【アスカロン】 えっ、おふたりは知り合い!? それじゃあイージスさんが 用があるのって…
【イージス】 ヘルを通して感じるフォルカスに 何か違和感のようなものがあってな
【イージス】 隊員の様子を伺うのも隊長の役目 たまには直接会いに行こうと思ってな
【フォルカス】 そうだったんですね… 久しぶりに会えて嬉しいです
【イージス】 世辞はいい 何か調子がおかしいなんてことは?
【フォルカス】 何か、と言われても… そうですね、問題はありませんよ?
【イージス】 …………そう、なら気のせい、かな
【フォルカス】 イージスが地上に出て… しばらくはこの街にいるんですか?
【イージス】 カオちゃん達にも背中を押されてな 世界を見て回っているのだが… そうだな、しばらく滞在するつもりだ
【フォルカス】 それはよかった 近いうちに食事でもしましょう
【イージス】 食事!
【イージス】 …コホン、この街の飯は美味い 再会を祝うには相応しいだろう
【フォルカス】 それじゃあ… アスカロンに泊まる宿を伝えておいて
【フォルカス】 店を決めたら連絡します …それじゃ、私はこれで
【アスカロン】 あれ、図書館に用事があったんじゃ…
【フォルカス】 違う用事を思い出してしまって… イージスのこと、お願いしますね
【アスカロン】 …………行っちゃいました
【アスカロン】 イージスさんはフォルカスの 神令仲間、だったんですね
【イージス】 それも同じ神を半身ずつ宿している
【イージス】 …おかしいな それなら私が近くにいるのにも 気付けたはずなのだがどうして――
【アスカロン】 フォルカスは嘘を言ったりしてない でも、やっぱり変だと思うんです
【アスカロン】 フォルカスはセブンスであることも 神令であることも大事にしてくれて…
【アスカロン】 仲間であったみんなを 強く想ってくれている
【イージス】 …ああ、だから私はフォルカスに 隊長代理を任せたのだ
【アスカロン】 でも、それと同時に 「そうである自分」の全部を 罪として背負っている…
【アスカロン】 私にはそう見えるんです
【イージス】 …………
【アスカロン】 街の人に対してもそう どこか壁を作っているようで…
【イージス】 …そう、フォルカスが あの姿でいてもヘルを宿したまま 過ごしているのは――
【イージス】 誰もあの子を憎んでなんていないのに
【カシウス】 干渉は悪いことではない それに、あなた達には資格がある
【アスカロン】 カシウスさん、戻っていたんですね
【カシウス】 用が済んだから… 途中から話を聞いてしまったけれど 要はふたりとも目的は同じでしょう?
【イージス】 フォルカスは地上にいて 人々と交流して過ごすことで 生まれた思いに苦しんでいた…
【イージス】 私に流れ込んできた 違和感がそれなら 私がするべきことは決まった
【アスカロン】 …自分で自分を憎もうとしている フォルカスのことを救いたいっ!
【イージス】 ああ!
【カシウス】 なら、話をしに行かないとね
【イージス】 そうだな 食事の予定なんて関係ない 今すぐ会いに行こう
【カシウス】 …食事?
【イージス】 いや、それは気にしないで! ほ、ほら、行くぞ!
【カシウス】 …………
【イージス】 フォルカス、いるか!
そうしてイージス達が訪れた フォルカスの部屋だったが…
【アスカロン】 フォルカス…?
【カシウス】 しばらく見ないうちに ずいぶんと小さくなったのね
【イージス】 …………え?
そこには、幼くなったフォルカスが 待ち受けていたのだった…
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