20252202 エルキュール クリスマスver. 『零式・聖夜の一掃』
街の外は雪原 かろうじて残っている道を 二人は慣れない足取りで進んで行く
【エルキュール】 雪ってうっすら 青く光るんですね
静かな世界に2人の足音と 息遣いだけが響く
積もったばかりの粉雪が 風で舞い上がり、 ちらついている雪と混ざり合う
【エルキュール】 なんだか幻想的…
しかし、徐々に道がなくなって来た マスターはエルキュールの前へ出る
足元が不安定になって来たから 僕が先に歩こう
【エルキュール】 お気遣いありがとうございます!
マスターが先を歩いてくれているが 固くなった雪の上に新雪が積もり なかなか歩きにくい
【エルキュール】 歩いているだけで… 結構…運動になります…
【エルキュール】 ねっ!?
【エルキュール】 うう… 転んじゃいました…
マスターはクスッと笑いつつも 彼女に手を差し出す
エルキュールは恥ずかしそうに マスターの手を取って立ち上がる
【エルキュール】 !! マスターの手、すごく冷たい…!
【エルキュール】 はーっ、はーっ
エルキュールはマスターの手に 息を吹きかけて温めようとする
あはは… と、はにかむマスターを見て、 大胆さに気付くエルキュール
【エルキュール】 あっ…!えっと… これは…その…
【エルキュール】 ほ、ほらっ! 森が見えてきましたよ!
【エルキュール】 マスター、 奥の方でなにか 光っていませんか?
たしかに彼女の言う通り 奥の方でうっすらと光るものがある
【エルキュール】 これが… 『願いの叶う木』でしょうか?
二人の目の前には 今にも光が消えそうな 針葉樹が1本あった
【エルキュール】 どうしたんでしょう、光が…
そして二人の目の前で 木は光を失う
【エルキュール】 !!
【エルキュール】 このままだと、 街の人が悲しんでしまう…!
【エルキュール】 それに、 せっかくマスターと来たのに…
【???】 グギャ!
【エルキュール】 異族! まさかそのせいで木が…!?
エルキュールは強い眼差しで 異族を見る
【エルキュール】 光が消えてしまったのなら…!
【異族】 グギャア!
【エルキュール】 この木のように 『希望の光』は今もどこかで 失われているのかもしれない…
【エルキュール】 でも、仮にそうだったとしても 希望の光は、私が何度でも 灯してみせます!
【エルキュール】 私は人々の “希望”になるんです!
彼女の強い決意が森に響き渡る
【エルキュール】 なんだか力が湧いてくる…
それはエルキュールが 『零式・聖夜の一掃 -セイント・イリュージョン-』を
取得した瞬間だった
エルキュールが 武器をひと振りすると、 木に光が灯っていく
エルキュールに内包された 希望と呼応し、
『願いが叶う木』は 元の姿を取り戻したようだった
綺麗だね、とマスターは 自然と声を出していた
【エルキュール】 綺麗ですね、マスター
【エルキュール】 …………
【エルキュール】 マスターと二人で 来ることができて、 本当に嬉しいです
木に灯った光を受け、 エルキュールは素直に その一言を付け加えることができた
エルキュールは頬を少し紅潮させ きらきらの笑顔をマスターに向ける
願いごとはしなくてもいいの?
【エルキュール】 はい、私はこの願いの叶う木が 再び人々に光を照らす… それだけで充分です
【エルキュール】 それに… 私の願いも叶っちゃいました
『願いを叶える木』は 願いそのものを叶えるのではなく、 願いを叶えたい人に、
一歩踏み出す勇気をくれる 木だったのだと、 エルキュールは実感していた
エルキュールは くるりと後ろを向き、 ずんずんと歩き出した
【エルキュール】 お、斧を振ったせいか手が かじかんじゃいました!
照れ隠しのせいか彼女の歩みは早い マスターはエルキュールの後を 慌てて追いかけるのだった 一枚絵ボイス「マスター、あの…。えへへ。なんでもないです♪」
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