2027121 アハト 残る思い
【アハト】 やっ! たあっ!
彼女の名は、アハト どこか違う世界から現れ、 マスターのもとへとやってきた姫だ
【アハト】 はっ!
一人で鍛錬をするアハトに 今日もがんばっているね、と マスターは声をかける
【アハト】 はい…
ただ、ここは異族もよく現れるし、 一人じゃ危ないんじゃないかな、と アハトを心配して言うが…
【アハト】 いえ、問題ありません… では、失礼します
アハトはそっけなく返事をし、 すぐに鍛錬に戻ろうとする
しかし、マスターはアハトのどこか 焦っているような、厳しい表情が 気になって、思わず呼び止める
【アハト】 …まだ、なにか?
マスターは、もし悩みがあるなら、 よかったら聞かせてくれないか、と 言ってみたが…
【アハト】 どうして…
【アハト】 ですが、アナタには、 関係のないことですので…
たとえそうだとしても、 なにか手助けができるかも、と マスターは続ける
【アハト】 いえ、不可能です
不可能どうかは、聞いてみないと わからないじゃないか、と マスターも負けじと食いさがる
【アハト】 はぁ…アナタという人は…
【アハト】 私は…私を救ってくれた、 “太陽”のようなあの人のために 強くあらねばなりません…
【アハト】 あの人のために戦い、 勝つことが私のすべてなのです
【アハト】 …ですが、違う世界にいる この状況では、 どうすることもできません…!
めずらしく感情を見せる アハトの姿に、 マスターはただならぬ決意を感じた
【アハト】 この場所が危険なのは承知しています だからこそ、ここに身を置くのです
【アハト】 異族や鍛錬に集中している間は あちらの世界のことを少しだけ 忘れられるような気がするんです…
【アハト】 ですから、私のことは 放っておいてください…
最後は、いつも通りの淡々とした アハトに戻ってしまった
ますます心配だ、という マスターに対して、アハトは
【アハト】 …一人で戦えます 心配は無用です
と、突き放すように言い放つ その時、ふたりの近くで 耳障りな声が響いた
【異族】 グギャアアア!!
【アハト】 …そんなに心配でしたら そこで見ていてください、 実戦で証明します
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