210022202 レーヴァテイン 怠惰の行き着く先
【レーヴァテイン】 ふあぁぁ…
せっかくプールに来たのに、 特になにもせず、ただゴロゴロと 寝ているだけのレーヴァテイン
しかしマスターはめげずに、 彼女を誘ってみる
【レーヴァテイン】 え?なに?
あっちの流れるプールで 泳がない? …とか
【レーヴァテイン】 …いい
限定のソフトクリームが あるんだって、食べに行かない? …とか
【レーヴァテイン】 いらない
みんなとビーチバレーでも… …とか
【レーヴァテイン】 超めんどくさい
なかなか重い腰を上げてくれないね そう言うマスターに、彼女は…
【レーヴァテイン】 …重いって、どういう意味よ?
すみません、 体重の話ではございません すぐ頭を下げるマスター
それにしても、なにを言っても、 彼女は「めんどくさい」の一点張り
だが、それでも諦めないマスターは、 次に大きな浮き輪を持ってきた
【レーヴァテイン】 ………
これならどう?浮かんでるだけ、 めんどくさがり屋のキミに ピッタリだと思うけど、とマスター
【レーヴァテイン】 ………
じ~~~っと、 マスターを見つめる彼女
ど、どうしたの?これも… お気に召さなかった? マスターが心配そうに尋ねる
【レーヴァテイン】 ……ま
【レーヴァテイン】 それだったら… やってもいいかもね
【レーヴァテイン】 別にここで寝てるのと一緒だし
初めて彼女が 受け入れてくれた瞬間だった
【レーヴァテイン】 …ふぅ
プールにプカプカ浮かびながら、
【レーヴァテイン】 …ねぇ
彼女がマスターに尋ねる
【レーヴァテイン】 どうして……
【レーヴァテイン】 ここまでしてくれるわけ…?
どうして…って? 逆にマスターが聞き返す
【レーヴァテイン】 私は元ブラックキラーズ…
【レーヴァテイン】 背負った業は…『怠惰』
【レーヴァテイン】 知ってるでしょ? それなのに… なぜ、こんなに構ってくるの?
背負った業の通り、 普段は気だるげな彼女
しかし、戦闘になるとそれは一変、 恐ろしいほどの狂気を見せる時がある
怠惰に過ごせば過ごす程、 その反動で狂気が暴走する…違う? とマスターが尋ねる
【レーヴァテイン】 ふぅ~ん… そんな風に考えてくれるんだ
それに…
【レーヴァテイン】 まだ、なにかあるの?
やっぱり、せっかくの夏なんだし、 単純に楽しんで欲しいんだ 笑顔で答えるマスター
【レーヴァテイン】 ………
少し考えてから、 彼女が答える
【レーヴァテイン】 だって…
【レーヴァテイン】 夏は暑いから
【レーヴァテイン】 なにをやるのも… めんどくさいじゃない
キミが心配なんだよ、いつか 業に潰されるんじゃないかって とマスターが彼女に告げた
【レーヴァテイン】 ………
【レーヴァテイン】 心配……か
彼女が呟いた次の瞬間、 ザバッ…と水しぶきの音が
【レーヴァテイン】 …!
現れたのは異族の群れだった
【レーヴァテイン】 心配って言うのなら…
【レーヴァテイン】 見ててよ、マスター
【レーヴァテイン】 私の狂気が、 本当に“怠惰”で暴走するか、 どうか…
気だるそうな目から一変
意を決したような眼光を放ち、 彼女が剣を取り出す
【レーヴァテイン】 さてと…いっちょ、やらないとね
彼女の背中を、心配そうに 見つめるマスターだった
Next: 210022203