210023211 レーヴァテイン・獣刻・バハムート リーダーの役割
朝――
まだ夏の太陽が 昇っていない時間帯
【レーヴァテイン】 はぁっ!!
マスターの隊は、 異族の群れと戦っていた
【レーヴァテイン】 そこ! もっと右に回って援護して! 私が仕留める!!
隊の姫に指示を出しながら、 剣を振るうレーヴァテイン
【レーヴァテイン】 はぁっ!
瞬時に反応し、また自分も 他の姫に指示を出しながら、 戦い続ける
【レーヴァテイン】 はぁ…はぁ…
【レーヴァテイン】 …勝った
彼女の力戦奮闘により、 マスターの隊は見事、 勝利するのだった
歓喜に沸く姫たち
【レーヴァテイン】 ……ふぅ
だが、レーヴァテインだけは、 少しくたびれた顔を見せていた
昼――
いよいよ太陽が照り付け始めた頃、 マスターの隊は戦闘の疲れを癒すべく 自由に過ごしていた
海で泳いだり、ジュースを飲んだり、 思い思い楽しそうに遊ぶ姫たち
レーヴァテインはと言うと…
【レーヴァテイン】 ………
朝の戦闘でよほど疲れたのか、 一人ハンモックで休んでいた
……が、
ねぇ、レーヴァテイン ちょっといい? と集まってくる姫たち
【レーヴァテイン】 なに…?
みんな、リーダー格の 彼女に頼ってくるのだ
姫たちの頼みごとに、
【レーヴァテイン】 おっけ… で、どうしたいの?
…と、 逐一答えてあげる レーヴァテイン
それは、 半ば諦めに 近いのかも知れない
【レーヴァテイン】 おっけ… で、どうしたいの?
今や彼女の口癖に なっている台詞
【レーヴァテイン】 ……ふぅ
頼まれごとを断らない彼女
ますます疲れた顔になってしまう
【レーヴァテイン】 ………あ
そこにやってくるマスター
【レーヴァテイン】 あのさ……
【レーヴァテイン】 さっきみたいなの…
【レーヴァテイン】 マスターに やって欲しいんだけど
チクリと嫌味を言う彼女
それに対しマスターは、 ごめんね…いつも、ご苦労様 と冷たいドリンクを差し出す
【レーヴァテイン】 別に…いいけど
キンキンに冷えた甘いジュースが、 彼女の渇いた喉を通り過ぎていく
【レーヴァテイン】 …ふぅ、ごちそうさま
飲み終わった頃を見計らい、 マスターが彼女に尋ねる
大丈夫?無理してない? 僕で良かったら、 話くらいなら聞けるから…と
【レーヴァテイン】 ………
【レーヴァテイン】 あのさ…
何かを言い掛けた時…、
【レーヴァテイン】 …あ
彼女の頭の上を、 小さな麦わら帽子が 飛んで行った
それは海面に落ち、 沖へと流されていく
【レーヴァテイン】 あの帽子は…?
見ると、腕で顔を覆い、 泣いている小さな女の子の姿が
【レーヴァテイン】 ………
その子の元に行き、 彼女はこう声を掛けた
【レーヴァテイン】 …で、どうしたいの?
取ってきて…欲しい… 少女が涙と共に答える
【レーヴァテイン】 …おっけ、わかったわ
ボードに乗り、 沖に漕ぎ出そうとする レーヴァテイン
僕も付き合うよ と、マスター
【レーヴァテイン】 ……うん
【レーヴァテイン】 ありがと
麦わら帽子に向かって、 マスターと共にパドリングしていく レーヴァテインだった
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