210111071 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第11章 問いかける幻獣 ―ダイアローグ― 第１話 久遠問答-7 戦闘前
【グリモワール】
変わらない穏やかな日常の価値？
何、それ？
【グリモワール】
誰だって穏やかに過ごしたいでしょ
本能よ、本能
【？？？】 では、本能とは何だ？
【カミト】 うわっ！？ ウロボロスが話しかけてきた…
【リサナウト】
いえ、違うわ
今のは、たまたまね
【グリモワール】
たまたま？
どういう意味よ？
【リサナウト】
さっきのあなたの発言に反応して
ウロボロスが喋ったわけじゃないわ
ほら、耳を澄ませてみて
【リサナウト】
この結界、外からの音は遮断するのに
中の音は素通りなのよ
【リサナウト】
だから、二人が何を話しているのか
聞こえてくるわよ
【グリモワール】
本当かしら？
…………
【カシウス】 本能…生まれつき持っている性質… また「生」に戻ってきた…
【カシウス】 生は死を忌避する… それは何故…？
【ウロボロス】
生から死への一方的な変化を
否定するのは何故なのか…
【アスカロン】
何だか難しそうな話し合いをして
いますね
【リサナウト】
そう見えるわよね
でも、実際には二人とも、
自問自答を繰り返しているだけなの
【リサナウト】
お互いに、自身が納得のいく答えを
見出すまで、ずっと…
【カミト】 そんなっ… 気の遠くなるような話だよ…
【グリモワール】
ちょっと…
リサナウト、キミはここに来るの
初めてなのよね？
【アスカロン】
ここまでマサムネが道案内して
きましたし…
【グリモワール】
それなのに、何でそんなに詳しいの？
【リサナウト】
フフッ
当然よ
だって私は、すごいから！
【カミト】 えっ…？
【リサナウト】
私、とってもすごいから！
何でもお見通しなの！
【グリモワール】
その舌、焼き切ってやろうかしら
【リサナウト】
私のことより、カシウスのことを
考えましょうよ
【リサナウト】
彼女は随分長いこと、ここに
こもってウロボロスとの問答を
続けているわ
【リサナウト】
恐らく…永遠に終わらない自問自答を
繰り返している
【カミト】 何のために、そんなことを？
【リサナウト】
そこまでは私にも分からないのよね
だから…
【ヴァジュラ】
はあぁぁぁぁっ！
【リサナウト】
おっと
【アスクレピオス】
危なっ！
【ヴァジュラ】
キミ達、あたしが寝ている隙に
勝手なことするなよ
【ヴァジュラ】
ここは立ち入り禁止なんだ
ほら、帰った帰った
【マサムネ】
そういうわけにはいかぬと、
何度も言っているはずだが
【ヴァジュラ】
だから、あたしも何度も言ってるだろ
ここには誰も近づけさせない
【ヴァジュラ】
カシウスに頼まれてるんだよ
邪魔が入らないよう、見張っていて
くれってな
【アスカロン】
私達はカシウスに危害を加える
つもりはありません
【アスカロン】
それより、彼女をこのままにしていて
良いんですかっ？
【ヴァジュラ】
カシウスが何を考えてるのか、
あたしにも分かんないよ
ただ…
【ヴァジュラ】
あいつは自分の意思でああしてるんだ
だから、邪魔はさせない
【グリモワール】
ちょっと…
らしくないんじゃない？
【グリモワール】
キミって、そんなに義理堅い性格
だったかしら？
【ヴァジュラ】
ふふっ
実はあたしも驚いてるんだ
【ヴァジュラ】
こんなに長い間、側にいた相手は
初めてかもしれないな
【ヴァジュラ】
ま、それはそれとして…
邪魔するようなら戦うよ
【グリモワール】
たった一人でワタシ達全員を相手に
しようっていうの？
【ヴァジュラ】
あたしは運が良いんだ
キミの運勢は、あたしの運気に
抗えるかっ？
【グリモワール】
言ってくれるわね！
お望み通り――
【？？？】 ガアアアアアアアアア！
【アスクレピオス】
この声…！
まずい！
皆、この場から――
【？？？】 ガアアアアアアアアアア！！
【グリモワール】
ちょっと！
こんなときにっ…
【カミト】 キラーメイル…！ それも二人もっ
【アスカロン】
マスター、危ないです！
【？？？】 グルアアアアアアアアア！
【アスカロン】
きゃあっ…！
【マサムネ】
くっ…
ヴァジュラと戦っている場合では
ないか…
【ヴァジュラ】
何だか大変なことになってきたな！
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