210112120 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第11章 問いかける幻獣 ―ダイアローグ― 第２話 対話のために-12
【フォルカス】
やあああああああああああ！
【フォルカス】
ハァッ…ハァッ…！
まるで手応えがありません…
でも、こちらのはずっ
【？？？】 ああ…何て無茶を…
【フォルカス】
そこにいるのですね！
私の手を取って下さい！
きっとまだ逃げられます！
【？？？】 あなたはとても勇敢なキル姫ね… 本当にごめんなさい… 巻き込んでしまって
【ヘル】 妾は女神ヘル… 訳あって、今は半身しかない身 だけれど
【フォルカス】
女神ヘル…？
にわかには信じられませんが、
今は逃げることに専念しましょう
【フォルカス】
さあ、手を！
早くこちらにっ
【ヘル】 いいえ… もう手遅れなの… “終焉”の闇に覆われてしまった…
【ヘル】 このままでは…妾もあなたも 助からない…逃げる手立てはないわ
【フォルカス】
弱気にならないでください！
忌まわしき闇は正義の炎で
焼き払ってみせますので！
【ヘル】 その力…ウリエルね この闇が魔に属するものだったなら 効いたのかもしれないけれど
【ヘル】 この闇は「魔」ではなく「死」なの あなたにはどうしようもない…
【フォルカス】
それでも…諦めるわけにはいきません
私には…為さねばならないことが
あるんです！
【ヘル】 …………
【ヘル】 そう… あなた、お名前は？
【フォルカス】
フォルカス・聖鎖・ウリエルです
さあ、手を取ってください
女神ヘル
【ヘル】 …フォルカス 一つだけ、ここから脱出する方法が あります
【ヘル】 でも、それはあなたに重い枷をはめる ことになるでしょう… それに…
【ヘル】 あなたが聖鎖されているウリエルの 力も失われることになります
【フォルカス】
ウリエルの力を失う…？
聖鎖が解除されるというのですか？
【フォルカス】
そんなことができるとは思えません…
でも…
【フォルカス】
この方の言葉に嘘がないということも
直感的に分かります
【フォルカス】
私は…
【ヘル】 ウリエルの力を失うのは、 あなたにとって不都合なのよね？
【フォルカス】
はい…
それに…
【フォルカス】
絆も…失ってしまいそうで…
【ヘル】 それなら無理強いはできない… ただ、あなたの言葉で妾も 気づいたの
【ヘル】 妾にも為すべきことがあるわ 待たせているキル姫もいる… だから
【ヘル】 ここから脱出しなければと 今は強く思っているの
【ヘル】 フォルカス！ 力を貸してくれないかしら
【ヘル】 あなたも、ここで終わるわけには いかないのでしょう？
【フォルカス】
私はっ…！
【フォルカス】
えっ？
ウリエル…？
【フォルカス】
霧が少し晴れて…
ウリエルの力が失われていく…
まさかっ？
【ヘル】 こんなこと、あり得ない… あなたが聖鎖されているのは ウリエルの力に過ぎないのに…
【ヘル】 まるで意思を持っているかのように あなたを守ろうとしているわ
【フォルカス】
ああ…
そうなんですね…
【フォルカス】
これが最後の予知…
そして、直感…
【フォルカス】
分かりました、ウリエル
覚悟を決めます
【フォルカス】
女神ヘル！ここから出られるのなら
枷を負っても構いません！
必ず、ここから脱出しましょう
【ヘル】 …あなたの覚悟、伝わりました では、私も覚悟を決めます
【ヘル】 残された私の半身を… あなたに与えましょう
【ヘル】 半身ではありますが、私の力を 得たあなたなら、この闇を切り払い 外に出ることができるはずです
【フォルカス】
ウリエル…今まで、ありがとう
ございました
【フォルカス】
私はあなたを受け入れます
さあ、手を取って下さい！
【ヘル】 勇敢なるキル姫、フォルカス 感謝します
【フォルカス】
この姿は…
新たな力が湧いてきます
これならっ
【フォルカス】
せやああああああああ！！
【フォルカス】
やりました！
霧が晴れていきます
【？？？】 うむ！ 見事だ
【フォルカス】
今度は誰ですか？
姿が見当たりませんけれど…
【オーディン】 儂はオーディン 言うまでもないが、神だ
【フォルカス】
またですか…
神様が私に何の用です？
【オーディン】 ヘルに言われたであろう 枷をはめることになると その話をしに来た
【フォルカス】
そうでしたね…
手短にお願いします
【オーディン】 お前が急いているのも理解しておる まずは場所を移すぞ “終焉”がまた襲ってくる前に
【フォルカス】
分かりました
どこに――
【フォルカス】
えっ！？
一瞬で…
【オーディン】 このくらい大したことではない さて、話をしようか
【オーディン】 フォルカス・神令・ヘルよ
【オーディン】 …以上が、「神々の黄昏」計画だ この計画が完遂されれば世界は 終焉を免れる
【オーディン】 すでにヘルの半身を宿した身だが、 お前には選択の機会を与えよう
【オーディン】 コマンドキラーズとして 「神々の黄昏」を遂行するか
【オーディン】 全て忘れ、ヘルと別れて地上に 戻るか 好きな方を選べ
【オーディン】 今ならまだ儂の力でヘルとお前を 引き離すこともできよう
【フォルカス】
全てのキラーズとバイブスを
ユグドラシルに還す…
【フォルカス】
それは私達もマスターも世界から
いなくなるということ…
【フォルカス】
でも、マスターのバイブスは義手に
よって発生した人工的なもの
それなら…
【フォルカス】
義手を失えばバイブスも消える…
不確定ではありますが、試す価値は
あります
【フォルカス】
マスターがディスラプターによって
死に至る前に「神々の黄昏」を
完遂すれば…
【フォルカス】
マスターは生き存えることが
できます
単なる一人の人間として
【フォルカス】
全てのキル姫は…
ユグドラシルに還るのですね？
【オーディン】 その通りだ お前達も例外ではない…
【フォルカス】
私のことはいいんです…
ただ…
【オーディン】 かつての仲間と相対することに なろうな 裏切り者として
【フォルカス】
裏切り者…
そうですね
私は彼女達を裏切ることになります
【フォルカス】
マスターが…人々が生きていく世界を
存続させるために…
【フォルカス】
全てのキル姫を敵に回し、
セブンスキラーズとの絆も断ち切る
【オーディン】 儂が言えたことではないが、 随分と損な役回りだ お前にどれほどの得があるか…
【フォルカス】
得ですか…ふふっ
【オーディン】 何かおかしなことを言ったかな？
【フォルカス】
いえ…
どれだけ立派な大義を掲げても、
決断の決め手になるのはいつも…
【フォルカス】
より個人的な感情なのだと
思いまして
【オーディン】 ほう それも悪いことではないと思うぞ
【フォルカス】
ありがとうございます
決めました
【フォルカス】
私は、コマンドキラーズとして
「神々の黄昏」計画を完遂して
みせます
【オーディン】 ほほう その眼差し…並々ならぬ決意を 感じるな
【オーディン】 では、託すとしよう お前が一人目のコマンドキラーズだ
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