210121090 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第12章 ラルゴカタストロフィ―暴走― 第１話 癒しのキル姫-9
【ミネルヴァ】
ロンギヌス、少し私の話を聞いて
もらえませんか？
【ミネルヴァ】
あなたは戦いを好んでいないと
お見受けしましたので
【ロンギヌス】
…そうですね
戦いや争いは無くなって欲しいと
いつも思っています
【ロンギヌス】
愛に溢れた世界…
それが私の理想ですから
【ミネルヴァ】
その理想のために、あなたは
“擬彩されし不可逆世界”
《インテグラルノア》計画を
【ミネルヴァ】
仲間達とともに進めている…
そういうことですよね？
【ロンギヌス】
はい…
あの反転したユグドラシルに
永遠の理想郷を作り出すんです
【ミネルヴァ】
そのことなのですけれど…
何故、新しく理想郷を作り出す
必要があるんです？
【ミネルヴァ】
確かに今の世界は天上も地上も
争いが絶えません
【ミネルヴァ】
でも、だからといってこの世界に
理想郷が作れないとは
私は思いません
【ミネルヴァ】
どうして、あなた達はこの世界に
見切りをつけてしまったんです？
【ロンギヌス】
それは…
世界がそのようにあるからです
【ロンギヌス】
創世のときから決まっていた
世界の有り様…それが理想郷の創造を
妨げています
【ロンギヌス】
だから、永遠の理想郷を作り出す
のは、ここでは…この世界では
不可能なんです
【ミネルヴァ】
そんなことは…
いえ、もっと詳しく聞かせて
下さい
【ミネルヴァ】
私達も以前より多くのことを
知りました
“終焉”のことも…
【ミネルヴァ】
ですから、今ならあなた達の思いを
理解できるのではないかと
思うんです
【ミネルヴァ】
教えて下さい、ロンギヌス！
あなた達の知っていることをっ
【ロンギヌス】
…………
【ミネルヴァ】
私達が力を合わせて、
“終焉”に抗う
そんな未来もあるのではないですか？
【ミネルヴァ】
あなた達は、世界の終焉が近いことを
知って、「剪定」を始めた…
【ミネルヴァ】
当初の予定では、計画は“終焉”の
影響を受ける前に終えられるはず
だったんでしょう
【ミネルヴァ】
あの反転したユグドラシルに、
理想郷に相応しい者だけ移して
この世界から切り離す
【ミネルヴァ】
そして世界が終焉を迎えても、
切り離された理想郷だけは
永遠に存在し続ける
【ミネルヴァ】
インテグラルノア…
なるほど、太古の伝承になぞらえた
名称だったんですね
【ミネルヴァ】
あの反転ユグドラシルは、
いわば方舟…
【ミネルヴァ】
太古の伝承と違うのは、その方舟が
それ自体で全て完結している
という点です
【ミネルヴァ】
旅立った方舟は永遠の理想郷として
存在し続けるはずだった
【ミネルヴァ】
ですが、その計画は私達が阻みました
もはや“終焉”の影響から逃れる
ことはできないでしょう
【ミネルヴァ】
あなた達は計画を修正せざるを
得なかった…ティルフィングが
あんな無茶をしてまで…
【ミネルヴァ】
ユグドラシルの中に入ったのも
その一つですよね？
【ミネルヴァ】
今また、あなた達が「剪定」を
始めたのも修正された計画に基づく
ものなのでしょう
【ミネルヴァ】
でも、それより確実でもっと良い
道があるかもしれません
【ミネルヴァ】
話して下さい、ロンギヌス
この世界にだって理想郷はきっと
作り出せます
【ロンギヌス】
…………
【ロンギヌス】
…あの子達の嘆きを知ったら、
もう引き返せないんです
【ミネルヴァ】
嘆き？
あの子達…？
【ロンギヌス】
ごめんなさい…
私も覚悟ができていませんでした…
【ロンギヌス】
話してしまえば楽になるのでしょうね
だけど、それは私が楽になるだけで
何の解決にもなりません
【ロンギヌス】
だから…やっぱり答えるわけには
いきません
【ロンギヌス】
お願いします、ミネルヴァ
私達を止めたいのなら…
戦って下さい
【ミネルヴァ】
ロンギヌス…！
【ミネルヴァ】
何故ですか…？
彼女ですら、話すことを拒むなんて
Next: 210121101