210142213 フライシュッツ 『黒式・夏夜ノ瞬キ』
あれから少しの時間が経った…
【ティルフィング】 マスター、ご無事でしたか?
恐るべき強さで、 異族の群れを一蹴した ティルフィング
そんな彼女に、 マスターが礼を言う
【ティルフィング】 いえ…とんでもないです
しかし、彼女の顔は曇っている
なぜなら…、
【ティルフィング】 創造のためには…
【ティルフィング】 一度、すべてを 破壊しなければならない…
【ティルフィング】 いくらマスターに危険が 迫っていたとはいえ…
【ティルフィング】 今のは、その衝動が 爆発してしまっただけです…
【ティルフィング】 周りを見ず、 衝動だけで立ち向かってしまった
【ティルフィング】 人類を守る為の戦いからは程遠い、 己の葛藤を相手にぶつけただけの… 卑しい殺戮
【ティルフィング】 やはり私は… “強欲”を背負いし ブラックキラーズ…
【ティルフィング】 その卑しき業からは… 逃れられないのです……
彼女が暗い瞳を落とした
そんな彼女に対して、 マスターは…
きみは大丈夫! その強欲を断ち切れる、 意志の強さを持ってるよ!
【ティルフィング】 そ、そんなことは…
彼女が反論しかけるも…、
きみは破壊への衝動を 爆発させただけと言ったけど、
さっきのは、 僕を助けようと してくれたんでしょ?
それに周りを見てないっていったけど プールも壊してないし、 異族以外は攻撃してないし
立派に自我を保ててるよ
【ティルフィング】 …!
きみはいつも強欲を抑えようと それを考えてくれて…
その業に抗い、 乗り越えようと戦っている
だから大丈夫!
【ティルフィング】 !!
【ティルフィング】 ……マスター
マスターの優しい言葉に、 彼女の瞳が潤む
さあ!だから一緒に泳ごう!
彼女に手を差し伸べるマスター
しかし彼女の返答は…
【ティルフィング】 や、やはり…遠慮しておきます!
【ティルフィング】 だって…
【ティルフィング】 マスターの手を取り、 一緒にプールに入ったら…
【ティルフィング】 ドキドキして、 息苦しくなっちゃいそうだから…
黙り込んでしまった彼女に、 どうしたの?と尋ねるマスター
【ティルフィング】 いえ…なんでもありません
【ティルフィング】 でも…マスターが“大丈夫”と 言ってくれたおかげで… 安心できました
【ティルフィング】 あなたとなら… 背負った業に負けることなく…
【ティルフィング】 これからも、がんばれそうです
そう前向きになれたことで 彼女は新たなスキル
『黒式・夏夜ノ瞬キ』 に目覚めるのだった
ほんと真面目だな、きみは
そう言って笑うマスター
【ティルフィング】 あの…
【ティルフィング】 一緒に泳ぐのは遠慮しておきますが… お、お隣…宜しいでしょうか…?
と、マットの浮き輪を指さす彼女
うん!色々、語り合おうよ
マスターの隣の、 マットに寝そべるティルフィング
【ティルフィング】 言っときますけど…
ん?なに?
【ティルフィング】 い、いえ…!
【ティルフィング】 これだけでもドキドキして 息苦しいってこと…
【ティルフィング】 あなたは気づいていますか?
そう想うも言葉にはできず、 ただマスターを見つめる ティルフィングだった
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