210192120 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第19章 ワールドサルベイション 第2話 絶望と希望-12
【フリズスキャールヴ】 わらわ達が封印されて、どれほどの 時が過ぎたのか…
【グレイプニル】 私達に知る由などなかったので ございます
【ギャラルホルン】 ただ、ずっと暗いところで みんなのことを見ていたの… 何もできないままに
【フリズスキャールヴ】 そなた達が争い、戦い、抗う様も 見ておったのじゃ
【グレイプニル】 その悲しみや苦しみを思うたび、 主様の到来を待ちわびておりました
【ギャラルホルン】 でも、そんなときにね… 呼ばれたのっ
【フリズスキャールヴ】 誰かの声がしたのじゃ そして、わらわ達を捕らえておった 封印が破られた
【フリズスキャールヴ】 それならば、わらわ達は願いの ままに使命を果たすのみ そうして…
【グレイプニル】 天上に、地上に、地底に、 現れたのでございます
【ギャラルホルン】 きっとそれが、救済だから
【アルマス】 …そうだったんだ
【グレイプニル】 ああっ… 皆様の思いが伝わってきます 鎖を通してよりもしっかりと
【ギャラルホルン】 ぬひひひひ もしかしてこれで、みんなと オトモダチになれるのかしら?
【フリズスキャールヴ】 もしや、わらわ達を呼んだのは…
【アルマス】 呼んだつもりはなかったんだけど、 一度、繋がっていたのね あなた達とも
【ラグナロク】 アルマスが初めて“絆の繋ぎ手”を 使ったとき、縁のあるキル姫達の 思いが繋がったわ
【ティルフィング】 あのとき、ギャラルホルン達とも? でも、どうして…
【グランテピエ】 うーん… それはきっと、彼女達もキル姫 だから、じゃないかな?
【グランテピエ】 あのとき、みんなのキラーズが 活性化したはずだけど、 キラーズは願いの結晶体、だよ
【フォルカス】 そう…フリズスキャールヴ達の キラーズも、願いを受けて 生まれたものなら
【アルマス】 キラーズが活性化して、封印を 解くだけの力を発揮できたってこと?
【グランテピエ】 そう考えるのが自然、かな
【フリズスキャールヴ】 ふむ… ここまでのようじゃな
【ギャラルホルン】 キャールヴ、ママのお手伝いを やめちゃうの…?
【グレイプニル】 皆様の抱く希望… 確かに伝わりましたけれど…
【フリズスキャールヴ】 わらわも死の君による救済こそ 最善と考えておる
【フリズスキャールヴ】 じゃが…揺らいでしまったのも また事実なのじゃ…
【フリズスキャールヴ】 よもや、わらわの中にもまだ、 明日を求める思いが残っておった とはな…
【ギャラルホルン】 ううっ… それは、ギャラルも同じよ…
【グレイプニル】 私達は人々の絶望と解放への願望を 宿したキル姫…では、その中に 一片の希望が残っていたのなら…
【グレイプニル】 ああっ… この鎖も揺らいでしまうので ございますね…
【アルマス】 分かってくれたのね、あなた達!
【フリズスキャールヴ】 いや、そなた達に従う気などない 死の君による救済を求めておるのは 変わらぬ
【フリズスキャールヴ】 そなた達の希望とやらが、 死の君に届くとは思えぬ ただ…
【グレイプニル】 どうぞ、お通り下さいませ 主様とお会いになり、その偉大さを 体感なさればよろしいかと
【ギャラルホルン】 ギャラル達は、ここで世界の終わりを 待つことにするわ
【フリズスキャールヴ】 わらわ達とそなた達、いずれの 救済が世界にもたらされるのか… 見せてもらうとしよう
【アルマス】 いいわ 見ていなさい “終焉”は必ず止める
【アルマス】 この世界を終わらせたりは 絶・しないんだから!
【ギャラルホルン】 ぬひひひひ 急いだ方が良いよ、おねーさん達 きっと、ママはもう…
【グレイプニル】 主様がユグドラシル様にお触れに なりさえすれば、世界に救済が もたらされるのでございます
【アルマス】 なっ…!? 出会ったらまずいとは 思っていたけど…
【フォルカス】 触れただけで終わりなんて、 危険過ぎます…!
【ラグナロク】 いけない! かなり時間を取られたわっ みんな、急いで!
【ティルフィング】 ユグドラシル… どうか、間に合って!
【ユグドラシル】 ううっ…あああっ…
【???】 こんなに苦しんで… 辛かったわよね… 苦しかったわよね…
【???】 でも、もう大丈夫よ やっと…やっと辿り着いたわ… あなたに
【???】 これで、私達は一つになれる もう何も心配することはないの
【???】 全て、終わりにしましょう
【ユグドラシル】 …ああ ついに来てしまったのね
【ユグドラシル】 このときが来るのは必然 たった一度きりの邂逅… 初めまして
【ユグドラシル】 私とともに生まれながら、 最期の刻まで決して会うことの なかった、もう一人の「私」
【終焉】 初めまして もう一人の「私」
【終焉】 全ては必然 終わりは自然の理よ 今、私達は一緒に――
【アルマス】 はあああああああ!
【終焉】 …………
【ユグドラシル】 アルマス、 なんてこと…
【ユグドラシル】 彼女に近づくだけでも危険なのに、 触れてしまえば、あなた自身が 消えるのよ…
【アルマス】 大丈夫! 私は一人じゃない 皆が支えてくれるから
【アルマス】 近づいても暴走したりしない 触れても存在がすぐに消される ことはないわ
【グランテピエ】 それでも、いきなり飛び出したのは お姉ちゃん、ビックリしたよっ
【アルマス】 締まらないから、 そういうこと言わないで…
【フォルカス】 あなたが“終焉”ですね ユグドラシルから離れて下さい 世界樹は守り抜いてみせます
【ユグドラシル】 あなた達、諦めていないのね…
【終焉】 …………
【終焉】 どうして私達の邪魔をするのか、 理解できないわ これは自然の理に過ぎないのに
【キル姫達】 ええっ…!? その顔は…
【終焉】 これ以上、ユグドラシルに辛い 思いをさせないで 彼女は力尽きようとしているのよ
【終焉】 その原因の一端を担っているのは あなた達でしょう?
【終焉】 …いえ、そのことはもういいわ ユグドラシルだってあなた達を 恨んでいないのだから
【終焉】 ただ、私は彼女と一つになって 無に還るの 新たな種を残して
【終焉】 だから、そこをどいて もう…ユグドラシルを休ませて
【アルマス】 …ねえ、どうなってるの?
【ラグナロク】 ここまでそっくりだと… 偶然とは思えないわ 彼女は…
【ユグドラシル】 彼女は、もう一人の私… ともに生まれた双子のようなものなの
【フォルカス】 …………!
【ユグドラシル】 始まりがあれば終わりがある 生があれば死がある それらは最も遠くて…
【ユグドラシル】 最も近しい…決して切り離せない かけがえない存在なのよ
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