210461211 ミュルグレス・神令・トール ミュルグレスは泳がない
夏
太陽が照り付ける灼熱のビーチ
姫達の楽しそうな声が聞こえてくる
【ミュルグレス】
………
だがミュルグレスだけは、 浮き輪を傍らに置き、優雅に ビーチチェアに横になっている
そんな彼女に、 一緒に泳ごうよ、 と誘う隊の姫達
だが…
【ミュルグレス】
泳いでミュルに
なんの得があんの？
疲れるだけじゃん
そう断っても、 しつこく食い下がる姫に
【ミュルグレス】
ミュルが華麗に
泳ぐ姿を拝みたいのなら、
払うモン払ってよね～
そんな感じで、 なにかと理由をつけては 泳ぎの誘いを断っている
しかし、しつこく食い下がる姫達に ついには根負けしたのか…
【ミュルグレス】
…はぁ
わかったわよ
泳ぐわよ
【ミュルグレス】
ちょっと取ってきたいものあるから
アンタたちだけで行ってて
そう言うと売店に 走り出すミュルグレス
先に行っておこうと 姫達は泳ぎへ向かう
【ミュルグレス】
…
売店で買った食べ物を手に どかっと 腰を下ろすミュルグレス
【ミュルグレス】
泳ぐとは言ったけど
時と場所までは指定してない
【ミュルグレス】
ホ～ント
みんな単純よね
よくまわる頭と舌で 皆を欺き続ける
根負けしたのは 隊の姫達のほうだった
【ミュルグレス】
やれやれ
そして、また優雅に横になる彼女
【ミュルグレス】
泳ぐだけが
海の楽しみ方じゃ…ないわよ
しかし、その視線はどこか物憂げだ
――と、そこに
どうしたの？ぼ～っと海を眺めて とマスターが声を掛ける
【ミュルグレス】
だ、だんちょー
キレイな浮き輪だね？泳がないの？ と尋ねるマスター
【ミュルグレス】
今は泳ぎたい気分じゃないからね
…とか言いつつ、
【ミュルグレス】
めんどくさいなぁ
だんちょーは、どう言いくるめて
追い払おう…
…などと、悪だくみする彼女 ――すると、
はい、これ と、マスターが紙切れを渡してきた
【ミュルグレス】
え？なに、これ？
宝の地図を見つけたんだ 一緒に探しに行かない？ とマスター
【ミュルグレス】
え！宝！？
すぐ行こう！見つけたら山分け！
ミュルが９でだんちょーが１ね！
彼女は大喜びで マスターについていった
…だが、
【ミュルグレス】
え？ここって……
連れてこられたのは、 姫達がいるビーチだった
ミュルグレスが来てくれたことに、 大喜びの姫達
【ミュルグレス】
……だんちょー、どういうこと？
みんなで泳ごう！ みんな、君と一緒に遊びたいんだよ！ と、マスター
【ミュルグレス】
えっ！？
じゃあ、この宝ってのは…
どうしてもミュルグレスと遊びたい 姫達に頼まれ、 マスターが一計を案じたのだった
【ミュルグレス】
騙されたーーーーっ！！
ほら、これで許して と、彼女の好物の カステラを渡すマスター
【ミュルグレス】
許せるわけないでしょ！
と言いつつも、 ちゃっかりカステラを奪い、 ほおばっている
【ミュルグレス】
だんちょーのウソつき！
裏切り者―――っ！！
みんなを騙して面白がっていた彼女
逆にマスターに一杯食わされ、 海に入ることになるのだった
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