210461212 ミュルグレス・神令・トール ミュルグレスは泳げない
【ミュルグレス】 ………ふん
海に出ても、 浮き輪に乗っているだけで、 全然泳がない彼女
ねぇ、泳ごうよ~ と、姫が誘っても…
【ミュルグレス】 ミュルの金メダル級の 泳ぎが拝みたいんなら、 払うモン払ってよね
と、全然応じてくれない
次の瞬間―――
【ミュルグレス】 えっ!?
マスターが 彼女の浮き輪を押しながら、 猛烈に泳ぎ出した
【ミュルグレス】 ちょっ! なにすんの~~~!?
大海原
みんなから離れた場所にやってきた マスターとミュルグレス
【ミュルグレス】 だんちょー、どういうつもり!?
怒って尋ねてくる彼女に、 ここなら誰もいないから、 泳ぎの特訓が出来るよ…とマスター
【ミュルグレス】 え!?そ、それってどういう意味!?
泳げないんでしょ? とマスター
【ミュルグレス】 !!!!
それに対し、 顔を真っ赤にするミュルグレス
【ミュルグレス】 そ、そんなことないわよ! ミュルの泳ぐスピードは マグロが二度見するくらいなんだから
ムキになる彼女に、 大丈夫だよ、誰にも言わないから とマスターは優しく微笑む
【ミュルグレス】 ………ど
【ミュルグレス】 どうして…分かったの……?
浮き輪を肌身離さず持っていたし、 海でも浅瀬にしか行かなかったから もしかしたらってね…と答える
【ミュルグレス】 ………はぁ
【ミュルグレス】 さすが、だんちょー よく見てるのね
彼女は観念して、 本当のことを話し始めた
【ミュルグレス】 ミュルだってね 昔は泳げたのよ
【ミュルグレス】 …でも トールを霊装支配 しちゃったでしょ?
【ミュルグレス】 トールが 本来使っていた武器はカナヅチ そのせいで泳げなくなっちゃったの
…全然本当のことを話していない きっと最初から泳げない
苦笑しながらもマスターは じゃあ特訓しよう! と、水泳教室を提案する
【ミュルグレス】 はあ? なんでそうなるのよ!
そんなミュルグレスのブーイングに 泳げた方が楽しいよ とマスターは続ける
【ミュルグレス】 …まぁ 泳げるようにはなりたいけど、さ
こうしてミュルグレスの 猛特訓が始まった
しかし……
【ミュルグレス】 はぁ…はぁ…!
なかなか泳げるようにならない彼女
【ミュルグレス】 泳げなくったって… ミュルが損することはないわよ たぶん!きっと!金輪際!
徐々に諦めモードになってくる
そんな彼女に、マスターは言う
誰からも泳ぎに誘われたくないから、 みんなを遠ざけてたんでしょ?と
でも本当は寂しかったんだよね? だからビーチからみんなことを 見ていた…と、マスター
【ミュルグレス】 だ、だって! ミュルが泳げないって知ったら みんな笑うでしょ、絶対に!
マスターは答える みんな、笑ったりしないよ …と
【ミュルグレス】 ウソ!そんなこと…!
【ミュルグレス】 …え?なに?
彼女の後方を指さすマスター 振り返ると、そこには……
【ミュルグレス】 !!
【ミュルグレス】 み、みんな…!
泳げない姿を見られて、赤面する彼女
【ミュルグレス】 さ、最悪…
だが―――
がんばれーーーーっ!!
【ミュルグレス】 !!
姫達から飛んだのは熱い声援だった
【ミュルグレス】 ……み、みんな
マスターは言う 誰も君のことを笑わないよ むしろ応援してるんだ、と
【ミュルグレス】 ……ふ、ふん
【ミュルグレス】 まあ、少しくらいなら 本気出してあげようかな
真剣な目になり、 泳ごうと進み始める彼女
【ミュルグレス】 どっせえぇぇぇーいっ!!
彼女の体が、まばゆい光を放ち始める
そして、 仲間の声援に背中を押されるように、 少し前に進めるようになるのだった
【ミュルグレス】 で、できたーーーーーっ!!
それは彼女が、達成感により 新たな力に目覚めた瞬間でもあった
そして―――
【ミュルグレス】 はぁ!はぁ!
姫達から、 泳ぎを教えてもらっている ミュルグレス
【ミュルグレス】 どう!?うまくなった!?
まだ完璧に泳げると 言うほどではないが、 確実に上達している
【ミュルグレス】 ちょっと休憩~
浮き輪につかまり、 ぷかぷかとマスターの近くに やってくる彼女
【ミュルグレス】 だんちょーに騙されて 連れてこられたけど、 これはこれで良かったかも
【ミュルグレス】 できないからって、最初から 挑戦をしないのは損だしね
気づかせてくれてありがとう そう言いたいが、照れ屋で 意地っ張りな彼女は口に出せない
【ミュルグレス】 あ、あのさ…
もごもごしている彼女に、 大丈夫、きっと泳げるようになるよ とマスターが微笑む
【ミュルグレス】 …と、当然でしょ!
【ミュルグレス】 だんちょー! みんなに任せてないで… あんたも泳ぎ方を教えなさい!
【ミュルグレス】 …言っとくけど 泳げないんじゃないわよ?
【ミュルグレス】 まだ正しい泳ぎ方を 教わってないだけだからね
と、マスターに食って掛かる彼女
その様子を見て、 姫達の楽しそうな笑い声が 響き渡るのだった
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