210517021 限定クエスト ウェディングイベント さあ、泥塗れのままに踊ろう 前編 ストーリークエスト さあ、泥塗れのままに踊ろう 前編 ストーリークエスト 2 - 【EP.1】未完成のドレス さあ、泥塗れのままに踊ろう 1話 さあ、泥塗れのままに踊ろう 1話
【イチイバル】 そういうわけで、彼らはついに 夫婦として結ばれたんだ
【イチイバル】 いつの時代も恋物語は 試練に満ちているけど…
【イチイバル】 それを乗り越えた先には、 何物にも代えがたい 幸福が待っているものだね
一通り話が終わると、 ロジェスティラは嬉しそうに 手をパチパチと叩く
【ロジェスティラ】 えへえへ… とっても素敵なお話ですね!
【ロジェスティラ】 そのお二人…イチイバルさんに たくさん感謝してるでしょうね
【ロジェスティラ】 親身になってくれて、 アドバイスもしてもらえて…
【ロジェスティラ】 きっとお二人にとって、 大きな心の支えに なったんだろうなって…!
【イチイバル】 アハハ… そうなら嬉しいけど、どうかなぁ
ロジェスティラの言葉に、 イチイバルは目を伏せながら返す
【イチイバル】 ボクはしょせん、 彼らにとっては ただの他人だからね
【イチイバル】 ぽっと出の吟遊詩人が語る 薄っぺらい言葉よりも…
【イチイバル】 二人が重ねた努力こそ 称えられるべきだと思うよ? …ハハッ
明るい調子ではあるが、 どこか自虐的な雰囲気を帯びた イチイバルの声色
その暗さを感じとった ロジェスティラは…
【ロジェスティラ】 あ…あのあのっ! わたしは、そうは思いませんっ!
【イチイバル】 え…?
【ロジェスティラ】 イチイバルさんはきっと、 たくさんの方々に 慕われていると思いますっ!
【ロジェスティラ】 初めて会ったわたしにも、 こうして楽しいお話を 聞かせてくれますし…
【ロジェスティラ】 ただの他人だなんて… そんな風には思わないですっ!
【ロジェスティラ】 で、ですから… その、えとえとっ…!
目を丸くしたイチイバルが ぱちぱちと瞬きをする
それから、フッ、と笑い… 慌てるロジェスティラの手を そっと引き寄せた
【イチイバル】 ありがとう… キミの想いは ちゃんと伝わったよ
【ロジェスティラ】 は、はい…! ごめんなさいっ、 いきなり変なこと…
【イチイバル】 いいんだ、謝らないで フフフ…
【イチイバル】 それじゃあ今度は、 キミのことを教えてくれる?
【ロジェスティラ】 えっ? あのあの、わたしには 面白い話なんて…
【イチイバル】 何気ないことでいいよ キミのことを知りたい、 ただそれだけなんだ
【イチイバル】 そうだな…よかったら、 服を見せてもらってもいい?
【イチイバル】 キミは仕立て屋なんだろ? どんな服を作っているのか ぜひ見てみたいんだ
【ロジェスティラ】 なるほど、そういうことなら…
【ロジェスティラ】 ぜひぜひ! ご覧になってくださいっ!
【イチイバル】 おおっ! これはすごい…壮観だ!
部屋にぎっしりと立ち並ぶ たくさんの衣服たち
瞳を輝かせながら、 イチイバルはその間を かき分けるように歩く
【イチイバル】 想像以上の量と質だね! 仕立て屋の肩書きは 伊達じゃないらしい
【イチイバル】 イチイバルさんは 感動を隠せないのであった… パチパチパチ☆
【ロジェスティラ】 ふふふっ… 楽しんでもらえて嬉しいです
【ロジェスティラ】 わたしなんかの服で良ければ、 試着もしていただいて 構いませんので、のでっ…!
【イチイバル】 本当?それは嬉しいね! どれがいいかなぁ
【イチイバル】 …ん? これは…なんだろう?
【ロジェスティラ】 あっ、それは…!
【イチイバル】 おおっ!
布をめくったイチイバルは 思わず感嘆の声を上げる
布の下には、 純白のドレスが隠れていた
【イチイバル】 なんだなんだ、 すごく綺麗な衣装じゃないか!
【イチイバル】 これもキミが作ったの? 見事だね…!
【ロジェスティラ】 は、はい… まだ作りかけなんですが…
【ロジェスティラ】 今度の”舞踏会”に向けて、 準備を進めておこうかなって
【イチイバル】 舞踏会?
【ロジェスティラ】 あ、はいっ! 近くの街のお城で、 定期的に開かれるんですっ
【ロジェスティラ】 この国の人たちにとっては 一大イベントなんですよっ
【イチイバル】 へぇ! じゃあ、キミがこれを着るんだね
【ロジェスティラ】 あっ…い、いえ…
【イチイバル】 …?
【ロジェスティラ】 これは売り物ですので、のでっ… わたしは出ないですっ…!
【イチイバル】 ふぅん…?
ロジェスティラの様子に、 どこか陰を感じるイチイバル
だが深く尋ねることはせず、 再びドレスに視線を戻した
【イチイバル】 本当にすごいな… これは他の誰にも 真似できないに違いない…
【イチイバル】 ねえ、ロジェスティラ もしよければなんだけど
【イチイバル】 しばらくこのお店で 働かせてもらってもいいかな?
【ロジェスティラ】 へっ? どどどっ、どうしてですかっ?
【イチイバル】 こんなドレスを作り出す キミの才能を、 間近で見てみたくなった…
【イチイバル】 というのは建前で、 ほんとは宿が欲しいだけだよ テヘッ☆
茶化してこそいるが、 イチイバルの口調は真剣だった
【ロジェスティラ】 わ、わわっ… わたしのお店なんかでよければっ
【ロジェスティラ】 お好きなだけ居ていただいて 構いませんので、のでっ…!
【イチイバル】 自分で言っておいて なんだけど、
【イチイバル】 本当にいいのかい? ただの旅人のボクを そんなに簡単に信じてしまって
【ロジェスティラ】 え、えっと…誰でもじゃないです イチイバルさんだから…
【ロジェスティラ】 それにわたしも イチイバルさんのお話を もっと聞きたいなって…
【イチイバル】 フフフ…そう それなら、交渉成立だ これからよろしくね、店主さん
【ロジェスティラ】 はいっ! もちろんですっ!
二人はともに手を伸ばし、 固い握手を交わす
その日から、二人の共同生活が 始まるのだった
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