210702050 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第7章 夢追い人―デザイア― 第２話 縁-5
【テュルソス】
単刀直入にいくわね
エンクウさん、クレイさん、
それからツカサさん
【テュルソス】
しばらくの間、死んだことに
なってくれない？
【ヴァナルガンド】
むうっ
やっぱり、あなた…！
【テュルソス】
早合点しないの
あくまで「死んだふり」よ
【クレイ】 何故、そんなことをしないと いけないんだ？
【テュルソス】
今、君達にとって最大の脅威は
コマンドキラーズじゃない
【クレイ】 コマンドキラーズ？
【テュルソス】
あ！
オルフェウス達のことを
中心部ではそう呼んでるらしいの
【テュルソス】
便利だから、彼女達をまとめて
そう呼ぶわね
【エンクウ】 構わぬ 拙僧達もそう呼ぶとしよう
【クレイ】 神令《コマンド》を霊装支配されて いるからコマンドキラーズって ことかな…
【テュルソス】
とにかく、彼女達よりも危険なのは
「ネオ・ラグナロク」の信者よ
【クレイ】 君も、その仲間なんだろ？
【テュルソス】
どうかしら？
私はただの相談役よ
頼まれごとをこなしているだけ
【テュルソス】
そんなことより、
以前から信者は君達を大罪人として
目の仇にしていたわよね
【エンクウ】 うむ 悲しきことだ…
【テュルソス】
そこにコマンドキラーズが現れた
ことで彼らはとても活気づいたわ
救世主だと崇めるほどにね
【テュルソス】
だけど…彼女達は信者の思っている
ような存在じゃない
【テュルソス】
「ネオ・ラグナロク」はキル姫を
崇めて、奏官を排除しようとして
いるけれど
【クレイ】 コマンドキラーズは 両方消そうとしているね
【テュルソス】
そう
信者達は何故か、その事実から
目を背けているのよ
【テュルソス】
自分達は特別扱いされるものだと
勝手に思い込んでいるのね
【エンクウ】 強大な力に縋りたくなるのは 人の常だ 嗤うことはできぬ
【エンクウ】 縋るものと己を同一視し、 あたかも自分が強大になったかの ように振る舞う
【エンクウ】 それもまた、人の悲しい性である
【クレイ】 所詮、錯覚なんだけどね きっとコマンドキラーズは 彼らの思い通りには動かない
【テュルソス】
そう
でも、それに気づいたときには
遅いのよ
【テュルソス】
信者達が消されることはないわ
コマンドキラーズの狙いは
バイブスとキラーズだもの
【テュルソス】
だけど彼らが崇める存在…
つまり私達は消される
【クレイ】 君達も狙われているのなら、 どうして無事でいるんだい？
【テュルソス】
いち早く交渉して、彼女達の手伝いを
する代わりに「ネオ・ラグナロク」の
キル姫は見逃すよう頼んだの
【クレイ】 とんでもない交渉力だな…
【テュルソス】
でも、そんな約束、いつ破られるか
分からないでしょ
だから、先に手を打っておきたいの
【エンクウ】 ほう…如何なる手を？
【テュルソス】
「ネオ・ラグナロク」のキル姫が
見逃されている間に、なるべく
多くのキル姫を集めるのよ
【テュルソス】
そして、コマンドキラーズに
対抗するの
結局、数は力でしょ
【エンクウ】 ふむ…
【テュルソス】
だから、君達には死んだふりを
してもらって、しばらく姿を隠して
いて欲しいのよ
【テュルソス】
その間、そちらのヴァナルガンドと
アフロディーテはうちで預かるわ
そうすれば安全でしょ？
【クレイ】 ヴァナルガンドと、 しばらく離れるのか…
【ツカサ】 …………
【テュルソス】
ああ、それと
ムラマサもうちで保護してるわよ
【エンクウ】 よもや…！ そのようなことがっ
【テュルソス】
言ったでしょ
「ネオ・ラグナロク」のキル姫なら
見逃してもらえるって
【テュルソス】
危ないところだったけど、
うちのプタハが上手く助け出して
くれたわ
【エンクウ】 …かたじけない
【クレイ】 良かったな、エンクウっ
【テュルソス】
どう？
これで少しは信頼してもらえた？
【エンクウ】 ぬう…
【テュルソス】
私からの提案はここまで
そんなに急いで結論を出さなくても
いいからね
【テュルソス】
何かと厳しい状況だけど、
逃げたり隠れたりって、
そんなに悪いことじゃないよ
【テュルソス】
一時の恥を忍べば、雪辱を果たすとき
はきっと来る
私はそう思うな
【テュルソス】
それじゃ、また明日来るから
返事はそのときにでも聞かせて
【クレイ】 あ、ああ…
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