210702060 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第7章 夢追い人―デザイア― 第2話 縁-6
【クレイ】 率直な意見を言っていいかな
【エンクウ】 うむ
【クレイ】 私は…テュルソスの提案に乗っても いいと思う
【ヴァナルガンド】 マスターさん…! 離ればなれになってしまうんですかっ あんまりですよ~…
【クレイ】 堪えてくれ、ヴァナルガンド 一時のことだ
【ヴァナルガンド】 でもでもっ… マスターさん、私がいないのに 朝、ちゃんと起きられますか?
【ヴァナルガンド】 ご飯に洗濯だって、 仕事に没頭したら何もしなくなる じゃないですか~…
【クレイ】 ヴァナルガンド…! そのくらい、やろうと思えば ちゃんとできるから、大丈夫だっ
【アフロディーテ】 あらあら うふふ♪
【ツカサ】 …………
【クレイ】 とにかく 皆の安全を考えると、 決して悪くない話だってことだよ
【クレイ】 エンクウもツカサも気づいていると 思うけれど…断れば状況は不利になる 一方だ
【クレイ】 コマンドキラーズだけじゃない 「ネオ・ラグナロク」とも対抗して いかなければならないし
【クレイ】 一時的でも「ネオ・ラグナロク」を 隠れ蓑に使えるのなら、利用させて もらおうじゃないか
【クレイ】 向こうも、こちらの戦力を欲している そういう取引だろ?
【エンクウ】 如何にも テュルソスの狙いはそこにあるの だろうな
【エンクウ】 それに…ムラマサを救ってくれた という恩義もある
【クレイ】 そうだよっ すでにムラマサは彼女達のところに いる…
【クレイ】 断れば、彼女がどうなるか分からない …人質みたいなのは嫌だけれど…
【クレイ】 エンクウ、ツカサ、 君達はどう考えているんだ?
【ツカサ】 …………
【エンクウ】 …少しばかり、 昔語りをしても良いか?
【クレイ】 なんだい? 藪から棒に…
【エンクウ】 拙僧が天下統一を志すに至った話… とでも言えような
【クレイ】 それは…聞いたことがなかったな
【エンクウ】 そなた達も知っておろう 遙か昔、地上は悪魔に支配されて おった
【エンクウ】 そこに天上世界から我らの先祖が キル姫とともに降り立ち、悪魔を 一掃したのだ
【エンクウ】 その後、地上世界で「ビッグ4」と 呼ばれておった大企業集合体と 有力なギルドが手を組んだ
【クレイ】 ビッグ4…確か浮橋グループと CHÂTEAU、N.W.G.財団、 それから…
【エンクウ】 国際同盟だ 拙僧の先祖は、国際同盟と手を組み、 勢力を拡大させていった
【クレイ】 エンクウの先祖がっ? ということは…
【エンクウ】 うむ 後に先祖のギルドはトレイセーマと いう大国に発展する
【エンクウ】 浮橋グループと組んだギルドが ハルモニア、CHÂTEAUと組んだ ギルドが後のケイオスリオンだ
【エンクウ】 三国は各々、霊装支配という新たな 技術を開発し、他ギルドを圧倒 吸収・合併していった
【エンクウ】 特にトレイセーマは拡大の意思が 強かったようだ 三国で最も広い領土をもっておった
【エンクウ】 拙僧の数世代前になるが、 当時の記録が我が家に残されておった それによると…
【エンクウ】 トレイセーマは天下統一を掲げて おったようだな
【クレイ】 なっ… エンクウ…君はまさか、先祖の 野望を果たすために…!
【エンクウ】 否…とは言い切れまいな あの頃の拙僧は、そのように すり込まれておったのだから
【クレイ】 あの頃…?
【エンクウ】 拙僧が…若武者であった頃の話だ
【エンクウ】 我が家はトレイセーマが崩壊した後も その野望を受け継ぎ、いつか大願を 果たさんと子供達を鍛えておった
【エンクウ】 拙僧もその一人 そして拙僧の傍らには常に…
【エンクウ】 マサムネがおった
【マサムネ】 主君、本日の稽古はここまでと 致しましょう
【エンクウ】 ありがとう、マサムネ 俺もまだまだだな…
【マサムネ】 良き太刀筋かと キル姫と比べてはなりませぬ
【エンクウ】 でも、俺は強くならないと! 我が家の大願成就のために!
【マサムネ】 主君ならば、 必ず成し遂げられましょう
【エンクウ】 あの頃の拙僧は… 未熟であった…
【エンクウ】 我が家にかけられた「大願」という 名の妄執を、 己の大願と信じて疑わぬほどに
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