210702080 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第7章 夢追い人―デザイア― 第2話 縁-8
【クレイ】 …………
【ツカサ】 …………
【エンクウ】 すまぬ クレイ殿、ツカサ殿
【エンクウ】 拙僧の目指す「天下統一」は、 そなた達の考えているものとは 異なるのやもしれぬ
【エンクウ】 拙僧は、戦うことなく皆がまとまり 争いのない世界に至る そんな「天下統一」を望んでおる
【エンクウ】 此度の「ネオ・ラグナロク」との 取り引き…果たして拙僧の望みと 合致するのか…
【エンクウ】 いまだ、見出せずにおるのだ
【クレイ】 …エンクウの事情は、分かったよ
【クレイ】 ツカサ…君はどうなんだ? たまには話をしてくれても…あれ?
【クレイ】 ツカサっ? さっきまで、そこにいたのに…
【アフロディーテ】 マスターは一人で考えたいことが あるみたいよ それじゃあね
【クレイ】 相変わらず、 あいつはマイペースだな
【クレイ】 …私も、少し一人で考えたい
【エンクウ】 うむ… つまらぬ昔語りにつき合わせて すまなかった
【クレイ】 ここもすっかり閑散としているな…
【ヴァナルガンド】 マスターさん! いつ襲われるか分からないのに、 家に帰りたいだなんてっ…
【クレイ】 ごめん… でも、やっぱりここが一番 落ち着くんだ
【クレイ】 …………
【クレイ】 少し前まで、この診療所は 憩いの場になってたのにな…
【ヴァナルガンド】 ふふっ 毎日、大忙しでしたね
【ヴァナルガンド】 マスターさんが診療だけでなく、 悩み相談みたいなことまで するからですよ
【ヴァナルガンド】 怪我や病気をした人はもちろん ただお喋りをしに来る人達もいて… 楽しかったです
【クレイ】 ああ、楽しかった… 忙しくて大変だったけど、 充実してたんだ…
【クレイ】 あれが…私の求めていた… 夢にとても近い空間だったんだよ
【ヴァナルガンド】 マスター…
【クレイ】 ヴァナルガンド… 私はどうすればいい? 何が正しい選択なんだ?
【クレイ】 あんなに楽しい空間だったはずなのに コマンドキラーズの登場で、 あっけなく瓦解した…
【クレイ】 ここには誰も寄りつかなくなった 今も、怪我や病気で苦しんでいる人は いるはずなのにっ…
【クレイ】 「奏官」というだけで… 恐れられる…忌み嫌われる… 命を狙われる…何故だっ?
【クレイ】 私は…君と一緒に… 人々の役に立ちたいと… 病気の人を救いたいと…
【クレイ】 そうやって生きてきただけなのに…!
【ヴァナルガンド】 マスターさん マスターさんのお気持ちは、 私がちゃんと分かっていますから
【クレイ】 …エンクウの話は、衝撃だったよ 私には、あんな深い動機はない
【クレイ】 セブンスキラーズのことを エンクウから聞いて、より大きなこと ができるのではないかと…
【クレイ】 より多くの人々を助ける医療が 行えるのではないかと、そのくらいの 気持ちで仲間に加わったんだ
【クレイ】 だから…何が正しいのか分からない 正しい選択肢はどれなのか…
【クレイ】 私はどうすべきなのか… 分からないんだよっ
【クレイ】 ああ…! こんなことならバイブスなんて なければ良かったっ
【クレイ】 「奏官」でなければ、 今でも私は医者として…
【ヴァナルガンド】 マスターさん… それは…悲しいです…
【クレイ】 ヴァナルガンド?
【ヴァナルガンド】 私は…マスターさんがどうすべき なのか…何が正しいのか… 分かりません
【ヴァナルガンド】 でも…私はマスターさんと出会えて 良かったと思っています
【ヴァナルガンド】 キル姫である私が、戦うこと以外でも 人々の役に立てるのだと、 マスターさんが教えて下さいました
【ヴァナルガンド】 だから…バイブスなんてなければ 良かったなんて…悲しいです…
【クレイ】 あ…ごめん… ごめんよ、ヴァナルガンド… そんなつもりじゃなかったんだ…
【クレイ】 ごめん… 分からないんだよ… 分からなくなったんだ…
【クレイ】 テュルソスの話を聞いたときには、 あの提案に乗るのが正しいと思った
【クレイ】 それなのに… 考えれば考えるほど、 分からなくなるんだ…
【クレイ】 私は…どうすべきなんだ…? 正しい選択肢は、どれなんだっ…
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