210901070 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第8章 ビギニング・オブ・ジ・エンド 第１話 キル姫の治める町-7
【ダーインスレイヴ】
なるほど
コマンドキラーズに対抗するための
拠点を必要としているんだな
【カミト】 どこか良さそうなところに 心当たりはない？
【モニカ】 いっそのこと、ここを拠点にするのも ありだと思うけどな～
【カミト】 それは僕も少し考えたけど、 この町はそういうところじゃない みたいだから…
【ダーインスレイヴ】
そうだな
ここは戦いの拠点として相応しい
町ではないだろう
【ダーインスレイヴ】
特に今は、戦乱から逃れてきた
人々を受け入れるだけで精一杯という
状況だよ
【カミト】 そういえば… みんな、コマンドキラーズに 追われて逃げてきたの？
【ダーインスレイヴ】
それも遠因ではあるだろうが…
ギルド同士の争いが直接の原因だ
【ダーインスレイヴ】
おぬし達も知っているだろう
コマンドキラーズの脅威は拡大の
一途を辿っている
【ダーインスレイヴ】
すでに幾つものギルドが壊滅し、
奏官がキル姫とともに殺された
【ダーインスレイヴ】
あの者達に対抗できるだけの戦力を
持っているギルドは多くない
【カミト】 確かに、コマンドキラーズは すごく強い…
【ダーインスレイヴ】
だから、彼女達と戦うことなく
それまで治めていた地を捨てて
逃げる者達もいる
【ダーインスレイヴ】
だが、逃げたところで為政者だった
者が為政者であることをやめるのは
難しいものだ
【ダーインスレイヴ】
結局、彼らは逃げた先でも為政者に
なろうとして、現地の奏官達と衝突
することになる
【ダーインスレイヴ】
そうしてギルド同士の争いに発展して
しまうのだ…
罪深い者達だよ
【カミト】 それじゃ、この町まで逃げてきている 人達は、その争いのせいで…
【ダーインスレイヴ】
戦禍を免れるため…
住む家を失ったせいで…
理由は様々だが…
【ダーインスレイヴ】
このところ逃げてくる者達が
増える一方だよ
【ダーインスレイヴ】
聞くところによると、戦いに備える
という名目で圧政を敷いている
者達もいるそうだ
【ダーインスレイヴ】
コマンドキラーズによる影響が
このような形で出てくるとはね…
【カミト】 僕達も幾つか町を見てきたけど、 どこも余所者を閉め出して自分達の 町を守るのに必死だった…
【カミト】 ここはどうして逃げてきた人達を 受け入れているの？
【モニカ】 うんうん そこはあたしも気になるな～
【ダーインスレイヴ】
そうだな…
本来、わたしに託された使命は
この町を守り抜くこと
【ダーインスレイヴ】
それだけなら、他の町と同じように
余所者を閉め出した方が良いのだろう
【ダーインスレイヴ】
だが、助けを求める無辜の民を
ないがしろにするのは、
わたしの哲学に反する
【ダーインスレイヴ】
罪を犯した者には罰を
罪を贖った者には新たな生を
【ダーインスレイヴ】
罪を犯しておらぬ者達が
困っているのなら、出来る限り
助けるのが道理というもの
【ダーインスレイヴ】
特に子供は大切だ
未来を担う者達はきちんと見守り
監督せねばならない
【グリモワール】
それで、こんなに子供がいるの…
【ダーインスレイヴ】
孤児は全て引き取っているからな
【カミト】 そっか… そういう子達もいるんだよね…
【ダーインスレイヴ】
さて、客人
拠点について力になれるかは
分からないが…
【ダーインスレイヴ】
先程の魔獣との戦いで、
おぬし達には恩がある
歓迎しよう
【ダーインスレイヴ】
休息の場としてなら、
いくらでもいてくれて構わない
【ダーインスレイヴ】
では、わたしはこれで失礼するよ
町長としての仕事があるのでね
【カミト】 …………
【モニカ】 カミトくん、何を考えてるの？
【カミト】 あ、うん… 僕達に手伝えることは何かないかな って思って…
【カミト】 上手く言えないんだけど… この町は、決して失われては いけない気がするんだ
【モニカ】 ふふっ… 言いたいこと、何となく分かるよ
【モニカ】 とりあえず、手伝えることは たくさんあると思うな～ 例えば…
【カラドボルグ】
うん、いいわね…好きだわ♪
【子供達】 ぼくの絵もみて～ わたしのも～っ
【カラドボルグ】
あら？
あなた達もこの子達の相手をして
くれるの
【カラドボルグ】
いいわね！
その気持ち、美しいわっ
【グリモワール】
えっ…
本気なの、マスター…？
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