220042211 ティルフィング 言葉の奥にあるもの
夏──
日も暮れ、 涼やかな風が吹き始めた 夜のプールサイド
ムーディーな雰囲気が漂い、 恋人たちが楽しそうに語らっている
しかし、その空気をぶち壊す 一人の少女が現れた
【パラシュ】 はぁぁぁぁぁ……
大きなため息をつき、 どよ~んと憂鬱な表情で、 アイスを食べているパラシュ
【パラシュ】 はぁぁぁぁぁ……
近くにいた恋人たちは、 困った顔をして 彼女のそばを離れていく
ぽつ~んと一人ぼっち状態の パラシュ
そんな彼女の前に現れたのは
【パラシュ】 あ、マスター
【パラシュ】 どうしたんだい…?
プール周辺に異族が出現するらしく、 見回ってたんだよ …と、答えるマスター
【パラシュ】 異族が…!?
今出現してるっていう 報告はないから安心して
【パラシュ】 そ、そう…
それよりも… きみこそどうしたの?
【パラシュ】 …え?
大きなため息をついてたけど それも2回
【パラシュ】 え?そ、それは……
【パラシュ】 …!
話し始めた途端、 顔を赤くする彼女
どうやら、 周りがカップルだらけなことに ようやく気付いたようだ
【パラシュ】 …わ
…わ?
【パラシュ】 ……な、なんでもないっ!!
聞き返したマスターを置いて、 恥ずかしそうに去っていく彼女
しかしマスターは赤面する前の、 彼女の憂鬱な表情が気に掛かっていた
それから、しばらく経って─
夜もすっかり更け、 カップルもまばらになってきた頃…
【パラシュ】 ねぇ、マスター
異族を警戒し、 引き続き見回っていたマスターは 彼女に声を掛けられた
【パラシュ】 さっきはビックリして 逃げちゃったけど…
【パラシュ】 ボクの話…聞いてくれるかい?
ぼんやりと光る灯りに照らされた 彼女の顔は、
この場所には似つかわしくないほど、 悲しげだった
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