220221212 盤古 渚を守る者
あれから数日が過ぎた…
ビーチには、 相変わらず姫達の 笑い声が溢れている
だが、盤古は……
【盤古】 もう…… マスターなんて… キライ……
自分の空間に閉じこもって、 ブツブツと呟いていた
【盤古】 ……ん?
そんな中、 なにやら外が騒がしいことに 気づく彼女
【盤古】 ……なんだろ?
チラッと自分の空間から、 覗いてみる
【盤古】 ……あ
【盤古】 シェキナー… フライシュッツ… それに、ヴァナルガンド……
ビーチには、盤古と同じく、 “魅惑のスタイル”の姫達が
どうやら、 リク・カイ・クウが 集めたようだ
姫達の周りには、 ワイワイと人だかりが出来ている
【盤古】 ……すごい人
目立つ彼女達の姿は人目を惹き、 集まった人達も含めてビーチバレーを 一緒に楽しんでいる
【盤古】 ………
その様子をジッと見つめている盤古
気になる? そんな彼女に、 マスターが声を掛けてきた
【盤古】 …マスター
恥ずかしがらなくても、 君も自信を持っていいと思うよ …と、優しく微笑む
【盤古】 ……マスター
うん、君も外に出よう 笑顔で手を差し伸べるマスター
……が
【盤古】 マスターの……
【盤古】 マスターの…バカ…!
泣きそうな顔で、 自分の空間に戻ってしまった
な、なんで…? 首を傾げるマスター
【盤古】 ……はぁ… 我のこと…… なにも分かってないのだ…
――それから数時間後
【盤古】 …!
【盤古】 どうしたの? リク・カイ・クウ
彼女の空間を訪ねてきた小人達
マスターが、君に 真剣に話したいことが あるんだって…と、告げる
【盤古】 我に……?
ビーチから少し離れた木陰で 話しているマスターと盤古
ごめんね、勘違いしちゃって… と、頭を下げるマスター
【盤古】 ……え?
君の悩みを理解できていなかった 僕にちゃんと教えてくれないかな? 盤古の目をしっかり見ながら尋ねる
【盤古】 ………
マスターの真摯な態度に、 彼女が口を開いた
【盤古】 こっちこそ… すまない
【盤古】 我のため… 何度も足を運んでもらって…
【盤古】 我が…外に出たくないのは……
【盤古】 この胸が… 恥ずかしいからじゃない
【盤古】 みんなと…上手く話せないから… 一緒に遊んでも…… 周りに……
【盤古】 迷惑をかけてしまうのでは… ないかと…
【盤古】 楽しんでるみんなの… 興を削いでしまうのではないかと…
【盤古】 それが…心配なのだ
【盤古】 我は… シェキナー…フライシュッツ… ヴァナルガンドのようには……
【盤古】 みんなを楽しませることなんて… できないから……
寂しげな目で俯く彼女
マスターは言う
そうだったんだね でも、彼女達みたいにする 必要はないよ、と
【盤古】 …え? じゃあ…どうすれば……
誰かじゃなくて… まずは自分が楽しむことから 考えてみたら?
僕と…リク・カイ・クウで お手伝いするから 微笑むマスター
【盤古】 ………
【盤古】 自分が…楽しむ……
盤古はなにがやりたい? 優しい笑顔でマスターが尋ねる
【盤古】 ………たい
声が小さく分からなかったため、 もう一度、聞き返すマスター
すると……
【盤古】 ……潜り…たい
潜りたいって…海に? 彼女は答える
【盤古】 うん…… 海の中はどうなっているのか… この目で見てみたい
わかった、だったら! 彼女になにかを手渡すマスター
【盤古】 これは…?
自分の殻から飛び出して、 僕と一緒に神秘の世界を 覗いてみよう!!
それは、 シュノーケルやゴーグルなど、 水泳道具一式だった
【盤古】 ……うん
【盤古】 やってみる……
決意を胸に、 自身の空間から 出てくる彼女
装備を身に着け、 マスターと共に海の前に立つ
【盤古】 …ちょっと……怖いな
大丈夫、僕もいるから マスターの言葉を受け、 共に海に足を踏み入れる
【盤古】 ………
【盤古】 ……あは
【盤古】 ……冷たい…
【盤古】 ふふ…これが…… 海か
行こう マスターに手を引かれ、 海に潜る彼女
【盤古】 ……わぁ
生まれて初めて見る神秘の世界に、 心を躍らせる
【盤古】 ……ありがとう… マスター
その瞳は、未知の世界への 不安と期待が入り混じりつつも、 キラキラと光り輝いていた
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