230013214 ロンギヌス 海上遊戯・秘められた勇気
【ロンギヌス】
いぞくがきても、
へっちゃらです！
そう言って、ロンギヌスは 小さな胸を張って ビーチの平和を守っている
マスターを助けるために 海に飛び込んだあの日から ロンギヌスにある変化が見えていた
みんなを守りたいという思いから、 今、彼女はこの海を守る ライフセーバーの真似事をしていた
【ロンギヌス】
お、おにいさん
わたし、やくにたててますか…？
おずおずと尋ねるロンギヌスに もちろんだよ！とマスターは微笑む
【ロンギヌス】
えへへ
うれしいです…！
そのとき… ぐう、と ロンギヌスの腹の虫が鳴る
【ロンギヌス】
ふえ…ご、ごめんなさい
ちがうんです
これは、その…あうぅ
マスターは優しく微笑み いっぱいがんばったからお腹空いたね お昼ごはんにしようか、と伝えた
【ロンギヌス】
は、はい…っ
おひるごはん…っ！
シートを広げて マスターはお昼ご飯の準備を整える
トマトたっぷりの サンドイッチもあるよ、 とマスターはお弁当箱を開いて見せた
【ロンギヌス】
わぁ！
まっかなトマトさん…！
いただきます…っ！
ロンギヌスが サンドイッチを食べようとした、 そんなときのこと…
【ロンギヌス】
うひゃぁ！
ウミネコがロンギヌスの前を さっと通り過ぎ、その際に サンドイッチを奪っていってしまった
【ロンギヌス】
ひっく…うぅ…
わたしのサンドイッチが…
ま、まだたくさんあるから！ とマスターは精一杯 ロンギヌスを慰める
【ロンギヌス】
は、はいぃ…
び、びっくりしました…
ふぅ、と深呼吸をして 気を落ち着かせているロンギヌス やはり臆病な面は相変わらずみたいだ
ウミネコには驚かされたけど 我慢できて偉いよ とマスターはロンギヌスを褒めた
【ロンギヌス】
すごい、ですか…？
驚いて潤んでしまった目元を こすりながら、ロンギヌスは マスターを見上げた
【ロンギヌス】
でも、おにいさん、あの…
わたし、ライフセーバーも
がんばったんです…
【ロンギヌス】
おにいさんといっしょにいたいから
いっぱい、いっぱいがんばりました
だから、その…
【ロンギヌス】
もっと…
ほ、ほめてほしいです！
ロンギヌスはもじもじと 恥ずかしそうに体を動かす
引っ込み思案だったロンギヌスが 精一杯自分を伝えようとしている
ありがとう、よくがんばったね とマスターは笑顔を向けた
【ロンギヌス】
えへへ…
ほめてもらえました～
今までのロンギヌスならば 遠慮してしまって、上手に 自分の気持ちを言えなかった
しかし、あの日以降から自信がつき 自分の思いを素直に伝えられる ように成長している
その思いの変化は 『海上遊戯・秘められた勇気』となり ロンギヌスの胸に宿っていた
【ロンギヌス】
じゃあ…
おにいさんがつくってくれた
サンドイッチ、いただきます…っ
【ロンギヌス】
はむっ…
…あれ？
【ロンギヌス】
なんだか、いつもよりおいしいです！
【ロンギヌス】
あ、まほうのシートの
うえだからでしょうか？
まほうのシート、すごいですね…っ！
【ロンギヌス】
…それとも、
おにいさんといっしょだから…？
小さく呟いたロンギヌスの言葉に ん、なあに？ とマスターは首を傾げた
【ロンギヌス】
な、なんでもないですっ…！
そう言って、もぐもぐと サンドイッチを頬張るロンギヌス
サンドイッチはたくさんあるから ゆっくり食べてね とマスターが声をかける
ロンギヌスが好きだというから たくさん用意したんだ と微笑むマスター
【ロンギヌス】
あ、わたしのすきな…
たべもの…？
ごくん、と飲み込んでから ロンギヌスは話し出す
【ロンギヌス】
…あのときは、たべものを
きかれたので、
たべものをこたえました…
他に好きなものがあるの？ とマスターが首を傾げる
【ロンギヌス】
じつは…
のみもののほうが
すきなんですっ
【ロンギヌス】
トマトもすきですが、
トマトジュースのほうが
もっとすきなんです…っ
今回のことでロンギヌスのことは 分かった気でいたマスターだが まだまだ知らないことが多い
【ロンギヌス】
えへへっ
これからはもっともっと、
わたしのことをしってほしいですっ
そう言ってロンギヌスは じっとマスターの目を見つめてきた
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