230321213 ガ・ジャルグ・獣刻・イーリス 煌く七彩の雷閃
【ガ・ジャルグ】 魔を切り裂く槍の威力、 味わってみなさいっ!
自らを至高の存在と言い張るだけあり ガ・ジャルグの強さは圧倒的
余裕で残りの異族を片付け、 サーフィンの練習の続きよ、と 戻ってくるはずだろう
そう思われた矢先……
【ガ・ジャルグ】 !! なんなの…?
突如 空が曇り始め、 大雨が降り出したのだ
【ガ・ジャルグ】 くっ!スコール…!?
土砂降りの雨に視界を奪われる
残りの異族の数は 本来であればなんてこともないはず だが、苦戦し始める彼女
【ガ・ジャルグ】 こ、これしきのこと…!
槍で敵の攻撃を跳ね返し、 濡れた目元を拭う
しかし次から次へ 攻撃を仕掛けてくる敵に、 次第に押され始める
【ガ・ジャルグ】 もう…! こんな雨さえなければ…! わたしは…至高の存在なのよ…!
遂に敵に囲まれる彼女
危機一髪!!
そこにマスターが サーフィンをしながらやってきた!
【ガ・ジャルグ】 マスター!! こんな時になにを 遊んでいるの!?
だがマスターは、 雨によって海の水位が上がり、 波が強くなったことを喜んでいる
【ガ・ジャルグ】 なにを呑気なことを…!
ほら、ガ・ジャルグ もっと肩の力を抜いて! とアドバイスするマスター
【ガ・ジャルグ】 なによ!それ、 わたしが言ったことでしょ!
【ガ・ジャルグ】 力を抜けったって…
【ガ・ジャルグ】 !!
【ガ・ジャルグ】 もしかして、マスター…
彼女は思う
【ガ・ジャルグ】 視界が悪かったのは 雨のせいだけじゃない
【ガ・ジャルグ】 わたしは… 『心』に力が入り過ぎて いたのかも…
【ガ・ジャルグ】 何かのせいにせず、 逆境をどう乗り越えるか…
【ガ・ジャルグ】 もっと言えば… どう楽しむか
【ガ・ジャルグ】 マスターは、それを わたしに伝えようと…!?
マスターの目を見つめる彼女
マスターも力強くうなずく
【ガ・ジャルグ】 ふふ、至高のわたしが… そんなことも 見えなくなってたなんて…
【ガ・ジャルグ】 感謝するわ!マスター!!
マスターの言葉で、 晴れやかな気持ちを手に入れた彼女
【ガ・ジャルグ】 雨が降っているのなら… それを味方につける!!
増した水位を利用し、 ボードに乗り込む! そして、そのまま波に乗る彼女
【ガ・ジャルグ】 いくわよ!! これがわたしの新たなる至高の技!! 『煌く七彩の雷閃』―――ッ!!
彼女の槍から、 輝ける七色の光が放たれる
その強力な奥義は敵を蹴散らし、 一瞬で殲滅するのだった
【ガ・ジャルグ】 魔を祓う槍の力、 また一つ至高に近づいたわ
【ガ・ジャルグ】 あなたのおかげでね
――と、 笑顔でマスターを見つめる彼女
【ガ・ジャルグ】 …あ!
スコールは上がり、 空には美しい虹が架かっていた
その後、ビーチにて マスターにサーフィンを教えている ガ・ジャルグ
優しい目でマスターに語り掛ける
【ガ・ジャルグ】 あなたの言葉で気がついたわ
【ガ・ジャルグ】 今までは一番になることが 全てだった
【ガ・ジャルグ】 でも…
【ガ・ジャルグ】 もしかしたら、 それだけが至高じゃない
【ガ・ジャルグ】 誰よりも、楽しむ!
【ガ・ジャルグ】 そんな至高があってもいいのかもね
【ガ・ジャルグ】 そう、あなたのように
…と、言うも、
『どぼ~~~ん!』
上達しないマスターは、 ボードから海に落下する
【ガ・ジャルグ】 ふふっ
【ガ・ジャルグ】 でも、やっぱり一番がいいかも
【ガ・ジャルグ】 うん!楽しむことでも 一番にならなきゃ気に入らないわ!
【ガ・ジャルグ】 ね、マスター!
そう言って、 マスターの指導を続ける彼女
空に架かった大きな虹は、 そんな二人を見守っているようだった
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