230341212 グランテピエ・獣刻・バハムート 破滅を覆す麗海の円舞
数時間後――
【グランテピエ】 ………
あの後も、高い椅子に座り、 プールで遊ぶ姫達を見守っている グランテピエ
【グランテピエ】 ……ほんとにあの子は
そう呟いた彼女の視線は、 マスターに注がれていた
【グランテピエ】 ふふ、優し過ぎるんだから
【グランテピエ】 お姉さんの気持ち、 分かってくれる、かな?
【グランテピエ】 いつも、みんなをまとめて大変な分、 こんな日くらいは 君にも楽しんで欲しいんだよ
そんなことを思いつつ、 微笑みながら眺めていると……
【グランテピエ】 …!
【グランテピエ】 あれは……
【グランテピエ】 異族!
高椅子に座っているおかげで、 プールに迫りくる 異族数体を発見できた彼女
【グランテピエ】 まだ誰も気づいていない……
【グランテピエ】 こうなったら……!
みんなには黙って、 一人プールを後にする彼女
【グランテピエ】 みんな、せっかく楽しんでるんだもん 邪魔したくない、よね
【グランテピエ】 あの数なら、 きっと私一人でも勝てる!!
駆け出すグランテピエ
【グランテピエ】 ここから先は行かせない、から!
プールの外で、異族数体と対峙する
【グランテピエ】 さぁ、行くわよ
【グランテピエ】 あの子達の、 安穏の時間を守るために!
武器を取り出し、戦闘を開始する彼女
だが……
【グランテピエ】 !!
【グランテピエ】 ……なに? この違和感は……
思うように体が動かない彼女
【グランテピエ】 まさか……!!
実は炎天下の中、 姫達を見守り続けていたことで、
知らず知らずのうちに軽い熱中症と、 脱水症状に陥っていたのだ
【グランテピエ】 そんなっ…… こんなことに気付けないなんてっ このままじゃ……!!
動きの鈍い彼女に迫りくる異族達
【グランテピエ】 くっ!止めないと…!! みんなの平和は…… 私が守るって決めたんだから!!
しかし……
【グランテピエ】 あっ!!
武器を振り払われてしまった
そして、そのまま、 異族の攻撃が振り下ろされた
【グランテピエ】 くっ…!!
目を閉じ、覚悟を決めた彼女
【グランテピエ】 ………あれ?
しかし目を開けると、そこには……
【グランテピエ】 ……あっ!君は…!!
異族をやっつけていたのは、 プールで溺れていたところを 彼女に救われたあの姫だった
【グランテピエ】 どうして、ここに…?
姫が促した先を見るグランテピエ
【グランテピエ】 あっ!マスター!!
そう、プールの椅子から グランテピエがいなくなったことを いち早く気づいたマスターが、
姫数人を引き連れ、 探しに来てくれていたのだ
【グランテピエ】 …ほんとに、もう しょうがない子
【グランテピエ】 こんな日くらいは、 楽しんで欲しかったのに……
【グランテピエ】 でも……
【グランテピエ】 ありがとう
向こうでは、 仲間の姫達が 異族と戦っている
【グランテピエ】 わ、私も……!
だが、脱水症状により、 思うように力が出ない彼女
すると………
【グランテピエ】 …! これは……
【グランテピエ】 かき氷…
マスターが彼女のために、 冷たいかき氷を持ってきてくれたのだ
【グランテピエ】 ふふ、本当に君って……
【グランテピエ】 優し過ぎるんだから!!
冷たいかき氷を 一気に口に入れる彼女
【グランテピエ】 く~~~~~~~っ!! キーーーン!!って来たよ!!
【グランテピエ】 バッチリ目覚めちゃった!!
武器を手に駆けていく彼女
【グランテピエ】 かき氷は…きっかけに過ぎない
【グランテピエ】 体に力が戻ったのは……
【グランテピエ】 優しい君を守りたい!! その想いだよ!!
【グランテピエ】 体は冷えてきたけれど… 気持ちは沸騰してきた!!
【グランテピエ】 くらえっ!! 『破滅を覆す麗海の円舞』!!
新たな力に目覚めた彼女は、 見事 異族の最後の一体を 倒すのだった
【グランテピエ】 ありがとう!! 君のおかげ、だね!
その後――
【グランテピエ】 ありがとうね、マスター
プールに戻って来た彼女は、 マスターと語らっていた
【グランテピエ】 私のこと、心配して 見に来てくれて
【グランテピエ】 あの時…気づいたんだ
【グランテピエ】 君のこと、 守ってあげたいって 思ってたけれど…
【グランテピエ】 私も… 君の優しさにずっと 見守られてたんだね
【グランテピエ】 これからは… そんな君の優しさを 素直に受け入れてみる
【グランテピエ】 今みたいに、ね
その言葉通り、 彼女は高い椅子ではなく、
君も楽しんだら?と言ってくれた マスターの言葉に甘え、 プールに浸かっていた
【グランテピエ】 言ったよね? 楽しんでるみんなを 見てるのが楽しいって
【グランテピエ】 でも……
【グランテピエ】 今はそれ以上に、 みんなと一緒に楽しむ方が楽しいよ
プールサイドにいるマスターを 見上げる彼女は、 とても新鮮で愛らしかった
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