231040141 限定クエスト イースターイベント レター・フロム・イースター ストーリークエスト レター・フロム・イースター ストーリークエスト 後編 4 - 【EP3】2つの悲しみ レター・フロム・イースター 3話 レター・フロム・イースター 3話
【エマ】 フリズスちゃ～ん！ シュッツちゃ～ん！！
【フライシュッツ】
エマちゃん
嬉しそうに駆けてきたエマが、 勢いよく２人の足元に抱き着く
【エマ】 ねぇ、ねぇ！ なにして遊ぶ？
【フリズスキャールヴ】
すまんの、エマ
今日はダメなのじゃ
【エマ】 え～～～～っ！！ なんで！？
【フリズスキャールヴ】
シュッツとわらわは、
庭掃除の当番じゃからの
【エマ】 じゃあ、エマも手伝ってあげる！ 一緒にそうじしよ？
【フライシュッツ】
そんなの悪いよ～、
エマちゃんはみんなと一緒に
遊んでおいで
【エマ】 やっ！ シュッツちゃんとフリズスちゃんと そうじする！！
【フリズスキャールヴ】
困った子じゃの
【フリズスキャールヴ】
エマよ、
わらわ達だけでなく、
他の子達とも交流を持つのじゃ
【フライシュッツ】
そうだよ、
同じ年代の子と遊ぶのも
楽しいよ
【エマ】 ………… ２人といっしょがいい
眉間にしわを寄せ、 黙ったまま、 涙目になっていくエマ
【フリズスキャールヴ】
………ふぅ
【フリズスキャールヴ】
本当に……困った子じゃ
【フリズスキャールヴ】
エマよ、庭掃除……
手伝ってくれるか？
【エマ】 ……いいの！？
【フリズスキャールヴ】
頼む
微笑みかけるフリズスキャールヴ
【エマ】 うん、わかった！！
【フライシュッツ】
じゃあ、エマちゃん！
お庭まで競走だ～！！
【エマ】 あ～、待ってよ～～～！！
【フリズスキャールヴ】
やれやれじゃの
エマはあの年のイースター以来、 今まで以上にわらわ達と 一緒にいるようになった……
そして、時は流れ……
次の年のイースターを ２週間後に控えた、 ある日のことじゃった……
【フライシュッツ】
わ～、みんな上手だね～～～！！
孤児院の子供達は、 卵に色を塗ったり、絵を描いたりする 『エッグペイント』に勤しんでおった
【フライシュッツ】
わ～、かわいいネコちゃん！
【フライシュッツ】
こっちはキレイなお花だ～～～！
【エマ】 ねぇ、ねぇ、シュッツちゃん！ エマのも見て！
【フライシュッツ】
おっ！これは……
お星さま！？
【フライシュッツ】
エマちゃん、
流れ星が大好きだったよね
【フライシュッツ】
去年も流れ星
見れて喜んでたもんね
今年も見れるといいね
【エマ】 うん！ でもね、今年は たくさんの流れ星が見たいんだ
【フライシュッツ】
どうして
たくさんの流れ星なのかな？
一つじゃダメなの？
【エマ】 あのね、流れ星の光ってね 神様が天の扉を開けて こっちを見ているときの光なんだって
【エマ】 だから、流れ星がたくさん 出てるときなら、天国といっぱい つながってるってことでしょ？
【エマ】 そしたら天国にも 行けるかも
【フライシュッツ】
あははは…
天国かー
エマちゃんにはちょっと早いかな
【フリズスキャールヴ】
なんじゃ、
エマは子供なのに
そんなことを考えておるのか
フリズスキャールヴが 箱から大きな卵を取り出しながら 言う
【エマ】 …でも、準備は早くやって おきなさいって、
【エマ】 フリズスちゃんが 言ってたでしょ
【フリズスキャールヴ】
確かに言ったが、
それは日常のことじゃ
【フライシュッツ】
そうだよ～
だから、天国に行くなんて
寂しいこと言わないでよ～
【エマ】 ……
【エマ】 それより、 おっきなタマゴだね どうしたの？
【フリズスキャールヴ】
イースターエッグ用に
用意したのじゃ
【フリズスキャールヴ】
今年はこの卵に
願い事を書いて、うさぎに
神様へ届けて貰うんじゃよ
【フリズスキャールヴ】
だから、ほら
その印にうさぎの絵を
描いたのじゃ
【エマ】 フリズスちゃん、 と～っても上手！ エマ、フリズスちゃんの絵好き！
【フリズスキャールヴ】
ふふ、そう言ってもらえると
嬉しいのう
【エマ】 あれ？でも、 どうして、うさぎさんが 神様に届けてくれるの？
【フリズスキャールヴ】
このウサギは、穴を掘って
地下で生きていることから
【フリズスキャールヴ】
古来より、
大地の霊と交流を持つ
神聖な動物と言われておる
【フライシュッツ】
神聖な動物だから
神様に届けることが
できるんだよ
【エマ】 そっかー！ じゃあ、エマもお願いごと書くね！
【エマ】 たくさんの流れ星が 見れますように、って
【フリズスキャールヴ】
これ！
フライングはダメじゃぞ
【フライシュッツ】
イースターエッグには
イースターの日に
お願いごとを書かないと、ね
【エマ】 ……え？ イースターじゃないと 書いちゃダメなの？
【フリズスキャールヴ】
そうじゃぞ
だから、イースターの当日は
寝坊はできんからな
【フライシュッツ】
イースターの日に
みんなと一緒に書こうね、
エマちゃん
【エマ】 でも…今、書かないと… 流星群を見るのは、 とってもむずかしいの
【フライシュッツ】
どうして？
【エマ】 時間とか場所とか、 色んな条件がそろわないと いけないんだって
【フライシュッツ】
そうなんだ…
【エマ】 だから、今、書かせて
【フリズスキャールヴ】
なにを言っておるのじゃ
イースターはもうすぐじゃぞ
それまで待つんじゃ
【エマ】 ヤダ… 今、書くんだもん！
【フリズスキャールヴ】
エマよ
我がままを言うではないぞ
【エマ】 えいっ！
突然、エマが卵を押して倒す その衝撃で卵が割れる
【フリズスキャールヴ】
エマ！
何をしておるんじゃ！
【フリズスキャールヴ】
エマちゃん
……どうして？
【フリズスキャールヴ】
エマよ！
この卵はみんなのために
用意したものなんじゃぞ！
【エマ】 だからだよ！
【フリズスキャールヴ】
なんじゃと？
【エマ】 みんなの中には エマは入ってないもん！
【フライシュッツ】
そんなことないよ？
エマちゃんも
ちゃんと入ってるよ？
【エマ】 バカ！ ２人とも嫌い！
エマが走って行ってしまう
【フリズスキャールヴ】
……エマ
【フライシュッツ】
……エマちゃん
【フリズスキャールヴ】
あの時の
エマの悲痛な顔は……
今でも忘れられん
【フライシュッツ】
そうだね……
【フライシュッツ】
…でも、なんで
あんなことしたんだろうね？
【フリズスキャールヴ】
わからん
だからこそ、あのとき…
追うべきだったんじゃ
【フリズスキャールヴ】
追って、抱きしめて
話を聞いてやるべきだったんじゃ
【フライシュッツ】
……
【フリズスキャールヴ】
まさか、その１週間後に
【フリズスキャールヴ】
エマが死んでしまうなんて……
【フライシュッツ】
あれは……事故だったんだよ
【フライシュッツ】
フリズスちゃんのせいじゃない……！
【フリズスキャールヴ】
……それでも
いや、だからこそ
話を聞いてやるべきだったんじゃ
【フリズスキャールヴ】
あのとき、わらわは
エマが何を考えているのか
わからなかった
【フリズスキャールヴ】
そのときは単なる
子供の癇癪だと
思ったんじゃ
【フリズスキャールヴ】
数日経てば、
また元のエマに戻るだろうと…
【フライシュッツ】
……フリズスちゃん
それはあたしもだよ
でも………
【フリズスキャールヴ】
わかっておる……
【フリズスキャールヴ】
エマの死をずっと抱えたままでは、
エマも悲しむと思い……
【フリズスキャールヴ】
わらわは夢を追い掛け、
孤児院を出る決心をして
街に出た
【フリズスキャールヴ】
そう……
画家になりたいという
夢を追うために
【フリズスキャールヴ】
エマが好きと言ってくれた
絵を描くために、な
【フリズスキャールヴ】
じゃが……
【フリズスキャールヴ】
絵を描くたびに……
思い出してしまうのじゃ
【フリズスキャールヴ】
エッグペイントを褒めてくれた
エマの顔を……
【フリズスキャールヴ】
わらわの絵を、
キラキラ輝く瞳で見つめてくれた
エマの笑顔を……
【フリズスキャールヴ】
そして、卵を割ったときの
悲痛な表情を……
【フリズスキャールヴ】
それ以来……
どれだけ前に進もうとしても……
【フリズスキャールヴ】
わらわの時計の針は…
エマが死んだ、あの時から……
ずっと止まったままなのじゃ……
【フリズスキャールヴ】
わらわにとってあの場所は…
それにエマや子供達といた時間は
大きなものだったんじゃな…
【フライシュッツ】
………
２人を静寂が包み込む……
【フライシュッツ】
事故があった日……
【フライシュッツ】
一人で出かけようとしているのを
見つけたの
【フライシュッツ】
だから
一緒に行こうかって言ったんだけど
【フライシュッツ】
でもエマちゃんは、
珍しくそれを断った
一人で出かけたいって……
【フライシュッツ】
卵を割った日以来、
あたし達のことを避けているような
気がしていたから……
【フライシュッツ】
あたしはそれ以上、
ついて行くとは言えなかった
【フライシュッツ】
でも……
【フライシュッツ】
そのお出掛けから
エマちゃんが戻ることはなかった……
【フライシュッツ】
どうしても……思っちゃうんだ
【フライシュッツ】
あたしがあの時、
強引について行けば……
【フライシュッツ】
あたしがあの時、
エマちゃんの話をちゃんと
聞いていれば…
【フライシュッツ】
エマちゃん、
きっと悩みがあったんだよ
それを聞けていれば…
【フライシュッツ】
あたしもね、
あのとき、エマちゃんを
追わなかったことを後悔したの
【フリズスキャールヴ】
…………
傾き始めた夕陽が、 ２人に暗い影を落とす
【フライシュッツ】
…あたしにとって
孤児院は家で
子供達は家族だったの
【フライシュッツ】
みんなといるとね
毎日楽しくて、笑顔になれて
【フライシュッツ】
だからね
温もりをくれるこの場所を
守りたいって、そう思ったんだ
【フリズスキャールヴ】
……
【フライシュッツ】
そんな中でもエマちゃんは…
本当に……
本当の家族って
【フライシュッツ】
妹のように思ってたんだ…
【フライシュッツ】
そんなあたしが孤児院の
教師になったのは……
【フライシュッツ】
孤児院に少しでも
恩返しがしたかったから
【フライシュッツ】
……ううん
違うね
【フライシュッツ】
エマちゃんに出来なかったことを
他の子にしてあげることで
罪悪感から逃れようとしてた
【フライシュッツ】
でも……ダメなの
【フライシュッツ】
あそこにいると……
【フライシュッツ】
エマちゃんの声、
エマちゃんの姿、
エマちゃんの笑顔……
【フライシュッツ】
全部を思い出しちゃって……
【フライシュッツ】
心が……痛い……
【フライシュッツ】
痛くて、痛くて……
たまらないの……
【フライシュッツ】
辛くて、悲しくて……
涙が止まらないの……
【フリズスキャールヴ】
………シュッツ
【フライシュッツ】
でも、そんな時……
【フライシュッツ】
今年のイースターに
参加して欲しいっていう
エマちゃんの遺言が見つかった…
【フライシュッツ】
もしかしたら、
イースターに参加すれば
何かわかるかもしれない
【フライシュッツ】
あのとき、どうしてエマちゃんが
あんなことをしたのか……
【フライシュッツ】
エマちゃんが抱えていた悩みが
見えてくるかもしれないって…
【フライシュッツ】
でも……
【フリズスキャールヴ】
わらわ達には……
見つけられないのか……
【フリズスキャールヴ】
前に進み出すための
ヒントも……
【フリズスキャールヴ】
光へと続く……道筋も……
【フライシュッツ】
あたし達は……
なにも……
変えられないのかな……
空は、彼女達の心を 映し出すかのように、 暗くなってゆく
【フライシュッツ】
……エマちゃんも
こうして空を見上げるのが
好きだったよね
【フリズスキャールヴ】
……そうじゃな
星が好きじゃと言っていた
【フリズスキャールヴ】
エマとは、
天気のよい日は決まって
よく星を眺めていたものじゃ
【フライシュッツ】
うん
今日は天気もいいし、
星が綺麗に見えそうだね
【フリズスキャールヴ】
……エマ
【フライシュッツ】
エマちゃん……
…………だが
それは奇跡だったのか、 必然だったのか……
２人の脳裏に、 同じ光景が瞬いた
【エマ】 フリズスちゃん！ シュッツちゃん！
【エマ】 エマね、いつか――
【エマ】 いつか―――
【フリズスキャールヴ・フライシュッツ】 ！！
【フリズスキャールヴ】
あっ……！
【フライシュッツ】
……フリズスちゃん！
もしかして……！
【フリズスキャールヴ】
……うむ
【フリズスキャールヴ】
賭けてみよう
【フリズスキャールヴ】
例えそれが、
どれほど微かなものでも……
【フライシュッツ】
大丈夫だよ……
【フライシュッツ】
今日はイースター
……復活祭
【フライシュッツ】
そして
エマちゃんが
選んでくれた日……
【フライシュッツ】
意味があるはずだよ
この日を…
イースターを選んだことに
【フリズスキャールヴ】
これがエマの気持ちを知る
最後のチャンスじゃ
【フライシュッツ】
今度こそ追いかけよう、
フリズスちゃん！
あっちだよ！
指さす方向に 向かって駆けて行く２人
その先に、 希望の光があると信じて
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