240012204 アルテミス 『黒式・満月ノ誘惑』
あれから数日後─
【アルテミス】
………
またプールサイドで、 隊の姫たちを眺めているアルテミス
そんな彼女にマスターが、 声を掛ける
【アルテミス】
あ、マスター
【アルテミス】
また…監視員みたいでしたか？
【アルテミス】
ふふ、どう映っているかは
分かりませんが…
私の中では大きな変化がありましたよ
彼女が己の胸中を語り出す
【アルテミス】
マスターの言うように…
【アルテミス】
ここにいる人たち、
みなが性愛に溺れているわけでは
ないと思えるようになりました
【アルテミス】
あなたに教わったのです
【アルテミス】
決めつけるばかりではなく…
“寛容”の目を
持つことが大切なのだと
【アルテミス】
何事も事務的に取り締まるだけが、
正解ではないのだと
【アルテミス】
だって…
【アルテミス】
こんなにも窮屈な性格をした私をも、
マスターは
寛容の心で受け入れてくれる…
窮屈…？ マスターが彼女に尋ねる
【アルテミス】
自分でも…そう思う時があります
みんなに厳しいことを
言い過ぎていると思うことも…
【アルテミス】
でも…
これが私の性格だから、
どうすることもできない…
そんなことは─
マスターの声を遮り、 彼女が言葉を紡ぐ
【アルテミス】
以前までは、そう思ってました
【アルテミス】
でも…
【アルテミス】
私も…持ちたい
寛容の心を…
【アルテミス】
そして…
【アルテミス】
燃え上がるような熱情を
その心の変化は、 隊の仲間にも十分伝わっていた
寛容の目で見てくれるようになった 彼女に、前以上に信頼を寄せるように なっていたのだ
【アルテミス】
『黒式・満月ノ誘惑』
【アルテミス】
マスターのおかげで、
新たに私の中で生まれた力です
微笑む彼女
そして、意を決したように…
【アルテミス】
あ、あの…！
【アルテミス】
もし寛容の目で見て下さるのなら…
今日だけ…その…
【アルテミス】
熱情に駆られてみようかと…
思うのです
【アルテミス】
…す、少しだけ…
アルコールを飲んでみようかと…
【アルテミス】
だ、だって…！
【アルテミス】
夏ですし
…と、
【アルテミス】
ひゃっ！！
ひんやりとした感覚が、 彼女の頬を襲う
【アルテミス】
な、なにをするのです！？
まさか、きみの方から、 そう言ってくれるなんて
【アルテミス】
…え？
僕の方から 誘うつもりだったんだけどな 今日ぐらい飲んでみない？…って
【アルテミス】
…あ！
彼女の頬に付けられたのは、 キンキンに冷えたドリンクだった
【アルテミス】
もう、本当に…
【アルテミス】
不謹慎で不埒で、
不真面目なマスターですね
【アルテミス】
でも、その不真面目さが…
【アルテミス】
寛容の心の
入り口なのかも
マスターを見つめる彼女
その目には、昨日までは無かった 熱いものが入り混じって見えた
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