240221211 イチイバル・神令・オーディン 海上編ver. イチイバルさんの憂鬱
夏―――
赤い太陽、 白い砂浜、 緑生い茂るヤシの木
マスターの隊は、 海のあるリゾート地に来ている
海で泳いだり、 ビーチで肌を焼いたり、 かき氷を食べたり
みんな、夏を謳歌している
そんな中……
【イチイバル】 いくよ~
【イチイバル】 天才美少女戦姫、 イチイバルさんの サーブを受けてみろ
【イチイバル】 それ
イチイバルは他の姫達と ビーチバレーに興じている
【イチイバル】 お兄さん、いくよ
マスターにトスを上げる彼女 おりゃああ!と、 見事スパイクを決めるマスター
【イチイバル】 ナイス、お兄さん
【イチイバル】 でも、それはこの天才美少女戦姫、 イチイバルさんの絶妙なトスが あったからだけどね、ドヤッ☆
ナイストス!と、 イチイバルとハイタッチをする マスター
【イチイバル】 こういうの、いいね テヘッ☆
そのまま勢いに乗って、 マスターは他の姫とも ハイタッチをしていく
【イチイバル】 あっ………
そんなマスターの背中を じっと見つめるイチイバルだった
それから数時間、経って――
夕方
みんなでバーベキュー大会
ジュ~ッと肉の焼ける音、 食欲をそそる香り
【イチイバル】 うん、おいしい
マスターが焼いてくれた肉を頬張り、 ご満悦の彼女
【イチイバル】 これもイチイバルさんの下ごしらえが 良かったからだね、キランッ☆
ありがとう、と 彼女にお礼を言うマスター
【イチイバル】 どういたしまして
【イチイバル】 でも 『ありがとう』は、 こっちのセリフだよ
【イチイバル】 お兄さんは、 ずっと満たされなかった ボクの心を満たしてくれたからね
どういうこと? マスターが尋ねる
【イチイバル】 だって…
仲間の姫達に目をやる彼女
【イチイバル】 こんなにも面白くて、 心が安らぐ時間を過ごせる なんて、思ってもいなかった
【イチイバル】 全部、お兄さんのおかげだよ
君に褒められたら、 やる気になっちゃうな よ~し、どんどん焼くぞ~!
と、肉を焼いては、 姫達の皿に乗せていくマスター
その様子を見ながら、 イチイバルは呟く
【イチイバル】 そう、本当に みんなと過ごす時間は 楽しくて嬉しいんだ
【イチイバル】 なのに……
【イチイバル】 それなのに……
マスターを見つめる彼女
【イチイバル】 ………
……? その視線にマスターが気づく
【イチイバル】 …ッ!
つい顔をそらしてしまう彼女
どうしたの? マスターが尋ねる
【イチイバル】 ………いや、別に
【イチイバル】 お兄さん、 今度はボクがお兄さんの分の お肉をよそってあげよう
【イチイバル】 お兄さんには 特別大サービスだよ ドヤッ☆
微笑んで見せるが、 その瞳はどこか寂し気で…
【イチイバル】 うん、やっぱり みんなで食べるご飯は おいしいね
そんな彼女が 妙に気に掛かる マスターだった
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