240221212 イチイバル・神令・オーディン 海上編ver. イチイバルさんの満悦
数日後―――
【イチイバル】 ………
ビーチで一人佇むイチイバル
その視線の先には、 楽しそうにビーチバレーをしている 姫達
そして、そこには マスターの姿も
【イチイバル】 ……あっ
視線に気づき、 彼女の元にやってくるマスター
今日はみんなと遊ばないの? と、彼女に尋ねる
【イチイバル】 ……うん
【イチイバル】 ボクは荷物番をしてるよ
そう答える彼女に、 マスターはさらに尋ねる
どうして、 そんな寂しそうな目を しているの?と
【イチイバル】 ……!
【イチイバル】 ベ、別にそんな……
良かったら話してよ マスターが彼女に微笑む
【イチイバル】 ………
【イチイバル】 その笑顔が……
【イチイバル】 イヤ
え?どういうこと? 尋ねるマスターだが、
【イチイバル】 ………だって
理由を言い掛けた時……、
ねぇ、みんなで山に行こう! と、マスターとイチイバルを 誘いに来る姫達
いいね~! と、笑顔で答えるマスター
【イチイバル】 ………
【イチイバル】 結局、お兄さんは…
でも彼女と話がしたいから、 今回はごめんね と、マスターが断った
【イチイバル】 …!
OK~!今日はイチイバルと ゆっくり過ごしてと、 その場を立ち去る姫達
【イチイバル】 ……良かったのかい?
だって今は、君との話の方が 大事だと思ったから 真剣な目を向けるマスター
【イチイバル】 ………
【イチイバル】 ……ありがとう
【イチイバル】 そして……
【イチイバル】 ごめんね…… 笑顔がイヤ…… とか言って
理由を聞かせて? とマスター
【イチイバル】 前にも言ったけど…
【イチイバル】 お兄さんの隊に入れてもらって、 こんなにも面白くて、 心が安らぐ時間を過ごせてる
【イチイバル】 でもね…
【イチイバル】 みんなと一緒にいるうちに…
【イチイバル】 誰にでも分け隔てのない お兄さんの笑顔が……
【イチイバル】 イヤになる時もあるんだ
【イチイバル】 なんでかな…
【イチイバル】 とても醜い感情だけど…
【イチイバル】 たまには…
【イチイバル】 ボクだけを見てよ
【イチイバル】 ボクだけに、 その笑顔を見せてよ
【イチイバル】 そんな気持ちになっちゃうんだ
彼女が、己の正直な思いを打ち明けた
【イチイバル】 でも、さっき お兄さんはボクと話したいって、 みんなの誘いを断ってくれた
【イチイバル】 ボクだけのために…
【イチイバル】 すごく申し訳ない気持ちだけど…
【イチイバル】 すごく嬉しかったんだ
そんな彼女に、 ごめんね、気づいてあげられなくて と謝るマスター
【イチイバル】 うぅん、これは ボクのわがままだけでしか ないからね
【イチイバル】 でも… その気持ちだけで…
【イチイバル】 不思議と力が湧いてきたよ
小さな願いが叶えられた時、 彼女の中でなにかが変わった
それは新技 『虚を衝く蒼海の秘策』に 目覚めた瞬間でもあった
それから数日後―――
【イチイバル】 いくよ~
【イチイバル】 天才美少女戦姫、 イチイバルさんの サーブを受けてみろ
【イチイバル】 それ
みんなとビーチバレーで 盛り上がる彼女
【イチイバル】 素直な気持ちを告白できて…
【イチイバル】 スッキリした
【イチイバル】 ごめんね、お兄さん わがままなボクで
【イチイバル】 でも、これからも…
【イチイバル】 ずっと、よろしくね
笑顔でマスターを見る彼女
――と、
イエ~イ!
スパイクを決め、 みんなと 笑顔で盛り上がっているマスター
【イチイバル】 ……まったく
【イチイバル】 お兄さん、 あまりよそ見は よくないと思うな
【イチイバル】 いくら寛容なイチイバルさんでも、 たまには怒るかもしれないよ
ご、ごめんなさい… と謝るマスター
【イチイバル】 なぁんて…
【イチイバル】 でも、半分ホント
【イチイバル】 ボク、意外と構ってちゃんだから
【イチイバル】 だから、たまには…
【イチイバル】 ボクにも構ってよね
やれやれ…といった笑顔で、 優しくマスターを見つめる イチイバルだった
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