260141103 プタハ 『母なる加護』
ふと、柔らかい感触に目が覚める
【プタハ】 目が覚めたようだな、マスター
見れば、プタハの顔が目の前にある マスターは膝枕をされているのだと すぐに気付いた
【プタハ】 動くでない。頭を打っているのだ 別状はないようだが しばらく安静にしているといい
そう言って微笑むプタハの眦には 涙の後がにじんでいる
【プタハ】 まったく…心配をかけおって そなたの身になにかあったら どうするのだ…
【プタハ】 子供たちのことは安心せよ 異族を残らず倒した後 異変に気付いた親御が迎えに来たのだ
【プタハ】 そなたに感謝していたよ 助けられた子の親が特にな
【プタハ】 だが…
プタハの肩が なにかを堪えるように震える
【プタハ】 本当に、心臓が潰れるかと思った… 我にここまで心配をさせるとは 罪な子よ…
【プタハ】 だが… 本当に許せぬのは、我自身だ
【プタハ】 我にもっと力があれば… 我がもっと周囲に気を配っておれば…
【プタハ】 マスターにこんな思いをさせずに 済んだものを…
自分は自分の意志で、子供を守った そう答えたマスターに プタハは驚き、優しげに微笑む
【プタハ】 ああ、そうとも そう言う、そなただからこそ― 我も、そなたを愛しく思うのだ
【プタハ】 守りたいと、そう願うのだ…
胸に手を当て 祈るように目を閉じるプタハ
【プタハ】 いや―我は守ってみせる そなたを、そしてそなたが 守りたいと思う全てを…!
その瞬間 彼女の内から光が沸き起こり その身を包んでいく
【プタハ】 この力は…そうか 我の想いにキラーズが 応えてくれているのだな…
【プタハ】 我はこの力を 『母なる加護』と名付けよう
【プタハ】 この力こそが我の意志
【プタハ】 そなたたちを二度と傷付けさせぬ― そう想い戦う我の決意が カタチとなったものだ
【プタハ】 もはや無辜の子らが傷つくことも マスターが身を挺す必要もない
【プタハ】 すべて、あまねく我が守ろう
【プタハ】 だから今は休むがいい。愛しき子よ 今この一時の安息を 我は何者からも守ってみせよう…
プタハは膝に乗せたマスターの頭を 優しくなでると、いつものように 慈愛に満ちた微笑みを見せた
彼女の優しさに包まれ マスターの意識が少しずつ― 優しく、緩やかに沈んでいった
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