260251212 カリス・聖鎖・アザゼル たゆたう水球、たゆたう気持ち
あれから数時間後――
【カリス】 ………
マスターと話して以来、 物憂げな表情のカリス
【カリス】 ………
ビーチボールを膝に置き、 三角座りの体勢で 座っている
【カリス】 ……キプル、元気?
時折、傍らで眠る 機械小獣のキプルの 頭を撫でている
その時……
【カリス】 きゃっ!
突然の強風に、 彼女が持っていたビーチボールは 海の方へと飛ばされてしまった
【カリス】 ど、どうしよう…
水に濡れるのがイヤ、波が苦手… そう言っていた彼女は、 取りに行くのを躊躇する
そうこうしているうちに、 ボールはどんどん沖へと流されていく
――と、
【カリス】 あっ!!
なんと、 マスターが海に飛び込み、 拾ってくれたのだ
海から上がり、 彼女にビーチボールを渡すマスター
【カリス】 マスターさん、具合悪そうなのに ありがとう…
お礼を言う彼女に、 マスターは…
大丈夫だよ、それより さっきは、笑ってゴメンね と返す
【カリス】 う、うぅん
マスターは彼女に尋ねる 水に濡れるのがイヤなわけ… なにか重大な理由があるのかな?と
【カリス】 !!
驚いた顔を見せるカリス
やっぱり、なにかあるんだね? 良かったら、話してよ そう言ってくれるマスターに彼女は…
【カリス】 ………実は
うつむきながら、 ポツポツと事情を語り始めた
【カリス】 わたしが水を嫌がるのはね…
【カリス】 キラーズである聖杯の影響があるの
【カリス】 神の罰として、 大洪水を起こされた アザゼルの記憶…
【カリス】 それに、もし海水で錆びてしまったら 聖杯がもつ神秘の力が 失われてしまうかもしれない…
【カリス】 色んなことが影響し合って… 海はどうも好きになれないの
それはキラーズに基づく、 どこかトラウマにも似た 感覚なのだろうか…
そんな理由があったなんて… 笑ってしまってゴメンね マスターが頭を下げる
【カリス】 う、うぅん! い、いいよ、もう
【カリス】 それに、今まで 誰にも言ってなかったから、 ちょっとスッキリしたし
物憂げだったカリスの表情が 晴れていく
だが、そのとき、 マスターの目が虚ろになり 体を大きく揺らす
【カリス】 マスターさん 大丈夫…?
【カリス】 さっきよりも顔色、 すっごく悪いけ――
――と、言葉の途中で、 マスターがその場に倒れてしまった
【カリス】 マ、マスターさん!
ごめん…、ちょっと目まいが… 青白い顔で答えるマスター
【カリス】 熱中症かも…! 早く日陰に…!
カリスはマスターを移動させようと 手を伸ばす その時…
【カリス】 !!
突然、何者かの攻撃が被弾した!
【カリス】 きゃあっ!!
【キプル】 ぎゃぁぁぁっ! ななな、なんですか!
爆風で吹き飛ばされる カリスと目を覚ましたキプル そしてマスター
【カリス】 うぅ…
見ると、攻撃してきたのは 異族の大群だった
【カリス】 マ、マスターさんは…?
【キプル】 あ、あそこです
キプルが指した方向、そこには さっきの衝撃で、 海に放り出されてしまったマスター
【カリス】 このままじゃ波に流されて、 溺れちゃう…!
【カリス】 誰か…!
だが、助けを呼ぼうにも、 仲間の姫は近くにはいない
【カリス】 ど、どうすればいいの…!?
カリスの顔に、 焦りの色が浮かぶ
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