260321212 オルフェウス・神令・フォルセティ あたし達の暑い夏!
【オルフェウス】 うおおおおおおお!
フェスに向け、 練習しまくるオルフェウスと、 バンドのメンバー達
【オルフェウス】 イエエエエエエイッ!
真夏の太陽の光を浴び、 汗をほとばしらせる彼女達の姿は、 とても気高く美しい
だが、ただ一人、 マスターだけは 付いていくのに精一杯だ
【オルフェウス】 ちょっち、リーダー! 一人、音遅れてるよ!!
【オルフェウス】 ま、5時間ぶっ続けだもんね とりま、休憩しよっか
憔悴するマスターに、 ドリンクを手渡す彼女
【オルフェウス】 ごめん、リーダー 厳しくし過ぎた系かも…
マスターの隣に腰掛け、 一緒にジュースを飲む
どうして5時間もがんばれるの? マスターが素朴な疑問をぶつける
【オルフェウス】 だって、大勢のお客さんの前で 演奏できるなんて夢みたいじゃんっ
【オルフェウス】 それにさ… いつまで歌い続けられるか 分かんないからね
どういうこと? マスターが尋ねる
【オルフェウス】 もしかしたら、この先 才能がなくなるかもしんない
【オルフェウス】 戦闘で声が出なくなるような 怪我をするかもしんない…
【オルフェウス】 それに… 命を落とすことだって あるかもしれないからね
【オルフェウス】 だから後悔しないように、 今この瞬間を歌い上げる! 音を奏でる!!
【オルフェウス】 どんな逆境も、 音楽で跳ね返して見せる!!
【オルフェウス】 それがミュージシャンって もんでしょ?
そう言ってのけ、微笑む彼女
マスターは その真夏の太陽のように ギラギラ輝く瞳に、
彼女の ミュージシャンとしての 覚悟を見た気がした
そして、いよいよ フェス本番当日!
天気は快晴!
ビーチに設営された会場には、 すでに大勢のオーディエンスが 詰め掛けている
【オルフェウス】 こんなに集まってくれて、 ありがとぉぉぉぉっ!! マジ感謝だよっ!!
【オルフェウス】 じゃ、気合い入れて行くから、 みんなついてきてね! よろしく~~~!!
爆音をかき鳴らし、 魂を込め歌いまくる彼女
4人が紡ぐ熱いビートに、 オーディエンス達は大盛り上がり
その熱気に乗せられるように、 バンドメンバーは一気に 前半戦を駆け抜けるのだった
【オルフェウス】 はぁ…はぁ…はぁ…
【オルフェウス】 へへっ
汗だくになった彼女も、 とても満足そうな表情を浮かべ、 マスターと微笑み合う
【オルフェウス】 リーダー……
息を切らせながら、 マスターの目を見つめる彼女
なに? 尋ねるマスター
【オルフェウス】 ふふっ、これだけは言わせて ここまで一緒に 盛り上げてくれて…
【オルフェウス】 うぅん
【オルフェウス】 支えてくれて……
と、彼女がマスターに なにかを言い掛けた時…
【オルフェウス】 !!
オーディエンスから悲鳴が上がった
【オルフェウス】 あれは…異族!!
ビーチに、敵の大群が出現したのだ
慌てて、会場から 逃げ出すオーディエンス達
【ヒョウハ】 なんか、ヤバそうだな いくぞ、ミュルグレス!
【ミュルグレス】 はいはい… あとで、カステラ5個ね
ヒョウハとミュルグレスは ステージを飛び降り、 敵の討伐に向かう
【オルフェウス】 はぁ…はぁ… あ、あたしも……
しかし、オルフェウスは 疲労困憊で他の姫に出遅れてしまった
【オルフェウス】 きゃっ!!
そんな彼女に 襲いかかってきた敵の一体に、
サブで使っていた ギターを壊されてしまう
【オルフェウス】 あぁっ…!
…と同時に、 さっきまでの晴天から一変
空を分厚い灰色の雲が覆い、 すぐさま大雨が降り出した
【オルフェウス】 そんな…… さっきまであんなに 楽しかったのに…
異族の群れと戦う ヒョウハとミュルグレスを 眺めながら
膝をつき、呆然とする彼女
【オルフェウス】 みんなに楽しんで もらいたかったのに…
【オルフェウス】 あたしが奏でた音で… 異族まで呼び寄せちゃうなんて…
【オルフェウス】 全部、あたしのせいだ… あたしがフェスなんて やらなければ…
その異族の群れに、 苦戦を強いられている ヒョウハとミュルグレス
ショックで落ち込んでいるせいか オルフェウスにはそれが 見えていないようだ
――と、そのとき マスターが、二人を助けようと 異族の群れの方へ走り出す
【オルフェウス】 リ、リーダー? なにしてんの? 危ないし!
逆境に力を与えられるのが、 音楽の力じゃないの?と マスターは走りながら叫んだ
【オルフェウス】 !!
【オルフェウス】 ……リーダー
【オルフェウス】 そうだね
【オルフェウス】 ……後悔しないように、 今この瞬間を歌い上げる
【オルフェウス】 音を奏でる それが…
【オルフェウス】 ミュージシャンだよね!!
彼女の目は、 再び真夏の太陽のように ギラギラと輝き出した
【オルフェウス】 行くよぉぉぉぉ、 みんなぁぁぁぁぁぁっ!!
メインギターを肩にかけ、 彼女は歌い出す
【オルフェウス】 落ち込んでるヒマはない!! みんなを勇気づけるため!! そして、自分自身が強くなるため…
【オルフェウス】 あたしは歌うっ!!
彼女が奏でる音は、歌声は、 仲間の姫に力を与え、 敵を殲滅するのだった
【オルフェウス】 どう!?神ってる!? これがあたしのニュービート… 『虚に奏でる蒼海の盛況』だよ!!
それは彼女が、 新たな力に覚醒した瞬間だった
そして彼女の音楽は、 さらなる奇跡を引き起こす
【オルフェウス】 …あ、太陽
なんと雨がやみ、 再び太陽が顔を出したのだ
【オルフェウス】 ふふっ! テンション上がってきたぁ! ミュージック・スタート~~~!
そして、オーディエンスが いなくなった会場で 音を奏で始める彼女
【オルフェウス】 みんなぁぁぁぁ!! フェス、再開するよぉぉぉぉぉ!!
彼女の歌声を聞きつけ、 オーディエンスも戻ってくるのだった
数日後――
フェスを開催したビーチで、 2人で語り合っている オルフェウスとマスター
【オルフェウス】 …は~
【オルフェウス】 今でも夢みたい ここであんなでっかいことが できたなんて
【オルフェウス】 あの時、言えなかったこと、 今言わせて
【オルフェウス】 一緒に盛り上げてくれて… 支えてくれて……
【オルフェウス】 愛してるぜ、リーダー
突然の告白に驚くマスター
でも、愛してるぜ、 はミュージシャンにとっての 挨拶みたいなものか…と納得させる
【オルフェウス】 リーダーのおかげで、 あの時、折れそうになった 心に力が戻ってきた
【オルフェウス】 やっぱりリーダーは、 あたしのサイコーの指揮者だよ
【オルフェウス】 だから、これからも 一緒に戦っていきたい
【オルフェウス】 そして、ずっと一緒に… 音を奏でていきたい
【オルフェウス】 ……なんてね♪
照れて視線を海に向ける彼女
【オルフェウス】 うーん! やっぱり、浜辺って 気持ちいいよねー!
【オルフェウス】 青い空と海、そして白い砂浜 またここで歌えたら、 サイッコーだよね~
照れを隠すように、 大きな声を出す彼女
【オルフェウス】 …よし、歌おう! リーダー、機材持ってきて!
えぇ!また、歌うの!? 驚くマスター
【オルフェウス】 当たり前じゃん!! 歌いたい時に歌う! それがミュージシャンっしょ!?
まるで太陽みたいな 彼女のエネルギーに、 元気をもらうマスターだった
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