290101080 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第1章 エデンクライシス-始動- 第１話 魔弾の錬成-8
【大工】 さっきのキル姫がどんなことを 言っていたか、ですか？
【アルマス】 そう あなたはどうしてフライクーゲルに 狙われていたの？
【大工】 それは…自分で言うのもなんですが 私が几帳面な性格をしているから だそうで
【大工の嫁】 先程のキル姫は、 私達を新世界に連れていくと 言いました
【大工】 几帳面さは皆を… ヘアピィ、でしたっけ？ それにするからと
【ラグナロク】
もしかしてフライクーゲルは
他人を幸せにできそうな性格の人を
選んで移送しているの？
【アルマス】 ラグナロクの推測は悪くなさそう でも、どうしてそれで襲われることに なるのよ？
【大工】 それは…
【フライシュッツ】
ひどいんだよ、ラグナロクちゃ～ん
【ラグナロク】
ここで割り込んでこないで…
今、大事な話をしているから
【フライシュッツ】
だって、だって～…
フライクーゲルちゃん、
オジサン達の記憶を消去するって
【フライシュッツ】
いらない記憶は消して、
新しい世界でヘアピィに生きれば
良いなんて言ったんだよ～
【フライシュッツ】
だから～、
あたし、思わず止めに入っちゃったの
【アルマス】 それで、あの騒ぎだったのね…
【ラグナロク】
記憶を消す？
そんなことが可能なの？
いえ、可能かどうかよりも…
【ラグナロク】
お互いのことを忘れさせて
違う人間として生きるよう
強要してきたのね？
【大工の嫁】 あ、いえ… 私達のことではなくて…
【大工】 娘の…死んだ娘のことを忘れさせると 言ってきたんです…
【アルマス】 娘さんを亡くしていたのね… ごめんなさい 話したくないのなら…
【大工】 いえ、話させて下さい 今回の一件で思い知りました
【大工】 どんなに辛い記憶でも… 忘れたくない
【大工】 あの子のことを忘れる方が、 よっぽど恐ろしい…！
【大工の嫁】 あなたっ…
【大工】 娘は…生まれつき 心臓を患っていたのです
【大工】 長くは生きられないと言われて いましたが、あるとき、手術すれば 治せることが分かりまして…
【大工】 成功する可能性は決して高く ありませんでした それでも一縷の望みを託して…
【大工】 ですがっ… 手術は…
【ラグナロク】
もういいわ
ごめんなさい
本当に辛いことを思い出させて…
【アルマス】 フライクーゲルは、その記憶を 二人から消すと言ったのね？
【大工】 はい そうすれば新世界で私達は ヘアピィに生活できると…
【大工の嫁】 でも、そんなのは… あんまりですっ
【アルマス】 ありがとう 話してくれて …もう一つ、いい？
【大工】 何でしょう？
【アルマス】 あなた、奏官じゃないわよね？ キル姫を従えた経験は？
【大工】 いえ、全くありません 私は大工一筋です
【ラグナロク】
アルマス、彼からバイブスは
感じないわ
【ラグナロク】
適合しなくても、キラーズは
バイブスを感知できるから
間違いない
【アルマス】 そうよね… 私も彼からは何も感じない
【アルマス】 バイブスの有無は選定基準と 無関係なの？
【ラグナロク】
フライシュッツが無事で良かったわ
…皆も私達のように天上世界の
あちこちに飛ばされたのかしら？
【フライシュッツ】
本当に良かったよ～♪
【フライシュッツ】
ね～、ラグナロクちゃん
フライクーゲルちゃんを
止めて～っ
【フライシュッツ】
このままだと記憶を消されて
連れ去られちゃう人がどんどん
増えちゃうよ～…
【ラグナロク】
さっき追撃できなかったのは、
あなたに原因があるんだけど…
【アルマス】 でも、フライシュッツの言う通りよ あいつはいらない記憶を消してる らしいけど
【アルマス】 そんなの…他人が勝手に決めていい ことじゃない
【アルマス】 彼女を放って先に進むわけには いかないわ！
【ラグナロク】
気持ちは同じよ
元より選定なんて認める気はない
誰一人奪わせはしないわ
【フライシュッツ】
ラグナロクちゃ～ん♪
アルマスちゃんも、はぐだよ
はぐ～♪
【アルマス】 何で抱きついてくるのよっ… それよりも――
【ブリューナク】
アルマス、緊急時につき
懸念点を進言する
【アルマス】 うわっ！ 藪から棒に何？
【ブリューナク】
フライクーゲルを討つのなら、
ただちにパラケルスス邸へ戻り
パラケルススを詰問すべきだ
【ブリューナク】
彼女はフライクーゲルと
通じている可能性がある
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