290103002 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第1章 エデンクライシス-始動- 第3話 理想に殉じる者達よ-2
【女性】 ここもすっかり寂しくなったわ… もう誰もいないのかしら?
【女性】 不思議なものね 一人きりになってしまったのに 今の方が過ごしやすいだなんて…
【女性】 ずっと憧れていた庭園の手入れを 好きにやっていられるからかしら? それとも…
【パラシュ】 きれいな薔薇だね 君が世話しているのかな?
【女性】 誰ですかっ…? あなたは、確か先日…
【パラシュ】 ボクはパラシュ この町から無用の者達を追い払った 張本人だよ
【女性】 ああ、やっぱり… あの…私はあなたに殺されるの でしょうか?
【女性】 できれば、もう少し待っていて もらいたいのですけれど…
【パラシュ】 安心するといい 少し話をしに来ただけなんだ
【パラシュ】 もちろん、君の返答次第では どうなるか分からないけどね
【女性】 何でしょう…?
【パラシュ】 あまり怯えていないみたいだね ボクがこの町で何をしたのか 知らないわけでもないだろうに
【女性】 ええ… ただ、あまり興味が無くて… 私、昔からこうなんです…
【女性】 周りに合わせるのが下手っていうか… きっと身勝手なんですね
【女性】 今も、自分のことより 自分が死んだ後も、 この庭園を美しく保ちたい…
【女性】 そのことばかり気にしていました
【パラシュ】 ふぅん ここの管理は君の仕事なのかい?
【女性】 いえ… 私は任せていただけませんでした 先輩方がたくさんいて…
【女性】 だから、今は楽しいんですっ 好きなことを好きなようにやれて!
【女性】 ただ、理想には程遠くて… ここはもっともっと美しくなる はずなのにっ
【パラシュ】 君はここの手入れを、 ずっと続けるつもりなのかな?
【パラシュ】 誰に命じられたわけでもないのに 誰に褒めてもらえるわけでもないのに お金が稼げるわけでもないのに
【パラシュ】 そんなのは合理的でないし、 ただの自己満足だと思わないのかな?
【女性】 はい… でも、この生き方を変えられない んです…
【女性】 私も、もっと他人に合わせて生きて いけたらなって思ってます… でも、無理みたいで…
【女性】 誰にも求められていなくても、 私自身が求めていることを… ずっと、やっていたい
【女性】 それが本心なんです ごめんなさい
【女性】 こんなだから、 孤独になるんです… 分かっていたのに…
【女性】 どうか、私亡き後は この庭園の手入れをお願いします
【女性】 この庭園が永遠に美しく保たれる それだけが私の望み… そのためなら喜んで糧になります
【パラシュ】 何か勘違いしているようだね ボクは君を摘みに来たわけじゃない 話をしに来たんだ
【パラシュ】 君が謝るようなことは何もない 君の生き方は間違っていない 君は孤独なんかじゃない
【パラシュ】 それは孤高というんだ 理想を追求する者の常だね
【パラシュ】 気に入ったよ 君は君自身の中に法を持っている 自分自身の「王」だ
【パラシュ】 そういう者こそ新世界に相応しい 新しい世界でも美しい薔薇を育てる ため高みを目指し続けてよ
【女性】 あの…何を仰っているのか 分かりません…
【パラシュ】 すぐに分かるよ “潰えぬ理想”がある限り
【パラシュ】 さあ、進み続けるんだ 目指す頂を見据えて
【パラシュ】 完全なる透過の世界に綻びを――
【女性】 ええっ? ああああああああああ――
【パラシュ】 バイブスを持っていたら なお良かったんだけど、 それは贅沢が過ぎるね
【パラシュ】 …この庭園は、いずれそのまま 送ってあげよう
【パラシュ】 さあ、次の「王」を探さないと
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