290103005 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第1章 エデンクライシス-始動- 第3話 理想に殉じる者達よ-5
【ラグナロク】 森の中にこんな村があるなんて…
【アルマス】 ここは何なの?
【プタハ】 ここは我が作った避難村だ 主にフェルカから逃げてきた者達を 匿っておる
【アルマス】 フェルカの町から逃げてきた人々?
【村人1】 今日も良い天気だな こんな日は昼寝に限る
【村人2】 あー…今日はやる気が起きないよ 寝て過ごそう…
【村人3】 うっし! 仕事はこの辺にして、遊ぶか~
【アルマス】 だらだらしてる人達が多いわね…
【プタハ】 そなたらはフェルカの町を 見てきたのであろう?
【ラグナロク】 ええ 予想とは違って 静かな雰囲気だったわ
【プタハ】 そうなるまでは ひどい混乱があったのだ…
【アルマス】 パラシュが町の法律を全て なしにしたらしいわね 訳が分からないっ
【プタハ】 あの者はこう宣言しておった 「法は己の中にあるべきだ」と
【アルマス】 己の中って言われても…
【プタハ】 誰かに決められた法ではなく、 自身が定めた法に従うべきだと いうことであろう
【プタハ】 フェルカの民も随分と困惑しておった 何しろ、それまでは
【プタハ】 「赤髭連盟」による強固な法治体制が 徹底されておったからな
【ラグナロク】 待って 「赤髭連盟」は荒くれ者の集まり だと聞いていたのだけれど
【ケラウノス】 あれ? 言ってなかったっけ~
【ケラウノス】 元はそういう集まりだったんだけど 今はけっこう変わってるんだよね~
【アルマス】 聞いてないわよ! もっと早く言って…!
【ケラウノス】 ごめんちゃい… 聞かれなかったから~
【プタハ】 いずれにしても、パラシュによって 「赤髭連盟」は壊滅し、フェルカの 町から法が消えたのだ
【アルマス】 それで混乱が起きたのね… でも、そんなにすぐ騒ぎが起きる ものなの?
【プタハ】 うむ フェルカの民も多くはそう考えた ことであろう
【プタハ】 だが、ほんの些細な綻び一つで、 全てが崩れることもある
【プタハ】 誰かが小さな罪を犯す その罰を受けることがないと 別の誰かが知る
【プタハ】 ならば自分がやっても 構わないのではないか そのように考える
【プタハ】 そうして一人…また一人と… 箍が外れていったのだ ほんの数日の間にな
【プタハ】 そして幾つもの凄惨な事件が起きた
【ラグナロク】 何てこと…
【プタハ】 多くの者は町から逃げ出した しかし行くあてのない者も多くいた
【プタハ】 そこで我はここに村を作ったのだ 避難してきた民を受け入れるためにな
【アルマス】 なるほどね …ちょっと待って
【アルマス】 今、フェルカの町は平穏な雰囲気に なってるわよ 何で?
【プタハ】 それは危うい均衡によるものであろう 恐らく皆、気づいたのだ
【プタハ】 誰しも、襲う側になれるということは 誰しもが、襲われる側になり得ると いうことに
【アルマス】 あっ…! そういえば猟銃で威嚇したって 言ってたわね
【プタハ】 フェルカの町は、 平穏というよりも 膠着しておる
【プタハ】 互いの首筋にナイフを突きつけ 合ったまま過ごすなようなもの… 常人には耐えられまい
【アルマス】 ひどい状況ねっ パラシュが何をしたいのか 全然分からない…!
【プタハ】 我には分かる気もするぞ
【ラグナロク】 聞かせて
【プタハ】 あれは「選定」だ 如何なる状況下にあっても 己を律することが出来る者
【プタハ】 己の法に従って生きる者 つまらぬ罪を犯さず、 理想に邁進できる者
【プタハ】 “潰えぬ理想”と言うておったか パラシュはそんな者達を求めておる
【プタハ】 少なくとも、今、フェルカの町に 残っている者達は、その素質を 持っておるのだろう
【アルマス】 そうなの…? ノルマがどうとか言ってた気はする けど…
【ラグナロク】 パラシュの「選定」は極端よ あまりに厳し過ぎるわ
【プタハ】 うむ 誰しもが皆、自身を高めるために 頑張れるわけではない
【プタハ】 時には体を、心を弱らせることも あろう
【プタハ】 ここには、そんな者達が集っておる ここは「弱き者」達のための村なのだ
【フライシュッツ】 うんうん やっぱり甘えたくなるときって あるよね~♪
【フライシュッツ】 ラグナロクちゃん、はぐだよ はぐ~♪
【ラグナロク】 何でここで…あら?
【ネス】 プタハママ、おかえりなさ~い!
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