290401061 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第4章 世界樹の子-インベイジョン- 第１話 ユグドラシルへ‐6
【マサムネ】
ふう…
朝から歩き通しだが、
まだまだ先は長そうだな…
【カミト】 うん… ユグドラシルまで辿り着くには かなりかかると思うよ
【カミト】 少し休憩しようか 昼ご飯も食べたいし
【グリモワール】
仕方ないわね…
でも、気をつけなさい
ここはすでに「他国」なんだから
【アスカロン】
マスター、護衛は任せて下さい！
【カミト】 分かったよ、グリモワール アスカロンもありがとう
【マサムネ】
休憩ついでに少しいいか？
道すがら色々聞かせてもらったが…
一旦、情報を整理させてくれ
【カミト】 いいよ 今の地上世界について、 僕の知ってる範囲でまとめるね
【マサムネ】
ああ、よろしく頼む
【カミト】 世界はユグドラシルを中心にして 放射状に広がってるんだ
【カミト】 僕達が暮らしている この辺りは中心部から けっこう離れてる
【カミト】 だけど人が暮らしてる分、 都会だと思うよ
【カミト】 ラグナロク機関があったところ なんかは、もう誰も住んでいない 廃墟だらけだからね
【マサムネ】
それでも悪魔と戦っていた頃より
ずっと人口は増えてそうだな
【カミト】 悪魔が世界を支配していた時代の ことだよね… 本当に恐ろしい…
【カミト】 君達のことも教えてもらったけど キラーメイル実験は酷すぎるよっ
【カミト】 魔獣の血肉を埋め込んで キラーズに耐えられる体を 作り出すだなんて…
【マサムネ】
そのくらいしないと
人類に生き延びる道はなかったんだ
【マサムネ】
まあ、その後で魔獣の血肉なんか
必要ないキラープリンセス実験が
上手くいったわけだがな
【カミト】 でも、君達は魔獣の血肉に蝕まれ 続けて…魔獣になってしまった…
【マサムネ】
ああ…だが、それを
あんたが救ってくれたんだ
感謝してる
【マサムネ】
俺達の話はいいんだ
それより今の話をしてくれ
生活レベルはどうなってる？
【カミト】 その頃の生活レベルがどのくらい だったかは知らないけれど、 かなり発展してると思う
【カミト】 特に中心部はすごいよ！ 一度だけ、兄貴と行ったことが あるんだけどっ
【カミト】 たくさん高層ビルが建っていて、 ここからでも見えたりするんだけど とにかくすごいんだ！
【マサムネ】
語彙が少ないな…
【グリモワール】
キミはもっと本を読むべきね！
【カミト】 ううっ… ごめん…
【アスカロン】
大丈夫ですよ、マスター！
すごいってことはちゃんと
伝わってます
【グリモワール】
それ、フォローのつもり？
【マサムネ】
で、その中心部を…この世界を
支配しているのは誰だ？
【カミト】 ええと… 全てを支配している奏官はいないかな 幾つもの国に分かれてる
【カミト】 国って言っても、各地の奏官が 治めてる領地みたいな感じだけどね
【マサムネ】
国と言うより県や市という単位の方が
しっくりきそうだな
【カミト】 県？ 市？
【グリモワール】
大昔の行政区画の名称よ
そのくらい知ってなさい！
【カミト】 ごめん…
【マサムネ】
そうなると、やはり中心部を
治めてる奏官が有力者ってことに
なるんじゃないのか？
【カミト】 そうだね 中心部を治めているのは、 確か四人いたと思う…
【カミト】 僕が知ってるのは一人だけだけど 名前は――
【アスカロン】
マスター、伏せて下さい！
【カミト】 えっ？
【グリモワール】
この雷撃
もしかして…！
【スラーンド】
大地を震わせる、あたしの声が
君にも聞こえるか！？
【スラーンド】
空を駆け、音を越え、全てを蹂躙する
雷が、今、降臨した！
偉大なる強さ、見せてやろう！
【スラーンド】
な～んてね♪
やっと見つけたよ、あなた達！
【ジーベン】 こそこそ逃げ回っていたようだね この弱気・臆病・優柔不断三冠王め！
【カミト】 ジーベン！
【ジーベン】 そうだ、僕だ！ さっさと出てこいヴァング 今日こそ決着をつけてやる！
【カミト】 兄貴に会ったの…！？
【ジーベン】 何を言っている？ お前達の卑劣な奇襲に遭って 一旦、拠点を放棄したが…
【ジーベン】 その後、いくら探しても 姿を見せず、あげく気味の悪い 霧まで立ちこめてきた！
【ジーベン】 おかしな幻覚まで見せられて、 おおかた、そこのグリモワールが 妙な魔術を使ったんだろう！？
【ジーベン】 だが、残念だよ 僕には微塵も通用しないよ
【スラーンド】
「ママ…」とか呟いて泣いてたけど
あれ、何だったんだ？
【ジーベン】 うるさい！ スラーンド、それは言うなと 言っておいただろっ
【ジーベン】 お前は本当にビッグマウスお喋り 残念賞だよ！
【カミト】 …霧が出た後、兄貴に会っては いないんだね
【ジーベン】 だから何を言っている？ ヴァングはお前と一緒にいるんだろ？
【カミト】 いないんだよ！ 僕も…兄貴を捜してるんだっ
【ジーベン】 ふっ… 見え透いた嘘を
【ジーベン】 スラーンド、やれ！ 弟分を痛めつければ、 慌てて飛び出してくるだろう
【スラーンド】
任せといてっ！
偉大なる強さ、見せてやる！
【カミト】 本当なんだよ！ 話を聞いて…
【グリモワール】
このバカ！
下がってなさい！
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