302111212 ガ・ボー 穢れた翼でも…
【ガ・ボー】 ………
【ガ・ボー】 ……姉様
姉を探し疲れたのだろうか…
槍を抱きながら、 虚ろな目でぼ~っと 空を眺めている彼女
【ガ・ボー】 ………
マスターは思い切って、 彼女に声をかけてみた
【ガ・ボー】 …!
【ガ・ボー】 マスター……
【ガ・ボー】 どうして、ここに…?
少し驚いた彼女だが、 特に焦る様子もない
「君のお姉さんって、 どんな人?」 マスターが尋ねる
【ガ・ボー】 …え?
「どうして、お姉さんを 探しているの?」 そう尋ねるマスターに彼女は…
【ガ・ボー】 ………
【ガ・ボー】 殺す…… ためです…
その衝撃の答えに驚くマスター 「どういうこと…?」 さらに質問を繰り返す
【ガ・ボー】 ボーが獣刻されたのは、 半人半鳥のハーピー そう…
【ガ・ボー】 女神イリスの失敗作…
【ガ・ボー】 ボーは…失敗作なのです
【ガ・ボー】 ……偽物……穢れた翼……
【ガ・ボー】 だから…思うのです…
【ガ・ボー】 ずっと付き従っていた 姉様を殺せば…
【ガ・ボー】 ボーは本物になれると
その狂気を孕んだ目に 戦慄を覚えるマスター
マスターは イリスを殺せば本物になれるという 話など聞いたことがなかった
【ガ・ボー】 姉様さえ… いなくなれば…
姉に執着する余り、 思いが歪んで 心を蝕んでしまったのか…
「君は偽物なんかじゃ…」 そうマスターが言い掛けた時…
【ガ・ボー】 …!
敵兵の一団が現れ、 マスターとガ・ボーは 囲まれてしまった
「森に不審者がいると 探索にやってきたのか…」 と、マスター
【ガ・ボー】 あなた達もボーのように… 穢してあげましょうか…?
静かに槍を構える彼女
【ガ・ボー】 はあぁぁっ!
斬り込む彼女
圧倒的な強さを見せつけるものの、 相手の数の多さに 次第に劣勢になっていく
【ガ・ボー】 どれだけ頑張っても… やっぱりボーは偽物……
【ガ・ボー】 偽物は…どこまで行っても……
諦め、手から力が抜けた その瞬間…
「こっちだ!」 マスターが彼女を助けるため、 囮になるような行動に出た
【ガ・ボー】 !!
【ガ・ボー】 マスター… ボーを助けようと…?
走るマスターを見つめる彼女
【ガ・ボー】 いけません…
【ガ・ボー】 ボーのような穢れた翼のために…
【ガ・ボー】 命を落とすことなど…!
槍を握る手に再び力が戻った
【ガ・ボー】 はあぁぁっ!
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