30252202 ミネルヴァ クリスマスver. 『零式・戎具の聖誕』
無事に異族を掃討し、 ほっと一息をつく
【ミネルヴァ】 では、戻りましょう 市街地での戦闘を避けるよう ニケの誘導で街を離れたので
【ミネルヴァ】 今ここにいるのは 私とマスターだけ…
【ミネルヴァ】 クリスマスに… 二人きり…
そう言うと、 彼女は顔を真っ赤にして 両手で頬を押さえる
【ミネルヴァ】 ふたりきりでなんて、そんな… しかも今日はクリスマス…!
どうしたの?
【ミネルヴァ】 いえ、なんでもないんです…!
ミネルヴァは少し沈黙すると 意を決したように顔を上げる
【ミネルヴァ】 あの、マスター マスターに日頃の感謝の思いを込めて これを…
【ミネルヴァ】 …!?
だが、マスターが受け取るより早く 彼女はそれを引っ込めてしまう
沈痛な表情で包みを見つめる彼女を 心配するマスター
【ミネルヴァ】 いえ… なんでもありません
【ミネルヴァ】 マスター、早く戻りましょう みんな、パーティーの準備をして 待っていますから…
ミネルヴァが気を抜いた一瞬に マスターは彼女の手を取る
【ミネルヴァ】 あっ!
そこには先ほどの戦闘で 破れたボロボロの包みと 汚れたマフラーがあった
【ミネルヴァ】 すみません… こんなことになるなら もっと早くに渡すべきでした
【ミネルヴァ】 いつも一緒に戦ってくれている マスターに親愛の証として 渡したかったのに…
【ミネルヴァ】 せっかくのクリスマスなのに…
落ち込む彼女の肩で ニケもまた羽を窄めている しかし…次の瞬間
【異族】 グギャアアアア!
異族が現れ、咆哮を上げる こんなときに、と内心思うが そうも言っていられない
しかしマスターが ミネルヴァに声をかけるより早く 彼女は一歩前へ進み出ていた
【ミネルヴァ】 …マスターに似合う色の毛糸、 せっかく見つけてきたのに
【ミネルヴァ】 少しずつ編んで、やっとできたのに… せっかく綺麗に包んだのに…
【ミネルヴァ】 許さない… 絶対に許さない!
すると彼女の肩に乗ったニケが 大きく羽を揺らして ひときわ大きい声で鳴いた
ミネルヴァの想いに呼応するように ニケが大きく羽を広げる―!
それは彼女が新たなスキル 『零式・戎具の聖誕 -ミラクルイヴ-』を
取得した瞬間だった
ミネルヴァの攻撃が 異族を吹き飛ばす
マスターがかけよると 彼女は少し混乱していた
【ミネルヴァ】 ニケが力を貸してくれたのでしょうか でも、どうして…
いつも理性的なミネルヴァが ここまで怒っているのだから ただ事じゃないと思ったのかな?
ミネルヴァの強い気持ちに ニケは応えてくれたんだよ
【ミネルヴァ】 私の強い気持ちに…
そのとき、ミネルヴァの鼻先に 雪が落ちる
ミネルヴァが顔を上げると すっかり日が落ちた空から 雪が舞い落ちてくるのが見えた
【ミネルヴァ】 …くしゅんっ
くしゃみをした彼女に マスターはコートを羽織らせる
【ミネルヴァ】 えっ、マスター…! そんな、ダメですよ マスターの体が冷えてしまいます
自分にはこれがあるから そう言って、マスターは 包みからマフラーを取り出す
【ミネルヴァ】 …でも、それは… そんなボロボロなマフラーを マスターにあげるなんて…
戦いでボロボロになったなら 勲章のようなものだよ
ボロボロになったマフラーを マスターは躊躇なく巻く
そしてマスターは街を指差した
【ミネルヴァ】 …えっ?
次の瞬間、 街のイルミネーションが灯った
【ミネルヴァ】 わぁ…きれい…! この明かりのひとつひとつに 人々の生活と、命があるんですね…
ミネルヴァのおかげで この風景を守ることができたんだ マスターはそう声をかける
【ミネルヴァ】 マスター…
【ミネルヴァ】 目に見えるものだけが… 形あるものだけがすべてじゃない… そういうことですね
【ミネルヴァ】 …ありがとうございます マスターから、また大切なことを 教えていただきました
【ミネルヴァ】 とても素敵な… クリスマスプレゼントです
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