310010030 シークレットリーエバーアフター(Secretly Ever After)(SEA編) プロローグ 第1話 プロローグ-3
しばらく後――
【ティルフィング】 あら? ミーミルは、どこに…
【ティルフィング】 また世界の記録を 見ているのでしょうか
【ティルフィング】 最近、随分と熱心ですね
【ミーミル】 …………
【カラドボルグ】 まあ!何て美しい虹! いいわね
【ミーミル】 虹…雨上がりに発生する弓状の光の輪 …大気中の水分が日光に反射する ことで起きる自然現象…
【カラドボルグ】 うふふ♪ こんなに美しい虹が見られたんだもの 今日はとっても良い日ね
【ミーミル】 …………
【パラシュ】 今年も薔薇が美しく咲いてる 孤高を感じさせる佇まい やっぱり薔薇は美しいな
【ミーミル】 薔薇…棘のある落葉低木 その花の名称…
【パラシュ】 ボクも薔薇のように 常に高みを目指していこう
【ミーミル】 …………
【アルテミス】 今日は美しい満月ですね 心が癒されます
【ミーミル】 満月…月が丸く見える状態
【アルテミス】 こうして眺めているだけで 明日への気力が満ちてきます
【ミーミル】 …………
【詩人】 おお! 汝は美しい!
【住民】 ああ やっぱりここからの景色は いつ見ても美しいな
【学者】 むむっ? これは新種か? 実に美しい…
【ミーミル】 …………やはり、分かりません
【ミーミル】 「美しい」とは 何なのでしょう?
【ミーミル】 誰もが美しいと口にします 人間もキル姫も…
【ミーミル】 ティルフィング様だって、 外の世界をご覧になっているとき 頻繁に「美しい」と仰います
【ミーミル】 でも、ミーミルには…
【ミーミル】 全て、必然としか感じられません
【ミーミル】 虹も薔薇も満月も
【ミーミル】 そうあるべき状況だから そのように存在しています
【ミーミル】 他の自然現象や動物、植物も…
【ミーミル】 この世界のあらゆるものは、 自然の摂理に基づいて存在しています それらに対して…
【ミーミル】 どうして皆さんは「美しい」と 言うのでしょう
【ミーミル】 どうして幾つかのものだけを 特別視するのでしょう
【ミーミル】 世界の全てに同等の価値が あるはずなのに
【ミーミル】 分かりません…
【ミーミル】 どれだけ世界の様子を観察しても、 「美しい」が分かりません
【ミーミル】 やっぱり、ミーミルは 何か欠けているんです…
【ミーミル】 皆さんが穏やかな表情で「美しい」と 口にする度、一人ぼっちに なったような気持ちになります…
【ミーミル】 「美しい」が理解できない私は、 出来損ないなのだと…
【ミーミル】 この世界にいてはいけない 存在なのだと…
【ミーミル】 せっかくティルフィング様に 育てていただいたのに
【ミーミル】 このままではご恩をお返しすることも できません…
【ミーミル】 私は、どうすれば…
【ミーミル】 えっ? あ…あれはっ 枝に布が引っ掛かって…
【ミーミル】 揺れています ふふっ 揺れていますね♪
【ミーミル】 ああ、不思議です ああして揺れているものに 何故か心惹かれてしまいます
【ミーミル】 揺れて…揺れて… 揺れ惑うことは不安定なことなのに…
【ミーミル】 この世界は穏やかで安定していて、 それが良いことだと 理解できているはずなのに…
【ミーミル】 どうして私は、揺れているものに こんなに心惹かれるのでしょう?
【ミーミル】 ああ、ずっと見ていられ…ハッ!
【ミーミル】 …あちらの方で何かが揺れています 行ってみなければ
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