310041213 草薙剣・獣刻・ヴリトラ 獣血『癒えぬ恐慌』
数日後――
【草薙剣】 ふん…!ふん…!
今日も一人で剣を振り、 鍛えている草薙剣
【草薙剣】 ……!
――と、 そこに来客が……
【草薙剣】 敵か!?
身構える彼女 だが来客の正体は……
【草薙剣】 み、皆の者……!
それは、隊の姫達だった
【草薙剣】 どうしたんじゃ? なぜ、ここに……
私達も一緒に特訓したい! そう懇願する姫達
【草薙剣】 ……!
【草薙剣】 ……良いのか?
【草薙剣】 皆に至らぬ特訓を させていた余を…… 許してくれると?
私達は… 『今の』あなたと特訓がしたいの
だから、お願いっ! もう一度、特訓を!! 笑顔で草薙剣を見つめる姫達
【草薙剣】 ……!
【草薙剣】 ……まったく
【草薙剣】 余が頼まれたら イヤとは言えない性格じゃと 知っておるじゃろ……
【草薙剣】 ……わかった!
【草薙剣】 皆で一緒に…… 特訓しよう!
わぁっ!と沸く姫達 草薙剣と共に武器を振るう
それは『草薙団』再結成の瞬間だった そこには以前、訓練から外された 姫達も揃っている
そして遠くには、 その様子を微笑ましく見ている マスターの姿があった
【草薙剣】 はぁ…はぁ…はぁ…
お疲れ様 特訓後、彼女に声を掛けるマスター
【草薙剣】 マ、マスター
もう立派な主だね と、微笑む
【草薙剣】 ……また… 一つの道が見えた
【草薙剣】 皆と一緒に鍛えたことで…… 新たな境地が 輪郭を帯びてきたのじゃ
【草薙剣】 皆の戦力、得手不得手、精神状態…
【草薙剣】 戦闘の采配時、 マスターが一番見ているのは、 これだったんじゃな
【草薙剣】 今ならば……
【草薙剣】 以前とは、また違った 采配が出来るやも知れぬ……
そう言って、 自信が芽生え始めた 笑顔を見せる
それは彼女が、 また新たな力に目覚めていた 証だった
【草薙剣】 出会った当初……
【草薙剣】 そちが『世界を平和に導く』と 言った時は、途方もない夢を持った 生意気な奴だと思ったもんじゃ
【草薙剣】 じゃが……
【草薙剣】 こうして経験を積み、 少しずつ力をつけていくごとに……
【草薙剣】 それは途方もない夢では 決してない……
【草薙剣】 手を伸ばせば届くかも知れない… そう思えるようになってきた
【草薙剣】 立派な主とは…… 皆にそう思わせられる 人物のことかも知れぬの
【草薙剣】 これからは、余もそのような 主になっていこうと思うぞ
【草薙剣】 なぜなら余は……
【草薙剣】 そちの主だからな
笑顔を見せる彼女
それは自信と力強さと、 愛らしさに満ち溢れていた
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